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カポーティの未発表短編集を文庫化!『ここから世界が始まる』が刊行 解説は村上春樹さん

『ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集』

『ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集』

新潮社は、アメリカの作家トルーマン・カポーティが高校の文芸誌に掲載した7作を含む、思春期から20代初めにかけて書いた未発表短編14篇からなる貴重な作品集『ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集』文庫版を刊行しました。

解説はカポーティの人気作品『ティファニーで朝食を』の翻訳でも知られる村上春樹さんが寄稿。資料性が高いだけではなく、「早熟の天才」との評そのままの煌めく才能の片鱗に触れることができる作品となっています。

 

『ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集』概要

 
【あらすじ】

差別の激しい土地に生まれ、同性愛者として長じ、「八歳で作家になった」と豪語したという天才はデビュー前から天才だった。ニューヨーク公共図書館が秘蔵する貴重な未刊行作品を厳選した14篇。ホームレス、老女、淋しい子どもなど、社会の外縁にいる者に共感し、仄暗い祝祭へと昇華させるさまは、作家自身の波乱の生涯を予感させる。明晰な声によって物語を彫琢する手腕の原点を堪能できる選集。

 
<村上春樹さん「解説」より>

これらの作品を読み通してみて、まず僕が抱いたのは、何かを書かずにはいられない人が、何かを書き続けているうちに、重要なものごとを徐々に掴み取っていく(あるいは囓り取っていく)プロセスを僕らは目の前にしているのだという、一種の目撃者的感覚である。

 
<小川高義さん「訳者あとがき」より>

こんなに若いうちから、鮮やかな描写力、ときに詩的にも幻想的にもなる表現を身につけていた早熟の作家の、みごとな若書きを楽しむのがよいだろう。ゴシック的、と言われることの多いアメリカ南部の作家らしい特質を充分に発揮している。訳者がポーを思い出したのも、そのせいかもしれない。

 
〔識者、主要メディアからの評価〕

本書には国内外から高評価が寄せられています。

「デビュー作には作家の全てがある、と人は言う。だが本書が教えてくれるのは、すでに習作の時代から天才というのは一向にブレることがない、という一点である」
――巽孝之さん(産経新聞2019年4月7日付)

「この作家の若さゆえの生々しさを伝えることに成功している。これらの物語は、カポーティが南部の田舎や大都会、そして彼の周りの多くの人が口に出さずにおこうと決めていた微妙な感情をとらえることに飢えていた瞬間をとらえている」
――USAトゥデイ

「この若い作家の新しい声と創造性を見ることができる。わずかな文章で時間、場所、雰囲気を呼び起こすカポーティの能力は驚くべきものだ」
――AP通信

 

本書の目次

分かれる道
水車場の店
ヒルダ
ミス・ベル・ランキン
もし忘れたら
火中の蛾
沼地の恐怖
知っていて知らない人
ルイーズ
これはジェイミーに
ルーシー
西行車線
似た者同士
ここから世界が始まる

編集後記 デヴィッド・エバーショフ(ランダムハウス社エディター)
作品解題 ヒルトン・アルス(「ニューヨーカー」スタッフライター)
カポーティ略伝
訳者あとがき 小川高義
天才作家の天才的習作 村上春樹

 

ここから世界が始まる (新潮文庫)
トルーマン・カポーティ (著), 小川 高義 (翻訳)

 


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