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なぜブルガリア人はヨーグルトを食べる? 岡根谷実里さん『世界の食卓から社会が見える』が刊行

台所研究家・岡根谷実里さんが食と政治・宗教・環境・民族との関係を語る『世界の食卓から社会が見える』が大和書房より刊行されました。

 

難民、宗教、技能実習生、環境問題……世界を取り巻く問題を食卓から読み解く

世界各地の家庭に滞在し、その家の人とその土地の食材で料理をして食卓を囲むと、それまで気づかなった疑問が湧いてくる――

 
◎肉とチーズを一緒に食べることが宗教的にだめってどういう理屈だろう
◎ブルガリアの人って本当にヨーグルトをたくさん食べるんだろうか
◎どうしてここのほうれん草は日本のより味が強いんだろう
◎なぜアボカド産地なのにいいアボカドが買えないのだろう

……そんな疑問から、食べ物と政治、宗教、環境、教育、気候、民族などとのつながりを解き明かしていく本書は、台所探検家・岡根谷実里さんが探る「おいしい/おいしくない」を超えた料理の向こう側の話です。

 
<マクドナルドにチーズバーガーがない国がある>

イスラエルのマクドナルドにはチーズバーガーがない。その理由は、ユダヤ教のコーシャの中に「同じ料理と乳製品を同時に食べてはいけない」という規定があるためである。食戒律には生物学視点で考察すると、衛星や技術が整わない時代に適したルールであるように思えてくる。
読めば読むほど引き込まれる食から見る社会。

 

本書の構成

第1章 食と政治
ブルガリア ヨーグルトは本当に「伝統食」か?
メキシコ アメリカナイズされるタコス
ベトナム 元技能実習生たちが作る精進料理
スーダン パンの普及が生活を揺るがす 
★コラム1 おみやげに喜ばれる日本のお菓子は?

第2章 食と宗教 
イスラエル マクドナルドにチーズバーガーがない――食べ合わせの謎に迫る
インド 世界一厳しい? ジャイナ教の菜食と生命観
★コラム2 機内食に見るフード・ダイバーシティ

第3章 食と地球環境
ボツワナ アフリカの大地で出会った、タンパク質危機を救う最強の魚
メキシコ アボカド人気が大地を渇かす
★コラム3 世界のサバ缶30種を食べ比べてみた

第4章 食の創造性
フィンランド  パンケーキ作りに透けてみえる子ども中心教育
ベトナム 代替肉のルーツを探して寺の台所へ

第5章 食料生産
キューバ 食料配給制が残るオーガニック農業先進国
中国・上海 安心して食べられる野菜を求めて
ボツワナ 牛肉大国でなぜ虫を食べるのか?
★コラム4 卵大国の日本、なぜ卵はずっと安いのか?

第6章 伝統食と課題   
モルドバ 自家製ワイン文化とアルコール問題
中華文化圏 進化する月餅と増える廃棄
★コラム5 ラマダンの時期、世界の食欲は増す
 
第7章 食と気候
ウズベキスタン 日本の野菜は水っぽい?
コロンビア 豊富な気候帯が生み出す一杯のスープ
★コラム6 世界の家庭の朝食はパンとシリアル化が進む

第8章 食と民族
パレスチナ 国境よりも堅いオリーブの木と自家製オリーブ漬けの誇り
ヨルダン シリア難民がもたらした食文化

 

著者プロフィール

著者の岡根谷実里(おかねや・みさと)さんは、1989年生まれ、長野県出身。世界の台所探検家。

東京大学大学院工学系研究科修士修了後、クックパッド株式会社に勤務し、独立。世界各地の家庭の台所を訪れて一緒に料理をし、料理を通して見える暮らしや社会の様子を発信している。講演・執筆・研究のほか、全国の小中高校への出張授業も実施。訪問国/地域は60以上。立命館大学BKC社系研究機構客員協力研究員、大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)連携研究員。

著書に『世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる』(青幻舎)、翻訳絵本『世界の市場 おいしい! たのしい! 24のまちでお買いもの』(河出書房新社)など。好きな食べ物はおやき。

 

 


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