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10代20代は人前で褒められたくない世代――『「今どきの若者」のリアル』が刊行

山田昌弘さん編著『「今どきの若者」のリアル』がPHP研究所より刊行されました。本書は、Z世代と称される若者たちが置かれている現状とその背景について、研究者やノンフィクション作家たち16人による解説を収録した論考アンソロジーです。

 

世代間の分断を緩和し、今と未来を考えるヒント

いつの時代も、若者には「けしからん」「理解できない」という否定的な声がついて回ります。それは彼らが、いずれ社会の中心となる注目すべき存在だからに他なりません。

 
「格差社会」「婚活」を世に広めた社会学者で、本書の編著者である山田昌弘さんは、今の若者が置かれている状況は、中高年世代が作りだしたものだということを忘れてはならないと考えています。

『「今どきの若者」のリアル』まえがきでは、この論考集を読むうえで大切なポイントとして、
「若者の置かれている経済基盤」「情報環境の変化」「世代内格差の拡大」を挙げ、「世代間対立にならないためにも、若者の将来にとってどのような社会が望ましいのか、考えていく必要がある。本書がそのヒントとなれば幸いである」
と述べています。

 

若者論、Z世代における最先端のテーマ

『「今どきの若者」のリアル』には、月刊『Voice』2022年5月号~同2023年12月号に掲載された論考から厳選した15編に、書き下ろし1編を加えた16編を収録。マッチングアプリの功罪、複雑な承認欲求、変容する消費行動など、当世の若者の思考が多面的に分析されており、日本の今と未来を考えるヒントを浮かび上がらせます。

 
【本書で取り上げる若者の実態】
●10代から20代は人前で褒められたくない世代
●「ゆるい職場」だと自分は成長できるのかと不安になる
●「SDGsに配慮したモノだと、堂々と胸を張れる」など「意味のある消費」を望む
●「推し」が出るならテレビを観る
●韓国人男性に惹かれる日本人女性
●「若者の本離れ」というウソ――近年の小中学生は1955年以降で最も平均読書冊数が多い
●困窮して身体を売る人たち
●誤解されるヤングケアラー

 

本書の構成

第一章 Z世代はなぜ「イミ(意味)消費」に向かうのか? 牛窪 恵

第二章 世代間対立に潜む「正義の独善」 萱野稔人

第三章 マッチングアプリと恋愛コスパ主義 山田昌弘

第四章 「みなまで言うな」は通じない 山口 航

第五章 認められたいけど目立ちたくはない 金間大介

第六章 「無敵の人」を生まないためにできること 阿部真大

第七章 政府公表「自殺者数減少」は真実か 末木 新

第八章 差別と偏見に苦しむヤングケアラー 濱島淑恵

第九章 なぜ「ゆるい職場」を辞めるのか 古屋星斗

第十章 「若者の本離れ」というウソ 飯田一史

第十一章 「言葉の転換期」で格闘する若者たち ひきたよしあき

第十二章 韓国人男性に惹かれる日本人女性 安宿緑

第十三章 カラダを売らざるをえないZ世代  中村淳彦

第十四章 「推し」が出るならテレビを観る 道満綾香

第十五章 『古見さんは、コミュ症です。』に見る、イベント化した日常世界 谷川嘉浩

第十六章 地域間格差と若者の希望 轡田竜蔵

 

編著者プロフィール

山田昌弘(やまだ・まさひろ)さんは、中央大学文学部教授。1957年生まれ、東京都出身。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は家族社会学。「パラサイト・シングル」「格差社会」「婚活」などの言葉を世に広めたことでも知られる。

著書に『希望格差社会』(筑摩書房)、『新型格差社会』『結婚不要社会』(いずれも朝日新書)、『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書)など多数。

 

「今どきの若者」のリアル (PHP新書)
山田 昌弘 (著, 編集)

「今どきの若者は〇〇だね」と自らの印象で語られがちだが、研究者やノンフィクション作家たちは若者をどう捉えているのか。 「承認欲求はあるが人前では褒められたくない」「『ゆるい職場』だと自分は成長できるのかと不安になる」「『SDGsに配慮したモノだと、堂々と胸を張れる』など『意味のある消費』を望む」……。Z世代の思考を知り、日本の今と将来を考える。

 


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