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【訃報】評論家・渡部昇一さんが死去 『知的生活の方法』など

保守論壇の重鎮・渡部昇一(わたなべ・しょういち)さんが4月17日、心不全のため東京都内の自宅で死去しました。86歳。葬儀・告別式は親族で行われます。喪主は妻の迪子(みちこ)さん。後日、お別れの会を開く予定。

 
渡部昇一さんは、山形県出身。上智大大学院修士課程修了後、独ミュンスター大大学院博士課程を修了。1971年に上智大教授に就任。専門は英語学で、『英文法史』『英語学史』などの専門書を著しました。2001年に上智大学より名誉教授の称号を受けています。

その後、評論活動も展開し、1976年に『腐敗の時代』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。同年に刊行された『知的生活の方法』は100万部を超えるベストセラーとなりました。

1985年に第1回正論大賞を受賞、2015年春に瑞宝中綬章を受勲。政府の税制調査会の特別委員などを歴任。

 
他の著書に、『日本史から見た日本人』『ドイツ参謀本部-その栄光と終焉』などがあります。

 

知的生活の方法 (講談社現代新書)
累計部数118万部超!! 講談社現代新書史上最大のベストセラー!!

「この本で私が意図したことは、本を読んだり物を書いたりする時間が生活の中に
大きな比重を占める人たちに、いくらかでも参考になることをのべることであった。
私は読書論とか学者の伝記を読むのが好きである。そして『なるほど』と思われたことは
自分でも工夫してみた。真似してよかったものもあるし、真似しきれなかったものもある。
(中略)そんなことを体験に即してのべてみたいと思った。(中略)
知的性格についての本が、現代の読者のためにも必要なのではないか、と思ったのは、
二十数年前に読んだハマトンの『知的生活』を数年前によみかえし、去年と今年また読みかえして非常な啓発を受けたからである。
上智大学の若い同僚たちや、大学院の学生たちにもすすめたところ、この人たちも非常な感銘を受けたようであった。
確かに知的生活に対する具体的なアドヴァイスが現代でも求められているのである」(「はじめに」より)

日常生活の中で、頭の回転を活発にし、オリジナルな発想を楽しむ。それが「知的生活」
改めて2010年代に生きる私たちに本当にたいせつな生活スタイルです。

時間に追われる現代人が、頭を活性化し、ユニークな発想を生み出すにはどうすればよいのか?
パソコン・スマホが普及するはるか以前、1976年に発行された本書ですが、そこには依然として「使える」ヒントが満載です。
多忙な日々でいかに自分の時間を作り、データを入手・整理し、それをオリジナルな発想にまで高めて行くのか──。
むしろ本書が提示するさまざまなヒントは、情報氾濫の時代である現代にこそ、ますます有効なものになっています。
ビジネスにも、またプライヴェートの充実のためにも必読の、現代人のための永遠のロングセラーです。

 
腐敗の時代 (PHP文庫)
ウォルポール時代のイギリスを例に取りつつ、政治的腐敗が必ずしも国民の不利益につながらないことを明らかにした「腐敗の効用」(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、進化論は自然科学ではなくイデオロギーであると看破した「歴史を見る目」ほか、「タブー用語について」「真の戦闘者・徳富蘇峰」など全8篇を収める。

 


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