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【令和5年度俳人協会四賞】俳人協会賞を千葉皓史さん『家族』と橋本榮治さん『瑜伽』が受賞

俳人協会は、優れた句集や評論などに贈られる俳人協会四賞(第63回俳人協会賞および第47回俳人協会新人賞、第38回俳人協会評論賞、第38回俳人協会評論新人賞)の受賞作を発表しました。

 

俳人協会四賞が決定!

俳人協会四賞が次の通り決定しました。

 
■第63回俳人協会賞

◎千葉皓史(ちば・こうし)さん
 句集『家族』(ふらんす堂)     

◎橋本榮治(はしもと・えいじ)さん
 句集『瑜伽(ゆうが)』(角川文化振興財団)

 
■第47回俳人協会新人賞

岩田奎(いわた・けい)さん
句集『膚(はだえ)』(ふらんす堂)

 
■第38回俳人協会評論賞

大関博美(おおぜき・ひろみ)さん
『極限状況を刻む俳句』(コールサック社)

 
■第38回俳人協会評論新人賞

該当作なし

 

俳人協会四賞について

俳人協会賞は、俳人協会が1961年に創設した俳句の賞です。過去1年間に刊行された協会会員の句集を対象とします。1977年に、50歳以下の協会会員の第一句集を対象とした俳人協会新人賞が創設されました。

俳人協会評論賞は、1979年に創設された俳句評論賞です。協会会員による評論的著作を対象とします。1993年より新人賞も設けられています。

 

家族 (千葉皓史句集)
千葉皓史 (著)

◆第二句集

濤音のどすんとありし雛かな

『家族』は私の第二句集である
本句集には、『郊外』以後、ほぼ平成末年までの作品を収めた。

◆自選十七句
敲いてはのし歩いては畳替
外套の中なる者は佇ちにけり
青空の端に出されし福寿草
幼子の遊びくらせる二月かな
ひとつこと済みたるものの芽なりけり
みづうみにみづあつまれる紫雲英かな
菜の花を挿す亡き者に近々と
櫻貝夜深き風は聞くばかり
濤音のどすんとありし雛かな
明易き森の中なる灯がともり
遠国の石を配せる牡丹かな
萍のうごかぬ水の減りにけり
いづこへか下る石段夜の秋
白波に乗る何もなしきりぎりす
はなびらの間のひろき野菊かな
コスモスを大人数の去りしなり
青空の光つてゐたる秋の暮

句集 瑜伽 角川俳句叢書 日本の俳人100
橋本 榮治 (著)

『放神』に次ぐ15年ぶりの第5句集。父母と生きた時代への感懐を詠む。

『放神』に次ぐ15年ぶりの第5句集、417句。父母と生きた時代への感懐を詠む。〈八月が去る遠き蝉近き蝉〉無欲の人の静謐な句は見事で、貴く重たいです。俳句の無限の可能性を知り、学びました。(黒田杏子)


岩田奎 (著)

◆第一句集
ありきたりの身体感覚を彼は言語にしない。
自らの体も心も凌駕する言葉を、力強く選び取る力が岩田奎にはある。
天才とは呼びたくない。俳壇は今、畏るべき青年をたしかに得たのである。

帯より・櫂未知子

◆作品紹介
紫木蓮全天曇にして降らず
しりとりは生者のあそび霧氷林
愛鳥週間調律師この木木を来よ
入学の体から血を採るといふ
柳揺れ次の柳の見えにけり
にはとりの歩いてゐたる木賊かな
枯園にてアーッと怒りはじめたる
靴篦の大きな力春の山
ハイビーム消して螢へ突込みぬ
立てて来しワイパー二本鏡割

極限状況を刻む俳句 ソ連抑留者・満州引揚げ者の証言に学ぶ
大関 博美 (著)

果たして現代は戦後であるのか?
――氷河期で言えば、間氷期に過ぎないのではないか?

戦争の実相はまだ明らかでない。
極限まで圧縮された俳句と言う表現に描かれる極限の敗戦下の状況
――我々はここから考え始めたい。
(俳人・評論家 筑紫磐井)

 
【関連】
公益社団法人 俳人協会・俳句文学館

 


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