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小川洋子さんが「アンネの日記」を読み解く『アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか』が刊行

小川洋子さん著『NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか』

小川洋子さん著『NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか』

作家・小川洋子さん著『NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか』がNHK出版より刊行されました。

 

苦難のなかで「現実」を「物語」に変えていったアンネ・フランク 「文学」作品としての魅力と彼女を支えた「言葉」を詳述!

ドイツからオランダに移り住んだアンネ・フランクは、1942年、十三歳の誕生日に父親から贈られた日記帳に思春期の揺れる心情と「隠れ家」での実情を鮮やかに綴りました。その「文学」と呼ぶにふさわしい表現は、コロナ禍に見舞われ、戦争を目の当たりにした私たちに勇気と希望を与えてくれます。

 
「NHK100分de名著」において、2014年8月および2015年3月に放送された「アンネの日記」。そのテキストは大きな反響を呼びました。この度発売された『NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか』は、当時のテキストを底本として加筆・修正し、新たに特別章「言葉はどのようにして人を救うのか」、読書案内などを収載したものです。

『妊娠カレンダー』『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』『ミーナの行進』『ことり』『小箱』などで知られる作家・小川洋子さんがアンネの「文学」を読み解きます。

 

本書「はじめに」より

――本書では、『アンネの日記』が本来持っている文学的な豊かさについて、真正面から考えてみたいと思います。思春期の少女が、なにを考え、なにを感じ、それをどのように表現したのか。ここにはみずみずしい青春の息吹がみなぎっています。(略)これほどリアルな少女の声が胸に響いてくる文学を、わたしは他に知りません。

 
★著者・小川洋子さんによる「はじめに」全文を「NHK出版デジタルマガジン」にて公開:https://mag.nhk-book.co.jp/article/14193

 

本書の構成

はじめに 文学作品として日記を読む

第1章 潜伏生活の始まり
日記が出版されるまで/言葉は心を外に放つ「通路」/アンネの育った環境と時代背景/支援者との強い絆/隠れ家への移動/親愛なるキティーへ

第2章 思春期の揺れる心
社交好きで空想家の愛すべき女の子/親友に宛てた二通の手紙/大人たちへの批判精神/母親への反抗心/父親への全面的な信頼/真理を描くとき、ユーモアが生まれる

第3章 性の芽生えと初恋
『アンネの日記』三つのバージョン/性に対する探究心/「生きたい」というエネルギーの表出/ペーターとの恋/はじめてのキス/ペーターの心遣い/アンネの心の成長/奪われた未来

第4章 希望を抱きながら
ノルマンディー上陸作戦の開始/イチゴジャム作りの一日/最後の日記/連行された日の出来事/隠れ家の住人たちの最期/紙に書かれた日記の強さ/アウシュヴィッツを訪ねて/物語の役割/言葉に向き合い、自分を獲得する
ブックス特別章 言葉はどのようにして人を救うのか
孤立と向き合う言葉/何かを学ぼうとする尊い力/深淵なアンネの思索/高い描写力/日記と万年筆/文学の言葉が人間の尊厳を守る

読書案内

おわりに

 

著者プロフィール

著者の小川洋子(おがわ・ようこ)さんは、1962年生まれ、岡山県出身。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。

1991年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、2013年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2020年『小箱』で野間文芸賞、2021年菊池寛賞を受賞、同年紫綬褒章を受章。その他、小説作品多数。エッセイに『アンネ・フランクの記憶』、『遠慮深いうたた寝』などがある。

 

NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記: 言葉はどのようにして人を救うのか
小川 洋子 (著)

苦難の日々を支えたのは、自らが紡いだ「言葉」だった。

 
【関連】
『アンネの日記』を読む ──小川洋子さんによる「はじめに」特別公開 | NHK出版デジタルマガジン

 


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