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アンディ・ウォーホル唯一の著書『ぼくの哲学』が文庫化

稀代のアーティスト、アンディ・ウォーホル唯一の著書『ぼくの哲学』(訳:落石八月月さん)が文庫化され、新潮文庫より刊行されました。時代を作り、時代と寝た天才がすべて語った貴重な一冊です。

 

ウォーホル、すべてを語る!

2022年の京都京セラ美術館の柿落としとして開催された大規模回顧展の記憶も新しいウォーホルですが、一時代を画したポップアートの代名詞であり、天才の名をほしいままにしたアーティストです。その唯一の著作という貴重な書で、1998年に初訳されて以後、ロングセラーとなっていた作品が文庫化されました。

 
現在英語圏ではペンギン・クラシックスに収録され、作家トルーマン・カポーティは本書に「ウォーホル氏ならではの驚くべき率直さは鋭く、正確で、尽きることなきエンターテイメントであり、啓蒙的でもある」という言葉を寄せています。

 
<アンディ・ウォーホル語録>

ウォーホルは1928年、ペンシルバニア州ピッツバーグ生まれ。カーネギー工科大学でデザインを学び、ニューヨークに出てデザイナーとして活動したのち、30代になってからアーティストとしての活動を開始しました。漫画やキャンベル・スープ、コカ・コーラなど誰もが知る消費社会の象徴を題材にした作品によって一躍世代を代表する画家となりましたが、時代の寵児らしくエッジの効いた言葉を多数残しています。本書からその(ごく)一部を抜粋します。

「どうして新しいか新しくないかがわかるのさ? 芸術なんて作ればもう新しくない」
「無というのはエキサイティングなんだ、無はセクシーじゃないか、無というのは恥ずかしいことじゃない」
「あらゆるものが化学物質に始まり、化学物質に終わると思う」
「ぼくには記憶がない。前の日のことなど覚えていないから毎日が新しい」

 
【本書の内容】

その男、偶像か、トリックスターか。NYを舞台に世界を熱狂させ続けたアーティストの稀有なる証言。シャイで神経質だった幼少期から、孤独を受け入れた途端に取り巻きができ、夜な夜なパーティに繰り出した狂騒の時代まで。「芸術家は英雄(HERO)ではなく無(ZERO)」「芸術なんて作ればもう新しくない」と豪語し、ひとところに留まらなかった時代の寵児は何を見、何を語ったか。唯一無二の決定的自伝。

 

本書の目次

Bとぼく アンディがウォーホルになるまで
スクラップブックのとおり。

1 愛(思春期)
チェコスロヴァキア人として育つ。夏休みのバイト。1人ぼっち。悩みを語り合う。人の悩みが伝染うつる。自分の悩み。ルームメイト。精神科医が電話を返してこなかった。初めてのTV。ぼくの出番。初めてのスーパースター。初めてのテープ。

2 愛(初恋)
ぼくのお気に入りの60年代の女の子たちの盛衰記。

3 愛(老いる)
40歳にして人生の真実を知る。ぼくの理想の妻。ぼくの理想の電話友達。嫉妬。明かりを暗くしてトリック鏡。セックスとノスタルジア。女装者。ロマンスは難しいがセックスはもっと難しい。不感症。

4 美
自画像。永遠の美の問題、一時的な美容上の問題、それの解決。清潔な美。普通のかっこよさ。ルックスを保つには。単調さの美。

5 有名
ぼくのオーラ。TVの魔術。役はいいんだけど役者がダメ。ファンと熱狂者。エリザベス・テイラー。

6 働く
アート・ビジネスとビジネス・アート。ぼくの初期の映画。ぼくが残り物が好きなわけ。生きることが仕事だ。セックスは仕事だ。どうやってメイドの目を見るか。キャンディだらけの部屋。

7 時
もてあました時。時と時の間の時。列に並ぶ。外にいる時は。飛行機の時間。化学物質が欠けている。ぼくがなぜ醜いままでいようとするか。アポイントメントを取るコツ。エリザベス・テイラー。

8 死
そのすべて。

9 経済
ロスチャイルド物語。24時間営業のドラッグストア。友達を金で買うこと。小切手帳のデザイン。1セント銅貨。ジーナ・ロロブリジーダのペニー。

10 雰囲気
空っぽの空間。屑としてのアート。ピカソの傑作4000枚。ぼくの色のテクニック。ぼくは芸術をやめた。また芸術を始めた。香水の空間。田舎でのいい生活、ぼくがそれが嫌いな理由。木がマンハッタンで育とうとする。平凡なアメリカのランチルーム。アンディマット。

11 成功
スターが階段にいる時。みんなにヘアドレッサーが1人は要る理由。ポップタート。アーシュラ・アンドレス。エリザベス・テイラー。

12 芸術
グランプリ。新しいアート。サラミを切る。魅力的な危険。我に触れるな。スキンシップは嫌。

13 肩書
国際結婚。侍女。がんばって売り込む。シャンパン顎にビール腹。

14 ピッカピカ
アメリカンスタイルの掃除。

15 下着パワー
哲学が切れた土曜日にすること。

訳者あとがき

 

著者プロフィール

アンディ・ウォーホル(1928―1987)は、ペンシルバニア州ピッツバーグ出身。カーネギー工科大学でデザインを学び、ニューヨークに出てデザイナーとして仕事をしたのち、30代になってアート活動を開始。漫画やキャンベル・スープ、コカ・コーラなど誰もが知る消費社会の象徴を題材にした作品によって一躍世代を代表する画家となった。

「ファクトリー」と呼ぶスタジオを拠点とし、絵画制作のほかロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」のプロデュースや実験映画の製作も手がけ、世界的な人気を博する。

 

ぼくの哲学 (新潮文庫)
アンディ・ウォーホル (著), 落石 八月月 (翻訳)

ウォーホル、すべてを語る。幼少期、美について、ビジネス、成功、孤独――。時代を作り、時代と寝た「天才」の全証言
その男、偶像か、トリックスターか。ニューヨークを舞台に世界を熱狂させ続けたアーティストの稀有なる証言。シャイで神経質だった幼少期から、孤独を受け入れた途端に取り巻きができ、夜な夜なパーティに繰り出した狂騒の時代まで。「芸術家は英雄ではなく無」「無はエキサイティングでセクシー」「芸術なんて作ればもう新しくない」「ぼくには記憶がない。前の日のことなど覚えていないから毎日が新しい」と豪語し、ひとところに留まらなかった時代の寵児は何を見、何を語ったか。唯一無二の決定的自伝。

 
【関連】
試し読み | アンディ・ウォーホル、落石八月月/訳 『ぼくの哲学』 | 新潮社

 


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