【第35回和辻哲郎文化賞】多胡吉郎さん『生命の谺』と渋谷治美さん『カントと自己実現』が受賞
姫路市(兵庫県)は2月6日、第35回和辻哲郎文化賞の受賞作を発表しました。
授賞式は3月5日に開催され、料理研究家・土井善晴さんによる記念講演会も予定されています。
第35回和辻哲郎文化賞が決定!
第35回和辻哲郎文化賞の受賞作が次の通り決定しました。
<第35回和辻哲郎文化賞 受賞作品>
■一般部門
多胡吉郎(たご・きちろう)さん
『生命の谺 川端康成と「特攻」』(現代書館)
■学術部門
渋谷治美(しぶや・はるよし)さん
『カントと自己実現 人間讃歌とそのゆくえ』(花伝社)
選考委員は、一般部門が阿刀田高さん(作家)・辻原登さん(作家)・山内昌之さん(東京大学名誉教授)、学術部門が清水正之さん(聖学院大学学長)、野家啓一さん(東北大学名誉教授)・関根清三さん(東京大学名誉教授)
受賞者には、賞金各100万円が贈られます。授賞式は3月5日(日)に姫路市市民会館大ホールで開催。
なお、「受賞の言葉」「選考評」など詳細は、http://www.himejibungakukan.jp/watuji/jyusyoushiki/ をご覧ください。
和辻哲郎文化賞について
和辻哲郎文化賞は、姫路市制百周年と姫路出身の哲学者・和辻哲郎(明治22~昭和35)の生誕百年を記念して、昭和63年度に姫路市が創設した学術賞です。
和辻哲郎の幅広い学的業績を顕彰し、「和辻哲学の今日的意義を国の内外にわたって探るとともに、研究者の育成かつ市民の文化水準の向上に資する」ことを目的とします。一般部門と学術部門で構成。
一般部門は、和辻哲郎が「文学、歴史、芸術などさまざまな領域において横断的かつユニークな著作を世に問い、広範な読者に訴えかけたスケールの大きな学者であった」ことを鑑み、文化一般におけるすぐれた著作に与えられます。
学術部門は、和辻哲郎が専門とした哲学、倫理学、宗教、思想、比較文化といった領域での学術的水準を備えた、すぐれた研究に与えられます。
両部門ともに、前々年9月1日から前年8月31日までに発刊された(復刊は除く)著作物(単行本)を対象とします。
第35回和辻哲郎文化賞 授賞式について
■日時:令和5年3月5日(日曜日)13時30分から16時
■場所:姫路市市民会館大ホール
■内容
◎第1部:受賞式典(13時30分から14時50分)
◎第2部:記念講演(15時~16時)
演題:「風土に生まる料理から人間を考える」
講師:土井善晴さん(料理研究家)
■参加費:無料
■定員:800人
※申込多数の場合は抽選
■申込方法:申請フォーム(https://www.e-hyogo.elg-front.jp/hyogo/uketsuke/form.do?id=1673588305502)またはか往復はがき(1人1枚)のどちらか
■申込締切:2月14日(火)必着
★詳細:http://www.himejibungakukan.jp/watuji/jyusyoushiki/
生命の谺 川端康成と「特攻」 多胡吉郎 (著) 2022年、川端康成が没してから50年の月日が流れたことになる。誰もが知るノーベル賞作家の川端だが、1945年4月~5月、海軍報道班員として鹿児島県・鹿屋の特攻基地に滞在していたことを知る人は少ない。著者は川端作品から「後戻りのきかない崖っぷちのようなところで書いているという感じ」を受け、川端が抱えた哀しみの根に、「特攻」体験がどう関わるのか、現地に赴き詳細な調査を行った。川端が滞在した一ヵ月の間に、鹿屋から飛び立ち、散華した特攻隊員たちの具体的な人となりについても調べ上げ、彼らとの出会いと別れが戦後の川端文学にどのように影響したかを見極める。これまでの川端論から抜け落ちていた「特攻」体験を深掘りし、没後半世紀にして初めて明かされる真実を濃やかな筆致で綴る。 |
カントと自己実現:人間讃歌とそのゆくえ 渋谷 治美 (著) 認識・実践の両面からの〈自己実現〉論、そして〈価値ニヒリズム〉へ── 人間存在に「讃嘆と畏敬」の念を抱き、地上における〈最高善〉の実現を目指したヒューマニズムの哲学者、カント。 〈人間学〉の視座から問う、50年にわたるカント研究の集大成。 |
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