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【第48回星雲賞】日本長編部門は小林泰三さん『ウルトラマンF』 秋本治さん『こち亀』、池澤春菜さんエッセイなども

第48回星雲賞の受賞作品・受賞者が7月22日に発表されました。日本長編部門は小林泰三さんの『ウルトラマンF』が、メディア部門は庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』が、コミック部門には秋本治さんの『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が選ばれました。また、ノンフィクション部門は、声優・池澤春菜さんのエッセイ『SFのSは、ステキのS』が受賞しています。

 

星雲賞とは

星雲賞は1970年に創設された、SF作品およびSF活動を対象とした日本で最も長い歴史を誇る文学賞です。前年度に発表されたSF作品およびSF活動を対象に、毎年開催される「日本SF大会」の参加者の投票により受賞作品が決定します。1965年に結成された、日本のSFファングループ間の協議機構「日本SFファングループ連合会議」が運営。

「日本長編」「日本短編」「海外長編」「海外短編」「メディア」「コミック」「アート」「ノンフィクション」「自由」の9つの部門で構成されています。

 

第48回星雲賞 受賞作品・受賞者

第48回星雲賞の受賞作品・受賞者は次の通りです。〔敬称略〕

 
【日本長編部門(小説)】
『ウルトラマンF』 小林泰三
早川書房 単行本

 
【日本短編部門(小説)】
『最後にして最初のアイドル』 草野原々
早川書房 電子書籍

 
【海外長編部門(小説)】
『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』 ピーター・トライアス 中原尚哉・訳
早川書房(ハヤカワ文庫SF/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 
【海外短編部門(小説)】
『もどれ、過去へもどれ』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 小野田和子・訳
早川書房『あまたの星、宝冠のごとく』収録

『シミュラクラ』 ケン・リュウ 古沢嘉通・訳
早川書房 『S-Fマガジン』2016年12月号掲載

 
【メディア部門】
『シン・ゴジラ』 総監督:庵野秀明 監督・特技監督:樋口真嗣
製作:東宝

 
【コミック部門】
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 秋本治 集英社

【アート部門】
加藤直之

 
【ノンフィクション部門】
『SFのSは、ステキのS』 池澤春菜
早川書房 単行本

 
【自由部門】
「“ニホニウム”正式名称決定」
受賞対象者「113番元素研究グループ(代表:理化学研究所仁科加速器研究センター超重元素研究グループ グループディレクター 森田浩介)」
受賞理由:アジア初の元素名が周期表に載ることになったから。

 
小林泰三さんは日本長編部門2度目の受賞となりました。また、アート部門を受賞したイラストレーターの加藤直之さんは、通算7度目の受賞となります。

 
なお授賞式は、8月26日・27日に静岡県コンベンションアーツセンターにて開催される第56回日本SF大会で行われます。

 

ウルトラマンF (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)
円谷プロダクション×早川書房 SFマガジン 第三弾
ウルトラマンが去った後の地球で――

世界各国はウルトラマン不在の状況で、迫り来る異星人や怪獣に対抗する戦力の開発を進めていた。日本の科学特捜隊は、ウルトラマンだった男――早田進の身体の秘密を探る調査実験を行っていたが、かつてメフィラス星人によって巨大化させられた富士明子が、実験事故に巻き込まれたことで再びあのときの姿に戻ってしまう!
やがて、ビースト・ザ・ワン、棲星怪獣ジャミラ、暗黒破壊神、Uキラーザウルス、そしてハイパーゼットンといった恐るべき脅威が次々と来襲する。巨大化した明子は地球を守るため、井手光弘たちが開発した異星超技術のアーマーを装備して戦うが、その最中、謎の光に包まれて――。「これこそはパターン・ウルトラ! 」井手が叫ぶ言葉の先に、銀色に光輝く巨人が現れて……。
誰も見たことのないウルトラの戦士、ここに誕生!!

カバービジュアル/後藤正行(円谷プロダクション)
本文モノクロイラスト/増田幹生
カバーディレクション&デザイン/有馬トモユキ

 
最後にして最初のアイドル
“バイバイ、地球――ここでアイドル活動できて楽しかったよ。”
第4回ハヤカワSFコンテスト《特別賞》受賞作

時はアイドル戦国時代。生後6か月でアイドルオタクになった古月みかは、高校のアイドル部で出会った新園眞織とともに宇宙一のアイドルになることを目指す。しかし非情な現実が彼女の望みを打ち砕くのだった。それから数年後、謎の巨大太陽フレアが発生。地球人類は滅亡の危機に陥る。地獄のような世界をサヴァイヴする彼女たちが目にした、〈アイドル〉の最終局面とは? 著者自らが「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」と名付ける、最終選考会に嵐を巻き起こしたSFコンテスト史上最大の問題作。

 
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)
第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、情報統制を担当する帝国陸軍検閲局勤務の石村紅功大尉は、特別高等警察の槻野昭子の訪問を受ける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍を捜していた。軍事ゲーム開発の第一人者の将軍が消息を絶っているというのだ―21世紀版『高い城の男』の呼び声が高い、話題沸騰の改変歴史SF。

 
あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫SF)
地球からの異星調査隊が不思議な共生生物と出会い深い関係を結ぶ「いっしょに生きよう」、神の死の報を受け弔問に来た悪魔の考えた天国再活性化計画が意外な展開を見せる「悪魔、天国へ行く」、55年後の自分と2週間だけ入れ替わった男女が、驚愕の未来に当惑する「もどれ、過去へもどれ」など、その生涯にわたってSF界を驚かせ強い影響を与え続けて来た著者による、中期から晩年にかけて執筆された円熟の10篇を収録。

 
SFのSは、ステキのS (早川書房)
池澤春菜は声優である。しかしてその実態は、SFを始めとする趣味への道まっしぐらのオタク女子であり、なんぴともその行動を阻むことはできないのだ。SFマガジン連載時のcocoのマンガに加え五百項目に及ぶ「ステキな用語集」を書き下ろしたエッセイ集。

【出版社からのコメント】
人気声優・池澤春菜の信じがたい日常と非日常をつづったエッセイ集。星雲賞受賞希望!!
SFマガジン連載時のマンガに加え、用語解説を大量に書き下ろし!
こんな風に育てたつもりはないが、SF界の彼方にワープして去った娘の後ろ姿を電波望遠鏡で見る今日このごろ。──池澤夏樹氏推薦!

 
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2017年 第48回星雲賞

 


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