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【訃報】絵本作家の杉田豊さんが死去 筑波大学名誉教授

絵本作家でグラフィックデザイナーの杉田豊(すぎた・ゆたか)さんが5月19日、さいたま市の病院で死去しました。86歳。埼玉県出身。葬儀は近親者で済ませています。喪主は妻の定子さん。

 
杉田豊さんは、1930年生まれ。1979年に『ねずみのごちそう』(講談社)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞と第26回産経児童出版文化賞美術賞を、1980年に『うれしいひ』(至光社)で第11回講談社出版文化賞絵本賞を、1990年に『みんなうたってる』(至光社)で第37回産経児童出版文化賞を受賞。1994年より筑波大学名誉教授。

 
他の著書に、『どうぶつ あいうえお』(偕成社)、『おやすみなさい 1,2,3』(至光社)など。

 

ねずみのごちそう
ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞
産経児童出版文化賞美術賞受賞

ある日、丘の上のちいさな家にすむねずみのところへ、おなかをすかせたねこがやってきます。大よろこびのねずみは、手づくりのごちそうでもてなしますが……!?

私も、弱くもろい不完全な人間ですが、世の中には、自分が生きるために人をだましたり、いがみ合ったりする人々がいます。表面、平和な面差しなのに、その裏には、すきあらば相手を陥れたり我欲を満たそうとする眼差しが見えます。こんな社会に、もし、たいそうお人よしがぽつんといたとしたらどうでしょう。おそらく、周囲の一見堂々と見える人々より、ほんとうに強い人間だと思います。相手を疑わず、自分のできる力で接し、その結果の報酬も考えず、ただひたすら生きている喜びや、自然を愛する心をもっているお人よし。
そんな人間像、もしかしたら神様かもしれませんが、でも私には現実にいてほしいと願い、また、たくさんいると信じたいのです。それが、この「ねずみのごちそう」の絵本を画くきっかけになったのです。
そういえば、私の周囲にも、このねずみに近いお人よしが何人もいるようです。この本を見られている貴方もきっとその1人だと思います。──杉田豊

どうぶつ あいうえお (文字と数のほん)
ひらがな五十音文字が、ぜんぶ動物の名で覚えられる画集風の文字の絵本。的確に詩情豊かに描かれ、印象強く文字が覚えられます。

 


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