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なぜ家康は三男を跡継ぎにしたのか? 加来耕三さん『大御所の後継者問題』が刊行

エムディエヌコーポレーション(MdN)は、加来耕三さん著『大御所の後継者問題』をMdN新書より刊行しました。

 

戦国武将で知る事業継承の成功と失敗

日本の九割近い企業は、後継者を身内(息子・娘婿・弟など親族)から選びます。
できの悪い跡継ぎを「不肖の息子」などと言いますが、彼らの場合、父や役員の評価は、ことのほか先代に比べてからくなるものです。

たとえば、大学院を出て、しかるべき企業や銀行で経営を学んできたとすると、「うちは、そんな大企業ではないから、もっと現場を……」といわれ、では、大学卒業とともに入社したとすると、「世間を知らない青二才」とくる。

 
問題はいかにして、こうした周囲の厳しい評価の目をかいくぐり、名経営者となるか、です。
多くのジュニアは、実に、内心やる気があることに感動させられることが少なくありません。
ですが、半面、ほとんどの人が陥っているのは、経営や「承継」といったものを、まるで歴史小説を読むかのように、理解しようとしている点です。

 
経営は、歴史小説のようにはいきません。なぜならば、飛躍するドラマが日常生活の中にはないからです。
日々厳しい現実を一生懸命に生きて、企業の生き残りを図るトップに、感動の名場面などはそうそう現れるものではありません。それらは後世の人の評価にすぎません。

この日々の努力は、戦国時代であっても、現代となんら変わることはありませんでした。

 
本書では、後継者問題に成功したケースから失敗したケースまで、戦国大名家の事例を検証分析しています。
歴史をひもとけば、二代にわたって「承継」をみごとに成功させた組織もあれば、父親が原因であるがゆえに萎縮してすべてを失った後継者もいました。

本書を読めば、真に一流のリーダーは、自らの出処進退のうち、とくに辞める時期を誤らなかったことがよくわかります。従来の歴史ファンのみならず、後継者問題に悩む現代の企業経営者にもおススメの一冊です。

 

本書の構成

第一章 先代の業績を堅実に受け継いだ承継者
〈一〉徳川家康⇒秀忠
〈二〉織田信長⇒蒲生氏郷
〈三〉黒田官兵衛⇒長政
〈四〉前田利家⇒利長⇒利常
〈五〉九鬼嘉隆⇒守隆
〈六〉細川忠興⇒忠利⇒光尚

第二章 先代を超えて飛翔した後継者
〈一〉織田信秀⇒信長
〈二〉龍造寺隆信⇒鍋島直茂
〈三〉真田幸隆⇒昌幸
〈四〉武田旧臣⇒井伊直政
〈五〉戸次道雪・高橋紹運⇒立花宗茂
〈六〉柳生宗厳⇒宗矩 

第三章 先代を超えられなかった後継者
〈一〉上杉謙信⇒景勝
〈二〉斎藤道三⇒義龍
〈三〉毛利元就⇒輝元
〈四〉長宗我部元親⇒盛親
〈五〉豊臣秀吉⇒秀頼  

第四章 一族の衰退を招いた後継者
〈一〉武田信玄⇒勝頼
〈二〉朝倉教景⇒義景
〈三〉浅井久政⇒長政
〈四〉本多正信⇒正純
〈五〉加藤嘉明⇒明成

 

著者プロフィール

著者の加来耕三(かく・こうぞう)さんは、1958年生まれ、大阪市出身。1981年、奈良大学文学部史学科卒業。奈良大学文学部研究員生活を経て、1983年より歴史的に正しく評価されていない人物・組織の復権をテーマに著作活動に入る。現在は大学・企業の講師をつとめながら、歴史家・作家として独自の史観にもとづく著作活動や講演をおこなっている。

また、著作・講演のかたわら専門知識を駆使し、テレビ・ラジオ番組の監修や時代考証を手がけ、番組出演も多数。現在放映中の番組にBS11「偉人・素顔の履歴書」、BS-TBS「関口宏の一番新しい中世史」がある。

近著に『家康の天下取り 関ヶ原、勝敗を分けたもの』『明治維新の理念をカタチにした 前島密の構想力』(以上、つちや書店)、『日本史を変えた偉人たち 3秒で相手を動かす技術』(PHP研究所)、『紙幣の日本史』(KADOKAWA)など多数。

 

 


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