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『友だち幻想』が発行部数30万部を突破! 発売は10年前、直近7ヶ月で24万部以上

『友だち幻想』が発行部数30万部を突破!

『友だち幻想』が発行部数30万部を突破!

筑摩書房が2008年に刊行した菅野仁さん著『友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える』(ちくまプリマー新書)が、10年後のいま、反響をよんでいます。

今年4月の時点で、刊行から9年間の4万部を合わせ、累計発行部数が18万部を突破していましたが、勢いは止まらず、今年になってからの7カ月間だけで24万5,000部の重版がかかり、2018年7月30日の28刷によって累計発行部数が30万部を突破しました(2018年7月31日現在 28刷 累計発行部数30万1,200部)。

 

『友だち幻想』とは

『友だち幻想』は、筑摩書房の中高生向けシリーズ「ちくまプリマー新書」から2008年3月に刊行されました。社会学を専門とする著者が、人間関係で初めてつまずきを感じる多感な年頃の中・高校生に向けて書いた実用的社会学の本です。

著者の菅野さんは執筆時、人付き合いが苦手な小学生の長女が「なんでみんなと一緒に遊ばないの?」と、教師からクラスになじむよう何度も注意されていた様子を見て、自分は娘に一体何をしてやれるんだろうか?と考えたことがきっかけとなり、教育者、そして子を想う父親の視点から本書が書かれました。

 

10年後の大ブレイク

本書は中高生向けシリーズのため「友だち」という言葉が全面に出ていますが、家族(嫁姑問題)、恋人、職場関係、ママ友パパ友……といった、自分以外の身近な「他者」すべてとの関係をどうとり結ぶかが主題となっています。

10年前と比べると、SNSなどコミュニケーションツールの発達により、他者とのつながりがより複雑に、プレッシャーにもなっていると感じる人も多くなっているように思います。「メールの即レス」で愛情が測定されたり、浮くのが怖くて周りに意見を合わせたりと、親しさを意識するほど、とかく心が休まらない状況が起きやすくなっています。またその一方で、インターネットを駆使し、人と会わずに一人でも生きていける時代でもあります。

刊行当時は若者を中心とした月間平均100冊程度の売れ行きでしたが、読みやすい文章と、具体的で現実的な対処法が世代を問わず多くの人に受け入れられ、2017年初頭からじわじわと売り上げが上昇しました。

そんな中、2018年4月に日本テレビ系列『世界一受けたい授業』で又吉直樹さんが本書を紹介し、本書の存在が一気に広まりました。放送後の月間販売冊数は3万冊以上になり、TV、新聞、雑誌、ラジオ、ネット…各メディアでも続々紹介が続き、難しい現代社会で求められている〈親しさ〉と〈つながり〉をとらえ直すための格好の指南書として、注目を集めています。

 
本書には、多くの方から絶賛の声が寄せられています。

「まずは目次を見てほしい。友だち、人との付き合い方のすべてが書かれています。この本に書かれているのは、生きていくために大切なことのすべてです。人間関係とは何か。どうすればいいか。カンタンで深い答えがここにあります。」
― 齋藤孝さん(明治大学教授)

「わたしは、人付き合いが苦手。でも「他者と共存することはできる」とこの本は教えてくれました。多くの人が独りでいたいし、皆といたい……そんな矛盾の原因と対処法を教えてくれる本です。」
― 壇蜜さん(タレント)

「近いと大変で遠いとさびしい他人との「間合い」のとり方。共感という幻想から自由になる方法。刊行から十年の「現代の古典」には、生きる上で大切な「心の智慧」が詰まっている。」
― 茂木健一郎さん(脳科学者)

「私たちは世間という幻想の中に住んでいる。
中でも厄介な「友だち」について、これほど明快に解説した本は他にない。
読めば心が軽くなる。世界がスッキリ見えてくる。」
― 小島慶子さん(エッセイスト)

「かつて同調圧力に服する共同体的な作法は、生存戦略と結びついたリアリズムであった。だがシステムが生存戦略を用済みにした今、意外にも若者の同調圧力は強くなるばかり。作法を知らずに多様性が不安なのが背景だ。本書は不安を超えるべく新たな作法を示す。これを読めばあなたの人生は変わるはずだ。」
― 宮台真司さん(社会学者)

「お互いを縛る、窮屈な友だち関係になっていませんか?自分たちの「関係」を見つめなおす視点を、菅野さんは鮮やかに提示してくれます。」
― 西研さん(哲学者)

「菅野さん、こんな素晴らしい本を残してくれて、本当にありがとうございました。この本は、これからもずっと、多くの若者の心に届き続けるに違いありません。」
― 苫野一徳さん(哲学者、教育学者)

「既読スルー」「即レス」といった言葉が関係性を操る言葉として浸透してしまったように、人間関係という幻想にわざわざ輪郭を与え、わざわざ傷ついている。十年前の本が、今改めて読まれているのは、「幻想」の強要が、いよいよしんどくなってきたからなのだろうか。」
― 武田砂鉄さん(ライター)朝日新聞「売れてる本」2018.5.19付

「友だちの多い子を理想化してしまいがちな大人たちにも読まれるべき本だと思う。」
― 朝比奈あすかさん(作家)読売新聞夕刊「ひらづみ!」2018.6.4付

「人はどうせ他者なのだから――。菅野さんが説く距離感の大切さが、スマホ社会の今に強く響くのだろう。」
― 塩原賢さん(朝日新聞記者)朝日新聞 2017.6.6付

「近しい関係こそ大切だと思っているから、十分気をつかっていたつもりなのに、うまくいかないのはなぜだろう。この本を読んで、その理由がわかった。」
― 一般読者

「冷静なまなざしは残しつつ、こんな風に自分の身の上話を交えながら読者に優しく語りかけてくれる社会学者に初めて出会った。読みながら心の底のモヤモヤが晴れていく。「人付き合いは苦手だ。でも、一歩踏み出してみよう」

そんな勇気が湧いてくる1冊に出会えた。」
― 一般読者

 

本書の内容

・苦手な相手とは無理に仲良くなろうと頑張らなくても良い。
・どんなに仲の良い友だちでも、100%理解できる友だちなんてありえない。
・気の合わない人とでも一緒にいる作法を身に付けることが重要。
・「親しさか、敵対か」の二者択一ではなく、態度保留という真ん中の道を選ぶことが大切。
・挨拶をするだけの関係性も、距離の取り方のひとつ。

友だちは大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのか?このような疑問を抱く人は、時代を問わず少なくないと思います。本書では、「みんな仲良く」という理念や「私を丸ごと受け入れてくれる人がきっといる」という考えは幻想であり、その幻想の中から真の親しさは得られない、と語ります。さらに、人と人との距離感覚をみがいて上手に“つながり”を築けるようにするためには、人付き合いのルールを知り、ほんの少しの作法を身に付ける必要がある。そうすれば、複雑な人間関係の中で必要以上に傷つかず、しなやかに生きられるようになる、と説いています。

このように「人付き合い」に悩む方への処方箋として長く読まれているとともに、初学者向けに社会学を紹介するテキストとしても定評を得て、中学から大学の課題図書や入試問題文としても繰り返し使われています。

★試し読み・特設サイト:http://www.chikumashobo.co.jp/special/friend_illusion/

 

菅野仁さん プロフィール

著者の菅野仁(かんの・ひとし)さんは、1960年宮城県仙台市生まれ。仙台第一高等学校卒業。1989年東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得。東北大学文学部助手などを経て、1996年宮城教育大学教育学部助教授、2006年より同大学教授。2016年より同大学副学長(学務担当)を兼任。専攻は社会学(社会学思想史・コミュニケーション論・地域社会論)。G.ジンメルやM.ウェーバーなど古典社会学の現代的な読み直しをベースとし、「“自分の問題”として〈社会〉について考えるための知的技法の追究」をテーマに、考察を続けている。

著書『18分集中法――時間の「質」を高める』(ちくま新書)、『ジンメル・つながりの哲学』(NHKブックス)、『愛の本――他者との〈つながり〉を持て余すあなたへ』(PHP研究所)、共著に『社会学にできること』(ちくまプリマー新書)、『コミュニケーションの社会学』(有斐閣)、『いまこの国で大人になるということ』(紀伊國屋書店)、『はじめての哲学史』(有斐閣)など。

2016年、没。

 

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)
「人付き合い」に悩む全ての人へ
人付き合いのルールを知り少しの作法を身に付けるだけで、複雑な人間関係の中で必要以上に傷つかず、しなやかに生きられるようになる処方箋のような本!
友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に“つながり”を築けるようになろう。
「みんな仲良く」という理念、「私を丸ごと受け入れてくれる人がきっといる」という幻想の中に真の親しさは得られない! 人間関係を根本から見直す、実用的社会学の新定番書。
これでもう、「みんな仲良く」のプレッシャーとはさようなら。

 
【関連】
筑摩書房 「みんな仲良く」のプレッシャーとさようなら 友だち幻想─人と人の〈つながり〉を考える 菅野 仁 著
『友だち幻想』複雑な人間関係の中で生きる現代人への「処方箋のような本」 | B O O K P O O H

 


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