沢木耕太郎さん9年ぶりの長編ノンフィクション『天路の旅人』が刊行
『新潮』8月号・9月号に二ヶ月連続掲載され、8月号を完売させた沢木耕太郎さんの9年ぶりとなる長編ノンフィクション作品『天路の旅人』が新潮社より刊行されました。
「この希有な旅人のことを、どうしても書きたい」――「旅」の真髄に迫る大型ノンフィクション!
第二次大戦末期、敵国・中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した日本人・西川一三。敗戦後もラマ僧に扮し、果てしない旅を続けた彼に、沢木さんは激しく共鳴しました。
「この希有な旅人のことを、どうしても書きたい」と、25年の歳月をかけて結実させた本作は、沢木耕太郎史上最長編にして、「旅」の真髄に迫る傑作ノンフィクションです。
沢木さんは本書の「あとがき」にて、以下のように記しています。
《 彼、西川一三の旅も長かったが、その彼を描こうとする私の旅も長かった。彼に会ったのを発端とし、書き上がったときを終結とすれば、発端から終結まで二十五年かかったことになる。
西川一三を書く。
しかし、その彼が自らの旅について記した『秘境西域八年の潜行』という書物がありながら、あえて彼の旅を描こうとするのはなぜなのか。
私は、何度も、そう自問した。
そして、やがて、こう思うようになった。私が描きたいのは、西川一三の旅そのものではなく、その旅をした西川一三という希有な旅人なのだ、と。》
(「あとがき」より)
<あらすじ>
第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、未知なる世界への歩みを止められなかった。その果てしない旅と人生を、彼の著作と一年間の徹底的なインタビューをもとに描き出す。著者史上最長にして、新たな「旅文学」の金字塔。
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著者プロフィール
著者の沢木耕太郎(さわき・こうたろう)さんは、1947年生まれ、東京都出身。横浜国立大学卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。
1979年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1982年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。その後も『深夜特急』『檀』など今も読み継がれる名作を発表し、2006年『凍』で講談社ノンフィクション賞、2013年『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞する。長編小説『波の音が消えるまで』『春に散る』、国内旅エッセイ集『旅のつばくろ』『飛び立つ季節 旅のつばくろ』など著書多数。
天路の旅人 沢木 耕太郎 (著) 「この稀有な旅人のことを、どうしても書きたい」。 第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。 |
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