翻訳家・都甲幸治さんが文学評論と街歩きエッセイを融合した『「街小説」読みくらべ』刊行 名作を「街縛り」で読んで、文豪と一緒に仮想街歩きをしよう!
翻訳家・都甲幸治さんが、『「街小説」読みくらべ』を立東舎より刊行しました。
文学評論×街歩きエッセイ『「街小説」読みくらべ』が発売に!
本書は、早稲田大学教授で人気翻訳家の都甲幸治さんが、自らと関わりのある街を中心に、小説を舞台ごとに読みくらべて、「街」と「小説」の関係を探る一冊です。
取り上げられている作家と街は、室生犀星と古井由吉さんの金沢、村上春樹さんと坪内逍遙の早稲田、フィッツジェラルドとサリンジャーのニューヨークなど、8都市25作品。
著者と街にまつわるエッセイが、読み進めるうちに小説の「読み」へと変化していき、1章読めば、同じ場所を舞台にした複数の作品のつながりが見えてきます。街歩きと書評が融合したスタイルで、どちらの魅力も楽しめる作りになっています。
本書の構成
まえがき
1 金沢
プロローグ――真っ黒いルーの謎のカレー
室生犀星「幼年時代」――杏の温かい音
古井由吉「雪の下の蟹」――男たちの体の群れ
吉田健一「金沢」――金沢にはチョコパフェがない
2 ロサンゼルス
プロローグ――アメリカの自動車教習
ジェームズ・M・ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』――カリフォルニアの緑の寿司
レイモンド・チャンドラー『大いなる眠り』――迷路としての都市
チャールズ・ブコウスキー『パルプ』――生を慈しむ
3 吉祥寺
プロローグ――ロンロンよ永遠なれ
太宰治「ヴィヨンの妻」――公園とアルコール
井伏鱒二『荻窪風土記』――百年前からサブカルチャー
松家仁之『優雅なのかどうか、わからない』――心がやわらかくなれる場所
4 福岡
プロローグ――祖父の思い出
絲山秋子『逃亡くそたわけ』――故郷としての言葉
東山彰良『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』――太宰府の大きな楠
遠藤周作『海と毒薬』――メロン畑の思い出
5 国立
プロローグ――桜並木のヴォルテール
多和田葉子「犬婿入り」――谷保天神のニワトリ
大岡昇平『武蔵野夫人』――ウグイスとメジロ
黒井千次「たまらん坂」――坂とロック
6 本郷
プロローグ――本郷とは相性が悪い
夏目漱石『三四郎』――漱石は僕のクラスメート
森鴎外『青年』――鴎外と性の揺らぎ
大江健三郎「死者の奢り」――死者たちの声を聞く
7 早稲田
プロローグ――長いスロープ
坪内逍遙『当世書生気質』――日本超近代文学の起源
村上春樹『ノルウェイの森』――身体の哲学
保坂和志「この人の閾」――厚みのある時間
8 ニューヨーク
プロローグ――鍵だらけのドア
フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』――キラキラした世界
シンガー「ギンプルのてんねん」、マラマッド「白痴が先」――ニューヨークに生きる東欧
J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』――ナイフとフォーク
あとがき
著者プロフィール
著者の都甲幸治(とこう・こうじ)さんは、1969年福岡県生まれ。翻訳家、早稲田大学文学学術院教授。
著書に『今を生きる人のための世界文学案内』『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』『読んで、訳して、語り合う。都甲幸治対談集』(以上、立東舎)、『21世紀の世界文学30冊を読む』(新潮社)、訳書にジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(共訳/新潮社)などがある。
「街小説」読みくらべ 都甲 幸治 (著) 名作を「街縛り」で読んで文豪と一緒に仮想街歩き!室生犀星と古井由吉の金沢、村上春樹と坪内逍遙の早稲田、そしてフィッツジェラルドとサリンジャーのニューヨーク。25の小説に詰まった、8つの都市の魅力に迫る。 |
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