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第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の父』で門井慶喜さんが「宮沢賢治の父を主人公にした動機」とは

第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の父』で門井慶喜さんが「宮沢賢治の父を主人公にした動機」とは

第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の父』で門井慶喜さんが「宮沢賢治の父を主人公にした動機」とは

1億人の本と本屋の動画投稿サイト「本TUBE」を運営する旭屋書店では、3月31日から各店舗で“2018年…これは抑えておきたい旬な一冊”にて、門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』を取り上げるのに連動して、門井さんへのインタビューも実施しました。

★本編再生はコチラ!
http://www.hon-tube.com/pc/movie.php?movieid=2458

 

『銀河鉄道の父』インタビュー!門井慶喜が“宮沢賢治の父を主人公にした動機”とは? 歴史への強いこだわりから生まれた考え方「根拠のある想像」についても語る

旭屋書店では、門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』 (講談社)の第158回直木賞受賞を記念し、著者インタビューを実施しました。

門井さんは2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。2015年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、2016年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となり、遂に『銀河鉄道の父』で、2018年第158回直木賞を受賞しました。

本作品は、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描き、宮沢親子の関わり合いや想いを鋭く描写しています。あの宮沢賢治のごく普通の青年としての一面や、これまで誰も焦点を当てなかった賢治の父・宮沢政次郎の“父でありすぎた” 生き方など、新鮮な内容で構成された、これまでにない感動を味わえる一冊です。

 
――第158回直木賞受賞、おめでとうございます!受賞を聞いた時のお気持ちはどうでしたか?

ありがとうございます!周りにいた各社の担当の方が喜んでいる様子を見て、「嬉しいなぁ。」と思っていました。ところが後で映像を見たら自分が一番喜んでいましたね(笑)。

――本作では、なぜ宮沢賢治を主人公ではなく、父の政次郎さんを主人公に選んだのでしょうか?

きっかけは漫画なんです。僕は3人の息子がいるのですが、子供たちに学習漫画、伝記漫画を買ってあげたんです。その中に宮沢賢治の漫画があり、読んでみると、ちょっとだけ出てくる宮沢政次郎さんが僕にはとても立派に見えたんです。

――どういう風に描かれていたんですか?

どちらかというと悪役です。ただ、賢治を抑圧する、思うような道に進ませないのも本当は一種の責任感であって、決して賢治をいじめたいからとか悪意があるからではない。このことを僕が小説にすることで読者に何か届けられるのではないかと思ったんです。

――それで主人公に宮沢政次郎さんを選ばれたんですね。

僕が調べた限りでは宮沢政次郎さんの本はない。これは僕としては燃えますね、僕が書けばそれが最初の本になるわけですから。宮沢賢治の本は世の中にはたくさんある、そういう意味でも僕の本は読者に驚きをもって受け止めてもらえるのではないかと考えました。

――これまでに政次郎さんの本がない、資料がない中で、内面を描くというのは先生の想像力に頼る部分になると思うのですが、どのようにして書いていらっしゃるのですか?

歴史小説の場合は史実として絶対に動かないものがありますが、一方で史実にはない、誰にも分からない部分も存在します。ただ単純に分からないからといって埋 めたのでは、読者に気付かれてしまうんです。たとえフィクションを作る時でもしっかりと調べなければいけない。周りを調べて固めていって、最後に残ったも のを想像力で補うようにしています。これを僕は「根拠のある想像」と呼んでいます。

――門井先生は歴史人物をテーマにされている作品が多く、お名前も歴史にゆかりがあるようですが、こだわりをお持ちなのでしょうか?

歴史にはとても強くこだわる方です。私はもともと現代小説を書いてデビューしたのですが、ミステリーを書いていても題材にするのは美術であったり、歴史的な ものであったり、文化財が多いんです。それをノンフィクションという形ではなく、色んな心理的なものとか、人間にとっての本来的な真実であるとか、そうい うものを交えたフィクションとして読者に届けるのが僕の役割だと考えています。

 

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銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞
この小説に描かれた宮沢賢治はごく普通の青年で、そこがとても新鮮である。

生き生きとした等身大の賢治像が立ち現れたのは、父である政次郎の視点から描くという構造によるところも大きい。この父がじつに偉大だ。賢治は家業の質屋が肌に合わず自分で事業を起こそうとしたり、国柱会の布教活動に熱中したりする。若さゆえの前のめりだ。父はそんな賢治を厳しくたしなめつつも援助を惜しまない。子が病気になれば病院に泊まり込んで看病までする。成功した実業家であり家族思いの父。偉大過ぎる親を持つ息子が、もがき苦しんだ末に儚く美しい詩と童話を紡ぎ出したことは、切なくも運命的だ。

父を超えたい、という不変の命題に賢治も向き合っていたかと思うと、彼の作品にもいちだんと親しみが湧いてくる。

評者:石原さくら

(週刊朝日 掲載)

 
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