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2023年も「東大・京大で1番読まれた本」は國分功一郎さん『暇と退屈の倫理学』に

國分功一郎さん著『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)が、東大生協本郷・駒場書籍部両店、京大生協ショップルネ書籍コーナー文庫2023年1月~12月実績で1位を獲得しました。昨年(2022年)から2年連続で“東大・京大で1番読まれた本”となりました。2021年1月に新潮文庫より刊行後、部数を伸ばし続け、発行部数は30万部を突破しています。

 

『暇と退屈の倫理学』とは

『暇と退屈の倫理学』は、気鋭の哲学者である國分功一郎さんが、現代社会において暇と退屈が抱える問題点を、歴史的な視点と、スピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先哲の教えを横断しながら紐解いた本です。

 
初刊は2011年10月に朝日出版社より刊行。その後、2015年3月に太田出版より増補新版が出ており、本書はこちらの文庫化となっています。初刊より、第2回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞するなど、人文書としては異例の話題を呼びました。刊行より10年以上経つ現在も、入試問題や高校の国語の教科書に採用されているロングセラーです。

 
【本書の内容】

「暇」とは何か。人間はいつから「退屈」しているのだろうか。答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう――現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー、あとがきを加えて待望の文庫化。

 

著者コメント

『暇と退屈の倫理学』は2011年の刊行以来、ずっと読者に恵まれた本であり続けています。そのことを本当にありがたく、そしてうれしく思っています。この本を通じて読者の皆さんが受け取った概念や考えや想いが熟成されて、新しい何かを生み出すことを心から願っています。
――國分功一郎

 

文庫化を経て新しい読者を獲得

年代別に見ると、本書を最も多く手に取っているのは40代の読者。一緒に読まれている書籍としては『限りある時間の使い方』(かんき出版)や『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)といった、ビジネス書や自己啓発書が上位に入りました。

 
40代に次いで多いのは20代の読者。本書の帯に推薦コメントも寄せているオードリー若林正恭さんの『ナナメの夕暮れ』(文春文庫)や、星野源さんの『いのちの車窓から』(角川文庫)等のエッセイの読者に手に取られている傾向にあります。

 
また、どの世代にも併せて読まれているのが、外山滋比古さんのベストセラー『思考の整理学』(ちくま文庫)。『暇と退屈の倫理学』と同じく、「東大・京大で1番読まれた本」として、学生を始めとする読者に根強い支持を得ている定番の学術エッセイです。暇と退屈という問題の普遍性、また、哲学書とは思えないような易しい語り口とリーダビリティが、『思考の整理学』同様に幅広い読者に手に取られる所以だと考えられます。

 

著者プロフィール

國分功一郎(こくぶん・こういちろう)さんは、1974年生まれ、千葉県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。1997年、東京大学大学院総合文化研究科の修士課程に入学。同博士課程へ進学後、2009年に博士論文「スピノザの方法」で博士(学術)を取得。高崎経済大学経済学部講師、同准教授、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。

本書『暇と退屈の倫理学』で第2回紀伊國屋じんぶん大賞、『中動態の世界――意志と責任の考古学』で第16回小林秀雄賞第8回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞。

他に『スピノザの方法』『ドゥルーズの哲学原理』『来るべき民主主義――小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』『哲学の先生と人生の話をしよう』『近代政治哲学――自然・主権・行政』『民主主義を直感するために』『スピノザ「エチカ」 2018年12月(100分 de 名著)』『原子力時代における哲学』『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』『目的への抵抗―シリーズ哲学講和―』など。

 

暇と退屈の倫理学 (新潮文庫)
國分 功一郎 (著)

暇とは何か。人間はいつから退屈しているのだろうか。
答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう。
2011年朝日出版社刊『暇と退屈の倫理学』、2015年太田出版刊『暇と退屈の倫理学 増補新版』と現代の消費社会において、気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー、あとがきを加え、待望の文庫化。

 
【関連】
試し読み | 國分功一郎 『暇と退屈の倫理学』 | 新潮社

 


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