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2016年本屋大賞受賞の宮下奈都さんが『つぼみ』を刊行 6つの短編が出来るまでの11年間を振り返る

2016年本屋大賞受賞の宮下奈都さんが『つぼみ』を刊行 6つの短編が出来るまでの11年間を振り返る

2016年本屋大賞受賞の宮下奈都さんが『つぼみ』を刊行 6つの短編が出来るまでの11年間を振り返る

1億人の本と本屋の動画投稿サイト「本TUBE」を運営する旭屋書店では、2016年本屋大賞受賞の宮下奈都さんの新刊『つぼみ』発売を記念して、著者インタビューを実施しました。

◆本編再生はコチラ!
http://www.hon-tube.com/pc/movie.php?movieid=2112

 

6つの短編が出来るまでの11年間を振り返る―生活と執筆の密接な関係 中には主人公と長男の姿を重ねて執筆した作品も?

宮下奈都さんは、2004年、『静かな雨』が第98回文學界新人賞佳作に入選し、デビュー。2010年『よろこびの歌』が坪田譲治文学賞候補となり、さらには昨年『羊と鋼の森』が第154回直木三十五賞候補、第13回本屋大賞受賞作品として話題となりました。

本作『つぼみ』は、帯にある“宮下奈都11年の軌跡”という言葉通り、宮下さんが長い歳月をかけて大切に書き綴った物語を、6つの短編集にまとめたもの。11年を振り返りながら、作品への想いを語っています。

「11年というのは、4つ目に入っている『晴れた日に生まれたこども』という作品から数えてなんですが、あっという間でした。小説と生活が結びついているので、これまでを振り返ると、10年前これを書いていた頃、どこに住んでいたかとか、子どもが何年生だったとか重ねて考えますね。」

生活の中で感じたものが作品にも反映されているという宮下さん。親としては切ないお話に仕上がっている『なつかしいひと』は、当時まだ幼かった長男の姿を重ねて書いているということです。

「書いていたときに、主人公が長男と同じ年だったんですよ。彼だったらどうだろう?とか思いながら書いていて、書きながら辛いと感じることもありました。これを読み返すと、その時の気持ちが思い出せて、とても好きですね。でも長男自身、『なつかしいひと』が自分を重ねた作品ということは、知らないと思いますし、読んでいないと思います。(自分の作品を)読まないように頼んでいるので…。」

 

タイトルに込められた想い

丁寧に言葉を選びながら、手繰り寄せるように、語る宮下さん。『つぼみ』の短編たちが彼女に取って大切な作品であることが伝わってきますが、その強い想いはタイトルにも込められているようです。

「以前書いた『スコーレ№4』のスピンオフ作品が3編入っているのですが、それがお花に関する話だったこと。あとは、6編に共通するものを考えたときに、これから開こうとしている“つぼみ”だと考えた。タイトルは、ちょうどこれ以外にないなって思いましたね。もちろん登場人物の中に、大人もいるのですが、大人もここから枯れていくわけじゃない。違う形かもしれないけど、また花開くのかなと。」

主人公たちの織りなす物語は、どこか懐かしく、暖かく、身近にも感じ、読む者の心を打つ。一方で、宮下さんが哲学科出身ということもあり、哲学的な思想も作品世界に反映されており、作品に深みを与えている。
「花を活けるという精神的なものに憧れがあり、そういった思想は作品に込められていると思います。また、意識してこの哲学家の思想を出そうという事はしていないけれど、自分の良いと思っている考え方とか、哲学はどうしても反映されていると思うんですよね。」

育児をしながら執筆を続けている宮下さん。子供の存在や、成長を続ける彼らの感性が執筆の救いになっているそうです。執筆と生活が結びついている宮下さんにとって、彼らと過ごす時間や彼らの成長は、作品を形成する大切な要素となっています。
『つぼみ』には、そんな“宮下奈都の生活”とともに進化し続ける作品の軌跡が凝縮されています。

 

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つぼみ
話題作『スコーレ№4』の主人公麻子の妹・紗英、叔母・和歌子、父の元恋人・美奈子。それぞれがひたむきに花と向き合い葛藤するスピンオフ三編。(「手を挙げて」「まだまだ、」「あのひとの娘」)弟の晴彦は、高校を中退し勤めた会社もすぐに辞めて、アルバイトを転々とした後大検を受け、やっぱり働くと宣言して、いつもふらふらひらひらしている。不器用な弟と振り回される姉。そんな二人には、離婚した両親がまったく違って見えていた。(「晴れた日に生まれたこども」)どこかへ向かおうともがいている若き主人公たちの、みずみずしい世界のはじまり。凜としてたおやかに、6つのこれからの物語。

 
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