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梶よう子さん「新田次郎文学賞」受賞作『広重ぶるう』が文庫化&ドラマ化

梶よう子さんの「第42回新田次郎文学賞」受賞作『広重ぶるう』が文庫化され、新潮文庫より刊行されました。
ゴッホにも影響を与え、北斎と並び日本を代表する絵師、歌川広重。その人生は意外な驚きに満ちています。まったく売れない絵師だった広重が、いかにして〈世界のHIROSHIGE〉になったのか。知られざる生涯を生き生きと描いた作品です。

なお、同作品を原作とするドラマがBSプレミアム4Kにて阿部サダヲさん、優香さん出演で2024年3月23日(土)夜10:00から放送されます。

 

北斎と張り合った貧乏絵師が〈名所絵の広重〉となるまでの涙と人情と意地の人生

武家に生まれた歌川広重は絵師を志しますが、当時、人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞でした。彼らの絵は発売と同時に飛ぶように売れ、売れることが地位を高め盤石にしていきます。いつの世も変わらないベストセラー作家の強さ。

 
それにひきかえ、広重の美人画や役者絵は、「色気がない」とか、「まるで似ていない」と酷評ばかり。今でいえば、星一つのレビューが、さらに負の循環を生んでいたといったところでしょうか。当然、絵は売れず、金もなく、鳴かず飛ばずの貧乏暮らし。広重を支えるのは糟糠の妻、加代。世に認められず焦る広重をそばで見守り、夫の夢を信じていました。

 
食えずに追いつめられても、自分には絵を描くことしかないと切歯扼腕。広重は、ついにある色に出会います。それは、舶来の顔料「ベロ藍」。その藍色は、簡単に使いこなせる色ではありませんでしたが、しかし広重の胸は熱く高鳴ります。

 
――俺は描きたい、江戸の空を、深くて艶やかなこの「青」で――。

 
売れない絵師が、やがて「東海道五拾三次」や「名所江戸百景」を描き、ゴッホを魅了した〈世界の広重〉になるまでを描く、意地と涙の物語です。

 

著者プロフィール

梶よう子(かじ・ようこ)さんは、東京都出身。フリーライターとして活動するかたわら小説を執筆。

2005(平成17)年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。2008年「一朝の夢」で松本清張賞を受賞。2016年『ヨイ豊』で直木賞候補、同年、同作で歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。2023(令和5)年『広重ぶるう』で新田次郎文学賞受賞。

著書に「みとや・お瑛仕入帖」「朝顔同心」「御薬園同心 水上草介」「ことり屋おけい探鳥双紙」「とむらい屋颯太」などのシリーズ諸作、『立身いたしたく候』『葵の月』『北斎まんだら』『赤い風』『我、鉄路を拓かん』『雨露』ほか多数。

 

広重ぶるう (新潮文庫)
梶 よう子 (著)

描きたいんだ、江戸の空を、深くて艶やかなこの「藍色」で――。
武家に生まれた歌川広重は絵師を志すが、人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞だった。一方、広重の美人画や役者絵は、色気がない、似ていないと酷評ばかり。絵は売れず、金もなく、鳴かず飛ばずの貧乏暮らし。それでも、絵を描くしかないと切歯扼腕するなかで、広重が出会ったのは、舶来の高価な顔料「ベロ藍」だった……。『東海道五拾三次』や『名所江戸百景』を描き、ゴッホを魅了した〈日本の広重〉になるまでの、意地と涙の人生を描く傑作。新田次郎文学賞受賞作。

 
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試し読み | 梶よう子 『広重ぶるう』 | 新潮社

 


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