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国際交流基金賞にフレデリック・ショットさん 手塚治虫作品をはじめ日本の漫画を世界に発信

国際交流基金賞にフレデリック・ショットさん 手塚治虫作品をはじめ日本の漫画を世界に発信

国際交流基金賞にフレデリック・ショットさん 手塚治虫作品をはじめ日本の漫画を世界に発信

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、1973年以降、毎年、学術や芸術などのさまざまな文化活動を通じて、日本と海外の相互理解促進に長年にわたり顕著な貢献のあった個人または団体に対し、「国際交流基金賞」を授与しています。

このたび、第45回の授賞となる2017年度の受賞者が決定しました。手塚治虫作品をはじめ、日本の漫画を世界に発信し、多面的な文化交流へ貢献してきた、アメリカの作家で翻訳家のフレデリック・L・ショットさんが選ばれました。ほかに、アレクサンドラ・モンローさん、アンドレイ・ベケシュさんも受賞。

なお、授賞式は10月16日18時より、ホテルオークラ東京にて開催されます。

 

国際交流基金について

国際交流基金は、世界の全地域において、総合的に国際文化交流事業を実施する日本で唯一の専門機関です。1972年に外務省所管の特殊法人として設立され、2003年10月1日に独立行政法人となりました。

海外に23か国・24の拠点を持ち、「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」をミッションに掲げ、世界の人々と日本の人々の間でお互いの理解を深めるため、さまざまな企画や情報提供を通じて人と人との交流をつくりだしています。

 

フレデリック・L・ショットさんの受賞理由

フレデリック・L・ショット(Frederik L. Schodt)は、40年にわたり活躍してきたライター・翻訳家で、マンガ評論と翻訳のパイオニアです。

1970年、日本留学中にストーリーマンガに熱中し、1977~78年に数人の友人と一緒に手塚治虫さんの『火の鳥』の一部を翻訳。出版に結びつくことはありませせんでしたが、手塚さんとの12年にわたる親交を培う契機となり、1983年のショットさんの最初の著作『Manga! Manga! The World of Japanese Comics』に手塚さんが序文を寄せています。

当時ストーリーマンガは、日本では発展していましたが、海外の読者は日本語を駆使できないと読むことができませんでした。ショットさんはこのような状況下、同著の中で、日本のマンガについての豊富な情報だけでなく、およそ100ページにのぼるマンガの翻訳をも読者に提供しました。

こうした未知の文化について教えるだけでなく、その文化での体験を人々と共有する姿勢は21世紀のインターネットに支えられた参加型文化においてもショットさんのキャリアを特徴づけるものです。つまり、この新たな環境においても、ショットさんはマンガを読む人と読まない人の間、手塚作品のような古典を評価する人としない人の間につながりを作っているのです。

マンガの紹介で世界的に知られている一方で、幕末にアメリカの興行師によって作られた日本の曲芸団を調査した『Professor Risley and the Imperial Japanese Troupe』など、ショットさんは過小評価されていた表現分野にも関心を寄せてきました。ショットさんは、1904年から1924年の間アメリカで過ごした4人の日本人青年を描いた『漫画四人書生』(木山義喬・著/1931年)を1998年に英訳しましたが、この作品は再び話題を呼び、今やカリフォルニアで人気のあるミュージカルとなっています。

このようにショットさんは多面的な文化交流へ貢献しており、今後益々の活躍を期待して国際交流基金賞が授与されました。

★紹介動画

 

フレデリック・L・ショットさん プロフィール

1950年アメリカ生まれ(67歳)。 国際基督教大学留学中の1970年頃、 日本のマンガにはまり、1977年以降、手塚治虫さんの『鉄腕アトム』をはじめ、池田理代子さん、松本零士さん、士郎正宗さん、星野之宣さん、浦沢直樹さん等、数多くの日本の漫画家の作品を翻訳・ 共訳し、著作、講演、通訳などを通して海外への普及に貢献。昨今の米国におけるマンガ・ブームの火付け役となった。その功績を称えられ、2000年に、第4回手塚治虫文化賞特別賞、2009年には、旭日小綬章を受賞。

近訳に『手塚治虫物語』(英題:The OSAMU TEZUKA Story: A Life in Manga and Anime)。

 

他の受賞者について

■アレクサンドラ・モンローさん(ソロモン・R・グッゲンハイム美術館 アジア美術上級キュレーター/グローバル美術上級アドバイザー)
<草間彌生から「具体」まで、日本を中心とするアジアの現代アートを世界に紹介>

・受賞理由:長年にわたり革新的な展覧会を通じて国際相互理解の促進に貢献してきた。今後益々の活躍を期待して国際交流基金賞を授与する。

 
■アンドレイ・ベケシュさん(リュブリャナ大学名誉教授(日本研究))
<スロベニアにおける日本語教育・日本研究の第一人者>

・受賞理由:長年にわたり日本語教育・日本研究を通して国際相互理解の促進に貢献してきている。日本とスロベニア、日本と欧州を架橋する研究者・教育者として、今後益々の活躍を期待して国際交流基金賞を授与する。

 
【関連】
2017年度国際交流基金賞[アレクサンドラ・モンロー(ソロモン・R・グッゲンハイム美術館 アジア美術上級キュレーター/グローバル美術上級アドバイザー)、フレデリック・L・ショット(作家、翻訳家、通訳者)、アンドレイ・ベケシュ(リュブリャナ大学名誉教授(日本研究))]
国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 日本語

 


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