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【齋藤茂吉短歌文学賞】橋本喜典さんの歌集『行きて帰る』に決定

第28回齋藤茂吉短歌文学賞は、橋本喜典さんの歌集『行きて帰る』に決定しました。

 
齋藤茂吉短歌文学賞は、山形県の生んだ歌人・齋藤茂吉が短歌文学の発展振興に寄与した功績を記念し、短歌の分野において優れた業績をあげた者を顕彰する全国レベルの賞として、山形県が平成元年度に創設。山形県知事を委員長とする齋藤茂吉短歌文学賞運営委員会が主催し、賞金は100万円。

平成28年1月1日から12月31日までに発行された歌集・歌論・歌人研究等を対象とし、全国の有名歌人等200名に推薦を依頼し、24作品を選出。24作品について、1月に選考委員による予備選考を行い、5作品を選出。2月に東京都内で選考委員会を開催し、5作品から受賞者・作品を決定しています。

 
橋本喜典さんは、短歌結社誌『まひる野』に入会し、窪田章一郎さんに師事。窪田さんの没後、『まひる野』の運営を担当し、2014年まで運営・編集委員長を務めました。日本歌人クラブ賞、短歌四季大賞、詩歌文学館賞、短歌新聞社賞、短歌研究賞などを受賞。

また、今年の第51回迢空賞も、同じく歌集『行きて帰る』で受賞しています。

 
今回の選考にあたり、「橋本氏は青年期を戦争下で過ごした昭和三年生まれ。その体験を踏まえた現代の日本のあり方への危惧に詩的な厚みがある。また、八十歳代の日々が抱く老いの自覚と苦しみ、それ故の日々のよろこびなど人生のもろもろへの温かい眼差しにも特色があり、その暮らしの味わいも得がたい魅力だった。長く作歌を続けてきた人ならではの包容力ある世界は短歌の奥深さを教えており、昨年刊行の作品集の中でも抜きん出た成果と評価が一致」したため、受賞となりました。

 
なお、贈呈式は5月14日に上山市体育文化センターで開催される「第43回斎藤茂吉記念全国大会」の席上で行われる予定です。

 

行きて帰る
詠えとごとく短歌はありぬ。いのちを愛しみ,時代を見据える,思念の歌556首
短歌研究賞受賞作「わが歌」、受賞後第一作「初蝶は」50首を収録

蒼波のわだつみの声に杭を打つ「だまれ」はかつての軍人言葉
初蝶は而立の袖にまつはりて八十八の袂にも来む
あこがれは行きて帰るの心なり谺はかへる言霊もまた

 

【関連】
第28回齋藤茂吉短歌文学賞の決定について〔PDF〕

 


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