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【山田風太郎賞】池上永一さん『ヒストリア』が受賞

第八回山田風太郎賞の選考会が10月23日に開催され、池上永一さんの『ヒストリア』が受賞作に選ばれました。

 

第八回山田風太郎賞は池上永一さんの『ヒストリア』

受賞者の池上永一(いけがみ・えいいち)さんは、1970年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。1994年、早稲田大学在学中に「バガージマヌパナス」で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。1998年、『風車祭(カジマヤー)』が第118回直木賞候補となり話題となる。以後、『レキオス』や『シャングリ・ラ』などの壮大なスケールのSF作品、『テンペスト』『黙示録』などの沖縄を舞台にした歴史時代作品などで注目を集める。南米文学に影響を受け、沖縄との共通点を見出してマジック・リアリズムを作品に取り入れている。著書に『トロイメライ』『夏化粧』『統ばる島』など多数。

池上さんには、正賞として記念品が、副賞として100万円が贈られます。贈賞式は11月24日に開催。

 
選考委員は、奥泉光さん、京極夏彦さん、筒井康隆さん、林真理子さん、夢枕獏さん。

選考委員を代表して選評を述べた京極さんは「圧倒的なスケール感と、膨大な情報量を読み物としてさばいていく手並みは見事なもので、その点において図抜けていたことは間違いない。」「沖縄ではまだ戦争が続いているのだ、というメッセージもきちんと伝わってきた。」とコメント。

 
なお、候補作品は以下の5作品でした。

【候補作品】※敬称略
『ヒストリア』     池上永一(KADOKAWA)
『敵の名は、宮本武蔵』 木下昌輝(KADOKAWA)
『腐れ梅』       澤田瞳子(集英社)
『夜行』        森見登美彦(小学館)
『盤上の向日葵』    柚月裕子(中央公論新社)

 

山田風太郎賞について

山田風太郎賞は、戦後日本を代表する大衆小説作家・山田風太郎さんの「独創的な作品群と、その作家的姿勢への敬意を礎に、有望な作家の作品を発掘顕彰」するため、2010年にスタート(創設は2009年)された文学賞です。株式会社KADOKAWAと一般財団法人「角川文化振興財団」が主催。

毎年9月1日から翌年8月31日までに書籍として発表された長編および短編の文芸作品(ミステリ、時代、SFなどジャンルを問わない)の中より最も面白いと評価された作品に贈られます。新人、新進、中堅作家の作品が対象となります。

 

ヒストリア
20年の歳月をかけた著者最高傑作!

第二次世界大戦の米軍の沖縄上陸作戦で家族すべてを失い、魂(マブイ)を落としてしまった知花煉。一時の成功を収めるも米軍のお尋ね者となり、ボリビアへと逃亡するが、そこも楽園ではなかった。移民たちに与えられた土地は未開拓で、伝染病で息絶える者もいた。沖縄からも忘れ去られてしまう中、数々の試練を乗り越え、自分を取り戻そうとする煉。一方、マブイであるもう一人の煉はチェ・ゲバラに出会い恋に落ちてしまう……。果たして煉の魂の行方は?
『テンペスト』『シャングリ・ラ』の著者が20年の構想を経て描破した最高傑作!

 
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