本のページ

SINCE 1991

経済格差は人類がアフリカを出たときから始まっていた!?『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』が刊行

オデッド・ガローさん著『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』

オデッド・ガローさん著『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』

ノーベル経済学賞候補とされる経済学者オデッド・ガローさんが、人類史上究極の謎である「なぜ、世界に格差が存在するのか」に挑み、鮮やかに解き明かす『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』がNHK出版より9月28日に刊行されます。

 

人類史上最大のミステリーを解き明かし、未来への指針を示す!

現代の国家間や地域間に存在する貧富の巨大な差の根本原因は、何なのでしょうか?
経済格差を考えるうえで、興味深い事実を紹介しましょう。実は、人類が誕生して以来30万年近くもの間、つい200年前の19世紀になるまで、世界中にほとんど大きな経済格差はなく、生活水準はほぼ一定だったのです。

 
図1を見るとわかるとおり、世界各地の1人当たりの所得は19世紀までずっと生存水準ぎりぎりのところで停滞していました。それが19世紀に急上昇しているのがわかります。

 
また、人類は19世紀以降に経済成長を果たしたものの、その歩みは一様ではありませんでした。図2は、過去2世紀における世界各地の1人当たりの所得の相違を示しています。西ヨーロッパ諸国と、北アメリカやオセアニアなど西ヨーロッパから派生した国の一部では、早くも19世紀に生活水準が飛躍的に向上しましたが、アジア、アフリカ、ラテンアメリカのほとんどの地域では20世紀後半になってようやく向上が見られました。これが今日の経済格差となって表れています。

『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』では、まず19世紀頃の経済成長がなぜ起きたのかを考察します。人類発展の背後にある原動力を特定することが、19世紀以降の各国の発展度合いに差が生じた理由を理解する助けになるからです。こうして前半では、ホモ・サピエンスの出現から現代に至るまで、人類史の節目となった出来事をたどっていきます。

 
ガローさんのすごいところは、今日の国家間の経済格差を理解するために、経済学における“統一理論”といえる「統一成長理論」を作り上げたところです。物理学者たちが自然界の力の相互作用を統合する理論「万物の理論」を作ろうとしているのと同じように、経済学における統一理論を構想したというのだから、そのスケールの大きさと独創性は他に類を見ません。

 
統一成長理論は、何万年にもわたる停滞の時代と、19世紀以降の持続的な経済成長の時代とを2つの別個の現象ととらえるのではなく、1つの統合された総体としてとらえ、それぞれの時代をつなぐ力は何だったのかを明らかにします。この統一成長理論により、なぜ人類は停滞の時代を脱して経済成長できたのかを鮮やかに解明するのが前半のハイライトです。ここでカギとなるのは「人的資本」への投資ですが、そこには「教育の利益率上昇」「出生率の低下」といった興味深いキーワードが密接にかかわっています。

 
後半では、いよいよ格差の謎に迫ります。前半で明らかにされた「人類史の原動力」の分析をもとに、世界各国で経済成長に大きな差ができた原因を探っていきます。時代を遡りながら制度的・文化的要因のほか、地理条件を仔細に検討していきますが、ガローさんによれば「社会内部の多様性」が根本要因の一つであるといいます。そしてそれを検証するためには、数万年前の人類の「出アフリカ」に遡らなければならないのです。この知的刺激に満ちた謎解きこそが後半の(そして本書全体の)ハイライトになります。

 
本書の最後には、格差解消のための指針も示されており、ガローさんはこう結びます。

「私が願うのは(中略)この格差の起源を理解して貧困の緩和に向けたより良い取り組み方を見つけ、人類全体の繁栄に役立てるようになることだ。(中略)読者が、先々待ち受ける今よりさらに豊かな未来を思い描き、その実現に向けて努力できるようになることを、私は願ってやまない。」

 

 

著者プロフィール

著者のオデッド・ガロー(Oded Galor)さんは、ブラウン大学経済学教授。ルーヴァン・カトリック大学およびポズナン経済大学から名誉博士号を授与される。アカデミア・ユーロペアの外国人会員(名誉会員)。計量経済学会の選出フェロー。「経済成長ジャーナル」の編集長を務める。

「統一成長理論」の創始者であり、人類史の全過程にわたる発展のプロセスの理解と、停滞から成長への移行や世界規模の巨大な格差に根深い要因がいかなる役割を果たしたかの理解に貢献してきた。

 

格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか
オデッド・ガロー (著), 柴田 裕之 (著), 森内 薫 (翻訳)

●「ニュートン、ダーウィン、そしてアインシュタインがそれぞれの分野で“ほぼすべてを説明する統一理論”を創り上げたが、著者はきわめて野心的にも経済学でそれを試みている。
専門用語を使わずに読みやすく、刺激的で、とてつもない学識に裏打ちされた傑作」
―「ニュー・ステーツマン」誌
●「技術、人口統計、文化、貿易、植民地主義、地理、制度といった世界経済史の諸要素を見事に織り込み深く論じた本書は、現代世界という豊かなタペストリーを解体した力作である」
―ダニ・ロドリック(ハーバード大学教授、経済学者)

究極の謎を解き明かし、未来への指針を示す!

30万年近く前にホモ・サピエンスが誕生して以来、人類史の大半で人間の生活水準は生きていくのがぎりぎりだった。
それが19世紀以降に突如、平均寿命は2倍以上に延び、1人当たりの所得は地球全体で14倍に急上昇したのはなぜか?
この劇的な経済成長の鍵は“人的資本の形成”だったことを前半で説く。
それを踏まえて後半では、なぜ経済的な繁栄は世界の一部にとどまり、 今なお国家間に深刻な経済格差があるのかを検討する。
制度的・文化的・地理的要因に加え、“社会の多様性”が根源的な要因だったと論じる。
人類史を動かす根本要因に着目した〝統一理論〟にもとづいて、究極の謎を解き明かした世界的話題作!

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。