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【第27回紫式部文学賞】津村記久子さんの短編集『浮遊霊ブラジル』が受賞

宇治市(京都府)は8月4日、第27回紫式部文学賞が津村記久子さんの短編集『浮遊霊ブラジル』(文芸春秋)に決まったと発表しました。

 

紫式部文学賞とは

「紫式部文学賞」は、宇治市と宇治市教育委員会が主催。伝統ある日本女性文学の継承・発展と、市民文化の向上に資することを目的とした文学賞です。

前年に刊行された文学作品を対象とし、女性を作者とするものに限定しています。

一般公募は行わず、全国の作家、文芸評論家、出版社、新聞社、市民推薦人から各々1点に限り推薦を受けることとしています。推薦された作品は、紫式部文学賞推薦委員会で数編に絞り込まれ、その後紫式部文学賞選考委員会で受賞候補作品が選定され、市長が決定します。

受賞者は原則として1名で、正賞(「紫式部」をイメージしたブロンズ像)と副賞(賞金200万円)が贈呈されます。

 

第27回紫式部文学賞について

今回、紫式部文学賞に選ばれた津村記久子さんの短編集『浮遊霊ブラジル』には、海外旅行を前に急死した男性が浮遊霊となって旅をするも、なぜかブラジルに到着する表題作など、7つの短編が収録されています。

津村さんは、1978年大阪市生まれ。2005年『マンイーター』で太宰治賞を、2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞を、2009年『ポトスライムの舟』で芥川賞を、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞を、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞を受賞しています。

なお、短編集『浮遊霊ブラジル』には、2013年に川端康成文学賞を受賞した『給水塔と亀』も収録されています。

贈呈式は11月19日に宇治市文化センターで開催。

 

浮遊霊ブラジル
ただ生きてきた時間の中に溶けていくのは、なんて心地よいことなんだろう。卓抜なユーモアと鋭い人間観察、リズミカルな文章と意表を突く展開。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!

 
【収録作】
「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉

「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。

「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。

「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。

「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?

「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…

「浮遊霊ブラジル」…初の海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが、なぜかブラジルに到着し……。

 
【関連】
紫式部文学賞 | 宇治市公式ホームページ ~宇治茶と源氏物語のまち~

 


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