NHK100分de名著『アルベール・カミュ ペスト 果てしなき不条理との闘い』刊行 新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、世界的ベストセラーとして「再発見」された文学の至宝をわかりやすく解説

『NHK100分de名著ブックス アルベール・カミュ ペスト 果てしなき不条理との闘い』
新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、世界的ベストセラーとして「再発見」された文学の至宝をわかりやすく解説する『NHK100分de名著ブックス アルベール・カミュ ペスト 果てしなき不条理との闘い』が刊行されました。
ノーベル賞作家・カミュによって第二次世界大戦直後に刊行された、フランス文学の金字塔『ペスト』。難解で格調高い哲学的表現に満ちている本作を、数々の翻訳で知られる中条省平さんが、紐解いてゆきます。
終わりなき災厄に見舞われたとき、人はそれにどう向き合うのか?
小説の舞台は、治療法のない疫病ペストに突如襲われ、封鎖されたアルジェリアの都市オラン。それは現代のコロナ禍に襲われロックダウンを余儀なくされた世界の都市そのままの状況です。
そこで繰り広げられる医師や旅行者、記者、宗教家といった面々による群像劇が『ペスト』のストーリーの中心となります。そこには、絶望的な状況に立ち会った人々がどのようにして難局に立ち向かうのかが、繊細かつ劇的に描かれます。
『ペスト』が刊行されたのは1947年。70年以上も前に書かれたとは思えない、その先見性と人間への透徹したまなざしは、古典文学というイメージを振り払って余りある作品です。
しかし残念なことに、登場人物のセリフや行動が抽象的に描かれる傾きがあり、また入手可能な日本語訳はやや古びていて、一読しただけでは意味がとりづらい描写が頻出します。
そんな「難解な名著」をわかりやすく解説するのが本シリーズ最大の特徴。本書では仏文学やサブカルチャーの世界で活躍する学習院大学教授の中条省平さんが、カミュの生い立ちや当時フランスが置かれていた状況などをまじえつつ、カミュが本作に込めたメッセージを、場面ごとにわかりやすく解説しています。
コロナ禍を経験している私たちだからこそ、『ペスト』が問いかけるその意味をより深く理解でき、その先見性や深い洞察を感じ取ることができるのではないでしょうか。
本書の構成
はじめに 海と太陽、不条理と犯行の文学
第1章 不条理の哲学
第2章 神なき世界で生きる
第3章 それぞれの闘い
第4章 われ反抗す、ゆえにわれら在り
ブックス特別章 コロナ後の世界と『ペスト』
中条省平さん プロフィール
中条省平さんは、1954年生まれ。学習院大学フランス文学科卒業。パリ第十大学第三期文学博士号取得。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得修了。現在、学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授。フランス文学はもとより、映画や音楽、日本の漫画など、幅広い領域で活躍。
著書に『最後のロマン主義者 バルベー・ドールヴィイの小説宇宙』(中央公論社)、『映画作家論 リヴェットからホークスまで』(平凡社)、『文章読本 文豪に学ぶテクニック講座』『反=近代文学史』(共に中公文庫)、『フランス映画史の誘惑』(集英社新書)、『ただしいジャズ入門』(春風社)など多数。ほかに、ラディゲやマンディアルグ、バタイユ、コクトーなどの翻訳も手掛ける。
NHK「100分de名著」ブックス アルベール・カミュ ペスト: 果てしなき不条理との闘い 中条 省平 (著) 終わりなき災厄に見舞われたとき、人はそれにどう向き合うのか? 治療法のない疫病に突如襲われ、封鎖されたアルジェリアの都市オラン。そこに生きるひとびとの苦闘と連帯を描いた、ノーベル賞作家カミュの代表作『ペスト』の内容と文学的意義を、幅広い分野にわたる評論とフランス文学の翻訳で知られる中条省平氏が、当時の時代背景やカミュ自身の体験をまじえて詳述。カミュの高い先見性に触れながら、『ペスト』に描かれる普遍的で哲学的なテーマを、「コロナ後の世界」から検証・再考する「ブックス特別章」を収載! |
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