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【第26回手塚治虫文化賞】魚豊さん『チ。ー地球の運動についてー』がマンガ大賞を受賞 新生賞に谷口菜津子さん、短編賞はオカヤイヅミさん

朝日新聞社は4月25日、第26回手塚治虫文化賞の受賞作品・受賞者を発表しました。

なお、贈呈式は6月2日(木)に東京・築地の浜離宮朝日ホールで開催。従来の紙だけでなくデジタル世界への進出が盛んなマンガ媒体の現状などについて語り合う記念イベントも予定されており、贈呈式・記念イベントには一般参加者200人を募集します。

 

第26回手塚治虫文化賞が決定!

第26回手塚治虫文化賞の各賞が、次の通り決定しました。

 
<第26回手塚治虫文化賞 受賞作品・受賞者>

■マンガ大賞(年間のベスト作品)

魚豊(うおと)さん
『チ。―地球の運動についてー』(小学館)

魚豊さんは、東京都出身。2018年、マガポケにて「ひゃくえむ。」でデビュー。2020年に『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて『チ。―地球の運動について―』の連載を開始。同作で「マンガ大賞2021」第2位、「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門第10位、「このマンガがすごい! 2022 オトコ編」第2位、「マンガ大賞2022」第5位など受賞歴多数。シリーズ累計発行部数200万部。先週4月18日発売の『スピリッツ』にて完結、最終第8集が6月30日頃発売予定。

 
■新生賞(斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者)

谷口菜津子(たにぐち・なつこ)さん
『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)、『今夜すきやきだよ』(新潮社)で多様性を柔らかな筆致で描いたことに対して

 
谷口菜津子さんは、Webや情報誌、コミック誌などでの執筆のほか、でんぱ組.inc「WWDD」のアートワークや、Eテレ「シャキーン!」のコーナー内作画なども担当。

■短編賞(短編、4コマ、1コマなどを対象にした作品・作者)

オカヤイヅミさん
『いいとしを』(KADOKAWA)、『白木蓮はきれいに散らない』(小学館)に対して

オカヤ イヅミさんは、1978年生まれ。東京都出身。独自の感性で日常を切り取った『いろちがい』で2011年デビュー。著書に、受賞作のほか『すきまめし』『続・すきまめし』『いのまま』『ものするひと』『みつば通り商店街にて』『おあとがよろしいようで』、加藤千恵さんとの共著『ごはんの時間割』など。

2021年、デビュー10周年を迎え、記念作品として『白木蓮はきれいに散らない』『いいとしを』を刊行。この2作は作品としては独立していながら、出版社の垣根を超えて装丁や発売日を揃え、「デビュー10周年記念作品」として刊行されました。受賞帯も「おそろい」の金帯で展開されます。
『いいとしを』は、母の他界を機に老齢の父と同居することになったバツイチの42歳男性が主人公、『白木蓮はきれいに散らない』は、高校の同級生の孤独死をきっかけに久々に集まった1963年生まれの女性3人が主人公。呼応しつつも異なる味わいの2作品です。

 
■特別賞(マンガ文化の発展に寄与した個人・団体)

該当なし

 
選考委員は、秋本治さん(漫画家)、里中満智子さん(マンガ家)、高橋みなみさん(タレント)、中条省平さん(学習院大学フランス語圏文化学科教授)、トミヤマユキコさん(ライター・東北芸術工科大学芸術学部准教授)、南信長さん(マンガ解説者)、矢部太郎さん(芸人・漫画家)、角田克さん(常務取締役コンテンツ・デジタル政策統括/編集担当)、喜多克尚さん(東京本社文化部長)。

 

贈呈式・記念イベントに一般から200人を募集

記念のトークイベントは、「マンガ媒体の変遷」がテーマです。講談社コミックDAYSの井上威朗編集長が登場。出版社や編集者、作家の視点などを通じてエピソードを織り交ぜながら語ります。聞き手は高橋みなみ選考委員。朝日新聞東京本社文化部の黒田健朗記者が進行を務めます。

来場者には、受賞者の描き下ろしやメッセージ、社外選考委員の選評などを収めた記念小冊子とオリジナル記念ピンバッジ(マグマ大使)をセットでプレゼントします。

高橋みなみさん

高橋みなみさん

井上威朗さん

井上威朗さん

【贈呈式・記念イベント概要】

■日時:2022年6月2日(木)14時~16時

■場所:浜離宮朝日ホール(東京・築地)

★申込み&詳細:http://t.asahi.com/26event

■締切:5月11日(水)
※応募多数の場合は抽選。当選者にはメールを送信します。
※新型コロナウイルスの感染拡大状況等で中止する場合があります。

 

手塚治虫文化賞について

手塚治虫文化賞

手塚治虫文化賞

手塚治虫文化賞は、日本のマンガ文化の発展・向上に大きな役割を果たした手塚治虫さんの業績を記念し、手塚さんの志を継いでマンガ文化の健全な発展に寄与することを目的に、朝日新聞社が1997年に創設したものです。

年間を通じて最も優れた作品に贈られる「マンガ大賞」のほかに、清新な才能を顕彰する「新生賞」と、短編・4コマ・1コマなどを対象とする「短編賞」、マンガ文化の発展に寄与した個人・団体に贈られる「特別賞」を選考委員の合議で決定します。

マンガ大賞には正賞としてアトム像と賞状、副賞として賞金200万円が贈られます。新生賞、短編賞、特別賞は各100万円。

鉄腕アトム像

鉄腕アトム像

 

チ。―地球の運動について― (1) (ビッグコミックス)
魚豊

動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。

舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――

命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!

教室の片隅で青春がはじまる (ビームコミックス)
谷口 菜津子 (著)

あの頃の私たちにとって“教室”は世界のすべてだった。

吉田まりもが主人公になれるのはいつだって一瞬だ。
有名になりたいだけなのに、いつも空回りして、イタイ奴になってしまう。
一方、宇宙人のネルは、地球で“〇〇〇がしたい”という夢があり……。
でこぼこなふたりの夢は、どこへ向かう……?

他にも、オタクであることを隠している子。
SNSで理想の自分を演じる子。
自分が特別だと信じて疑わない子。
イイ男とヤることで、自分の価値を確かめる子。

教室には、たくさんの“秘密”があって。
隣にいるあの子のことだって、本当はわかっていなくて。
大好きなあの子にだって、伝えられないことがあって。
ほんの少し窮屈で、ほんの少し愛しい関係を描く、青春オムニバス・ストーリー。

今夜すきやきだよ (BUNCH COMICS)
谷口 菜津子 (著)

フリーの内装デザイナーとして働くあいこは、結婚願望が強く、今の彼氏と結婚したいと思っている。でも家事はまったくできなくて、「家庭的な理想の奥さん像」を求める彼とすれ違い気味。絵本作家のともこは、家事は得意だけれど、世の中の結婚や恋愛があまりピンとこない。「理想の結婚相手が見つかるまでの間、とりあえず私と結婚しようよ」正反対のあいことともこ、アラサー女子の二人暮らし。普通の結婚ってなんだろう?

いいとしを
オカヤ イヅミ (著)

「男だから」「いい年をして」それって、本当にあってるのかな。

一人暮しを満喫していたバツイチ、42歳の灰田俊夫は、母の他界を機に東京都下に住む父と同居することに。久しぶりに帰った実家で、母の遺した500万円を見付け、何に使うか頭を悩ませるが……。
2度目の東京オリンピックにコロナ禍……揺れる世界で、父(72歳)と子(42歳)の二人暮らしはつづいていく。

白木蓮はきれいに散らない (ビッグコミックススペシャル)
オカヤ イヅミ (著)

しんどい現実を生きる女たちを照らす傑作!

オカヤイヅミ、デビュー10周年を飾る記念碑的な作品が誕生!!

数々の紙誌評で絶讃されたベストセラー『ものするひと』の作者が新たに描く「女と記憶と友達の話」。

◎「ほんとうは料理も掃除も洗濯も好きじゃない」専業主婦のマリ
◎「自分の身を守るなんてこの歳までしたことなかった」夫と離婚調停中のサヨ
◎「お嫁に行って子供を産まなきゃだめですか」キャリアウーマンのサトエ

1963年生まれの3人は高校時代の友達。同じクラスだったヒロミが、自らが所有する「白蓮荘」の部屋で孤独死したのをきっかけに久々に集まる。ヒロミが残した遺書にはなぜか、それほど親しくもなかった3人の名前が記されていて、庭に大きな白木蓮が植えられたアパートと謎の店子のその後についてのお願いが–

どうして3人だったのか。変わらない関係、変わりゆく状況の中で、それぞれ人生を見つめていく先に待ち受けているものは。「しんどい現実」を生きる3人の女性をあたたかな眼差しで描き出した野心作。

 
【編集担当からのおすすめ情報】
本作品は、「女性セブン」に連載したものに大幅加筆・修正を加えて単行本化したものです。連載中から反響は大きく、この度、オカヤさんのデビュー10周年となる記念の年に単行本化できたことは、望外の喜びです。

同日発売の『いいとしを』とは別作品ですが、川名潤さんに2作あわせてデザインを依頼し、同じ10周年ロゴを両方のオビに入れてもらいました。
どちらも、オカヤさんらしさと、これまでにないオカヤさんの挑戦が詰まった作品になっています。ぜひあわせてご堪能ください(※くり返しになりますが、別作品です)。

 
【関連】
マンガ大賞は最年少「チ。―地球の運動について―」 手塚治虫文化賞:朝日新聞デジタル

 


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