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【第53回大宅壮一ノンフィクション賞】鈴木忠平さん『嫌われた監督』と樋田毅さん『彼は早稲田で死んだ』が受賞

第53回大宅壮一ノンフィクション賞が決定!

第53回大宅壮一ノンフィクション賞が決定!

日本文学振興会は5月13日、第53回大宅壮一ノンフィクション賞(大宅賞)の受賞作を発表しました。

 

第53回大宅壮一ノンフィクション賞が決定!

第53回大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員会が5月12日に開催され、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第53回大宅壮一ノンフィクション賞 受賞作品>

◎鈴木忠平(すずき・ただひら)さん
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)

◎樋田毅(ひだ・つよし)さん
『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』(文藝春秋)

 
選考委員は、梯久美子さん、後藤正治さん、佐藤優さん、出口治明さん、森健さん。

 
また、今回の候補作は以下の5作品でした。

【第53回大宅壮一ノンフィクション賞候補作】
◎インベカヲリ★さん『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』(KADOKAWA)
◎川内有緒さん『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(集英社インターナショナル)
◎鈴木忠平さん『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)
◎樋田毅さん『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』(文藝春秋)
◎三浦英之さん『災害特派員』(朝日新聞出版)

 

受賞者コメント&プロフィール

 
■『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』

鈴木忠平さん (c)文藝春秋

鈴木忠平さん (c)文藝春秋

【鈴木忠平さん 受賞コメント】

受賞に際しましてはまず、駆け出しの記者だった私に多大なものを与えてくださった当時の落合博満監督とご家族、中日球団関係者の皆様、日刊スポーツ新聞社の諸先輩方、本書に携わっていただいた方々に心より感謝申し上げます。私が書いたのは世の中と隔絶した人物のほんの一面に過ぎませんが、あの頃の鮮烈な体験をこれからの人生でも大切にしていきたいと思います。

 
<鈴木忠平さん プロフィール>

1977年生まれ。名古屋外国語大学卒業。日刊スポーツ新聞社、「Sports Graphic Number」編集部を経てフリーに。
著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(文春文庫)、構成を担当した作品に『清原和博 告白』(清原和博さん/文春文庫)、『薬物依存症』(清原和博さん/文藝春秋)。

 
〔作品〕
中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースではすべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。
秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。
著者が1対1の取材で得た、落合ならではの含蓄のある言葉。そして、福留孝介、川崎憲次郎、和田一浩、森野将彦ら、落合の深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言。そこから、異端の名将の実像に迫る。
ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞作。

 
■『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』

樋田毅さん (c)文藝春秋

樋田毅さん (c)文藝春秋

【樋田毅さん 受賞コメント】

長い間、胸の奥に溜めていた思いをまとめた作品で、憧れの賞をいただけることになり、感無量です。半世紀前、早稲田のキャンパスで吹き荒れた政治セクトの暴力に抗い、闘った仲間たちと喜びを分かち合います。

 
<樋田毅さん プロフィール>

1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。朝日新聞社の大阪社会部で同社阪神支局襲撃事件取材班のキャップとして『新聞社襲撃 テロリズムと対峙した15年』(岩波書店)をまとめた。大阪秘書役を務めた後、2017年に退職。2018年『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』を発表し、本格的な執筆活動に入る。
著書に『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)、『発達障害 食事・栄養・キレーション療法をご存じですか?』(ウェイツ)、『最後の社主 朝日新聞が秘封した「御影の令嬢」へのレクイエム』(講談社)。

 
〔作品〕
1972年に早稲田大学第一文学部二年生の川口大三郎さんが、革マル派の活動家に凄惨なリンチを受け、殺害される事件が起きる。これをきっかけに一般学生が蜂起し、著者は学内の自治を革マル派から取り戻すべく組織された、新自治会の委員長に就く。しかし、自らも鉄パイプでメッタ打ちにされて重傷を負い、仲間たちの暴力化を抑えることができず、無念の思いが残った。
大学卒業後、朝日新聞社会部記者となった著者は入社9年目に、朝日新聞「赤報隊」襲撃事件を経験する。その取材にあたる中、著者の脳裏に何度も浮かんだのは、学生時代から抱き続ける「不条理な暴力に人はどう抗いうるのか」という問いだった。
その大きな問いに本作で挑むにあたって、著者は当時の革マル派幹部や川口さん殺害に加わった実行犯など、50人以上の関係者を取材。新事実と、学生運動に関わった人々の半世紀後の姿が明らかになっていく――。

 

大宅壮一ノンフィクション賞について

大宅壮一ノンフィクション賞は、ジャーナリスト・大宅壮一さん(明治33年~昭和45年)の業績を記念して1970年に創設。各年の優れたノンフィクション作品を表彰する文学賞です。

公益財団法人日本文学振興会が主催し、株式会社文藝春秋が運営。前年1月1日から12月31日までに発表された、個人の筆者(共著を含む)によるルポルタージュ・内幕もの・旅行記・伝記・戦記・ドキュメンタリー等のノンフィクション作品全般を対象とします。

 
なお、同賞は2017年より「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」に名称を変更して開催されていましたが、2019年より名称を元の「大宅壮一ノンフィクション賞」に戻しています。

 

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか
鈴木 忠平 (著)

なぜ 語らないのか。
なぜ 俯いて歩くのか。
なぜ いつも独りなのか。
そしてなぜ 嫌われるのか――。

中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫る。
「週刊文春」連載時より大反響の傑作ノンフィクション、遂に書籍化!

彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠
樋田 毅 (著)

内ゲバが激化した一九七二年、革マル派による虐殺事件を機に蜂起した一般学生の自由獲得への闘い。いま明かされる衝撃の事実。

 
【関連】
大宅壮一ノンフィクション賞|日本文学振興会

 


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