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【令和2年度 俳人協会四賞】俳人協会賞を野中亮介さん『つむぎうた』が受賞 新人賞は安里琉太さんと篠崎央子さん、評論賞に井上弘美さんと南うみをさん

俳人協会は、優れた句集や評論などに贈られる俳人協会四賞(第60回俳人協会賞および第44回俳人協会新人賞、第35回俳人協会評論賞、第35回俳人協会評論新人賞)の受賞作を発表しました。

 

俳人協会四賞が決定!

俳人協会四賞が次の通り決定しました。

 
■第60回俳人協会賞

野中亮介(のなか・りょうすけ)さん
句集『つむぎうた』(ふらんす堂)

 
■第44回俳人協会新人賞

◎安里琉太(あさと・りゅうた)さん
句集『式日(しきじつ)』(左右社)

◎篠崎央子(しのざき・ひさこ)さん
『火の貌(ひのかお)』(ふらんす堂)

 
■第35回俳人協会評論賞

◎井上弘美(いのうえ・ひろみ)さん
『読む力』(角川文化振興財団)

◎南うみを(みなみ・うみを)さん
『神蔵器の俳句世界』(ウエップ)

 
■第35回俳人協会評論新人賞

該当者なし

 
俳人協会賞を受賞した野中亮介さんは、1958年生まれ。福岡県出身。1978年「馬醉木」入会、水原秋櫻子に師事。1987年「馬醉木」同人。2001年俳誌「花鶏」を創刊主宰。俳人協会新人賞など受賞歴多数。

俳人協会新人賞を受賞した安里琉太さんは、1994年生まれ。沖縄県出身。2010年より句作を開始。2012年、中原道夫さん主宰の「銀化」に入会し、2015年に同人。2013年「群青」創刊同人となり、中原さんおよび佐藤郁良さんに師事。受賞作は第1句集。

同じく新人賞を受賞した篠崎央子さんは、1975年生まれ。茨城県出身。2002年「未来図」入会。2005年に朝日俳句新人賞奨励賞、2003年に未来図新人賞を受賞。2004年「未来図」同人。2015年に未来図賞を受賞。受賞作は第1句集。

俳人協会評論賞を受賞した井上弘美さんは、1953年生まれ。京都市出身。早稲田大学大学院教育学部修士課程修了。2003年『あをぞら』で俳人協会新人賞を受賞。俳誌「汀」主宰。「泉」同人。

同じく評論賞を受賞した南うみをさんは、1951年生まれ。鹿児島県出身。神蔵器(かみくら・うつわ)さんに師事。2001年『丹後』で俳人協会新人賞を受賞。「風土」同人。

 

俳人協会四賞について

俳人協会賞は、俳人協会が1961年に創設した俳句の賞です。過去1年間に刊行された協会会員の句集を対象とします。1977年に、50歳以下の協会会員の第一句集を対象とした俳人協会新人賞が創設されました。

俳人協会評論賞は、1979年に創設された俳句評論賞です。協会会員による評論的著作を対象とします。1993年より新人賞も設けられています。

 

つむぎうた
野中 亮介 (著)

◆第二句集

純白の湯気立てて人愛すなり

季語は歳時記にあるのではなく、自然の中にこそ息づいているのだと。
そして、その声を実感することで何倍にも人生が豊かに幸せに感じられるようになるのだと。
(著者)

◆自選十五句より
山出づる真水のこゑや初硯
獅子舞の歯の根合はざる山の冷
しろたへの余呉しろがねの初諸子
涅槃絵図掲げ真鯉の浮かぶ山
ぜんまいの月の中まで伸びあがる
乾かしてまた雨を行く遍路笠
幾重にも水音ときとして郭公
遥かより帰るところの涼しくて
草笛のさらに上手のゐたりけり
空海の筆勢夏に入りにけり

句集 式日
安里琉太 (著)

クラシックな感性と斬新な言語感覚を併せ持つ気鋭の作家による第一句集。永遠の景色へといざなう248句。

虚子も図太いが、この作者も図太いーー岸本尚毅

安里琉太の句に感じるこの、いざない、は決して観念的だったり強引だったりはせず、きわめて自然に起こるーー鴇田智哉

定型感を保ちながら、柔軟な感性が波打つ美しい調べ。古風と今風が互いに主張し譲り合う妙ーー鳥居真里子

火の貌 (未来図叢書)
篠崎央子 (著)

◆第一句集

火の貌のにはとりの鳴く淑気かな

央子さんは、中村草田男、鍵和田秞子のいのちを詠み、俳句の可能性を探るという志をしっかりと継いでいよう。
(跋・角谷昌子)

◆自選十句
血族の村しづかなり花胡瓜
狐火の目撃者みな老いにけり
東京の空を重しと鳥帰る
栗虫を太らせ借家暮らしかな
残雪や鱗を持たぬ身の渇き
筑波嶺の夏蚕ほのかに海の色
黒葡萄ぶつかりながら生きてをり
倭の國は葦の小舟や台風圏
縄文のビーナスに臍山眠る
火の貌のにはとりの鳴く淑気かな

角川俳句コレクション 読む力
井上 弘美 (著)

こんなにも深く、俳句読めるとは!

名句は誕生したときから光を宿している。
しかし、その光を感じとる読み手がいなければ、光は孵らない。
胸に一灯を点じるような静謐な光であったり、目のくらみそうな衝撃的な光であったりと、その魅力はさまざまである。

俳句の持つ光を発掘し、その光を孵化させる。世界最小の詩“俳句”の力を浮かび上がらせる。現代の俳句をより深く読むことに挑んだ新しい鑑賞書。

神蔵器の俳句世界
南 うみを (著)

相手の命と向き合い、それを輝かすことに執した神蔵器の俳句表現の変還を、本書から汲み取っていただければ幸いである。
――著者「あとがき」より

 
【関連】
公益社団法人 俳人協会・俳句文学館

 


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