「11歳で初めて読んで怖かった。今読むともっと怖い」富安陽子さんが再話!ホラー短編の最高傑作『猿の手』が刊行
ポプラ社は、時代をこえて読み継がれる世界のホラー小説の名作を、第一線で活躍する児童文学作家が現代の子どもたちのために読みやすく再話した「ホラー・クリッパー」シリーズより『猿の手 』(文:富安陽子さん、原作:ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ他、絵:アンマサコさん)を刊行しました。
巻
名作ホラー短編の最高傑作を、ぜひ今の時代の子どもたちに!
1902年に発表以来、ホラー短編の最高傑作として世界中で愛読され、後世の作家やクリエーターに大きな影響を与え続けてきた「猿の手」(ジェイコブズ原作)。
けれど、「今の時代、3つの願いというキーワードは聞いたことがあっても物語を知る人が少ないのは、残念!」と、11歳で初めて「猿の手」を読んで以来、その恐ろしさが忘れられない児童文学作家・富安陽子さんが、現代の子どもたちのために再話に取り組みました。生き生きした語り口で、原作の魅力を親しみやすい形で届けます。
かくれたファンタジー・ホラーの名作「不思議な下宿人」(カットナー原作)、「魔法の店」(ウェルズ原作)も同時収録。
『猿の手 』収録作品
1「猿の手」ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ/原作
3つの願いをかなえる猿の手のミイラを友人からゆずりうけたホワイト一家。おもしろ半分に父親が願いごとを唱えたとき、平和な一家運命が狂い始める! ホラー短編の最高傑作として読み継がれる名作。
2「不思議な下宿人」ヘンリー・カットナー/原作
下宿人の留守中、けっし鳥かごには触れないと約束したのに、家主の若夫婦が中をのぞくと、そこには信じられないものが! ファンタジー・ホラーの名作。
3「魔法の店」H.G.ウェルズ/原作
初めて見かけたマジックの店に立ちよった父親と幼い息子。店員が見せる不思議なグッズに息子は夢中になるが、父親はだんだん気味が悪くなり……。SFの巨人の隠れた名作。
富安陽子さんからのコメント
11歳のときに「猿の手」の入ったホラー短編集を見つけて初めて読みました。妖怪や幽霊ものと違って、怪奇の本体は姿を現さないのに、恐ろしい出来事が次々起こっていく、そのじわじわっとくる恐怖が、今でも忘れられません。
大人になって再読して、子どものときよりももっと怖い物語だと思いました。呪いの道具によって不幸やまがまがしいことが起きる話はよくありますが、この作品では猿の手が直接何かを引き起こすのではなく、人間のワンアクションが災いを呼び込んでしまう。ほんのちょっとしたことで善良な一家の運命が大きく狂ってしまう、その不条理にぞっとします。驚きがあって予測のつかない巧みなストーリー展開と、まるでその場にいるような気にさせる臨場感あふれる描写も見事だと思いました。
他の2編「不思議な下宿人」「魔法の店」もホラー入門編としてうってつけの名作です。アンマサコさんの絵とともに、怪しくも不思議な物語の世界を存分に味わってください。
富安陽子(とみやす・ようこ)さん プロフィール
1959年生まれ、東京都出身。和光大学人文学部卒業。『クヌギ林のザワザワ荘』(あかね書房)で日本児童文学者協会新人賞と小学館文学賞、『空へつづく神話』で産経児童出版文化賞、『盆まねき』(以上、偕成社)で産経児童出版文化賞フジテレビ賞と野間児童文芸賞を受賞。
他に「内科・オバケ科 ホオズキ医院」シリーズ、「ホオズキくんのオバケ事件簿」シリーズ(以上、ポプラ社)、「シノダ!」シリーズ、『博物館の少女』(以上、偕成社)「妖怪一家九十九さん」シリーズ(理論社)はじめ、日本を舞台にした多数の魅力的なファンタジー作品がある。
猿の手 (ホラー・クリッパー) 富安 陽子 (著), ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ (企画・原案), ヘンリー・カットナー (企画・原案), H.G.ウェルズ (企画・原案), アン マサコ (イラスト) 1902年に発表され大人気を博し、現代に至るまで世界中で映像化や舞台化され読み継がれているホラーの傑作短編「猿の手」(ジェイコブズ)と、隠れたファンタジー・ホラーの名作短編「不思議な下宿人」(カットナー)と「魔法の店」(ウェルズ)の3編を収録。 ★シリーズ紹介 |
◆いとうみくさんが「人の善意」「正しい行い」とは何なのかを模索する高校生たちを描く『真実の口』が刊行 | 本のページ
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