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橋本長道さん『覇王の譜』が「WEB本の雑誌」オリジナル文庫大賞を受賞

橋本長道さん著『覇王の譜』

橋本長道さん著『覇王の譜』

8月に刊行された橋本長道さんの長編小説『覇王の譜』(新潮文庫)が「WEB本の雑誌」発表のオリジナル文庫大賞を受賞しました。

 

橋本長道さん『覇王の譜』が「WEB本の雑誌」リジナル文庫 第1位に!

オリジナル文庫大賞とは、単行本の文庫化ではなく、書下ろしや連載を経ての文庫化など、初めから文庫として刊行された作品の中から優れたその年の№1を選ぶという趣旨により設立されたもので、今年も、書評家4名、文芸編集者7名、そして北上次郎さんの12名が選考にあたりました。

各社から文庫書下ろし・オリジナル作品が数多く刊行される中、得票数1位を獲得したのが『覇王の譜』です。かつて将棋の世界にいた著者だからこそ書けた将棋エンターテインメント作品です。

 
【推薦コメント】

「まさに王道の名を冠するに相応しい将棋エンターテインメント小説である。」
谷津矢車さん(作家)

「勝負へと向かう棋士たちの個性に惹かれ、盤上の闘いの白熱に魅了された。」
村上貴史さん(書評家)

「あまたある将棋をテーマにした小説の中でもトップクラスの作品ではないか。」
西上心太さん(文芸評論家)

 
<著者の言葉>

将棋は現実のほうが面白いから小説には向かないと言われてきた。高い水準で達成されたノンフィクション・観戦記がある中で、真正面から将棋と棋士を描く試みは無謀と思われてきた。

それは違うと考えていた。小説によってしか表現できない何かがあると信じていた。

私にとって、青春時代に頂点を目指して入会し四年の時を過ごした奨励会での日々と、棋士として活躍する同期の背を追い棋界を見続けた二十年あまりの思いを十全に込められる形式は小説だけだった。

盤上、人生、友情、再起──。まっすぐに人間観と描写で勝負した。

八年ぶりの新作である。作家として死んだ状態からすべてを叩き付けるようにして書いた本作が評価された。これに勝る喜びはない。

 

本書のあらすじ

「お前は一流にはなれんよ」。 プロになって7年、C級2組にいまだ留まっている直江大に、奨励会同期の剛力英明・現王座は、そう言い放った。

 
旧友との間に開いた目も眩むような格差。だが、京都の天才少年・高遠拓未との邂逅、棋界の第一人者・北神仁との対局、そして現在の師である〝孤剣〟師村柊一郎の猛特訓が、〝賞味期限が切れたはずの元天才棋士〟を覚醒させる。そして、史上空前の逆襲の先には、運命の一局が待ち受けていた──。

将棋を誰よりも深く知る小説家がひとりの青年の成長と個性あふれる棋士群像を描く。最も鋭利で、最も熱い、傑作将棋エンターテインメント。

 

著者プロフィール

著者の橋本長道(はしもと・ちょうどう)さんは、1984(昭和59)年生まれ、兵庫県出身。1999(平成11)年、中学生将棋王将戦で優勝。棋士を目指して同年に新進棋士奨励会に入会するも、挫折を味わい、2003年に退会。2008年、神戸大学を卒業。

2011年『サラの柔らかな香車』で小説すばる新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。この作品で将棋ペンクラブ大賞文芸部門を受賞する。2014年、続編『サラは銀の涙を探しに』を発表。他の著書に『奨励会 ~将棋プロ棋士への細い道~』がある。

 

覇王の譜 (新潮文庫)
橋本 長道 (著)

王座としてトップ棋士の一員となった旧友。
一方こちらはデビュー以来7年間、最底辺。

〝賞味期限切れの元天才〟直江大はどん底から這い上がれるのか。
奨励会でプロを目指した作家が描く1000%の将棋エンターテインメント

(解説:西上心太)

 


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