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【日本歌人クラブ大賞】大賞は斎藤茂吉研究の権威・藤岡武雄さんが受賞 日本歌人クラブ各賞が決定

第8回日本歌人クラブ大賞、第44回日本歌人クラブ賞、第23回日本歌人クラブ新人賞および第15回日本歌人クラブ評論賞の受賞作品が発表されました。

 

日本歌人クラブ各賞について

日本歌人クラブ各賞は、日本歌人クラブが主催する賞です。

日本歌人クラブ大賞は、創立60余年となる本会の伝統と蓄積を反映し、地道に励み、斯道に貢献している歌人を顕彰するため、2010年に設立。

 
日本歌人クラブ賞は、中堅・ベテランの歌集を対象にしています。1995(昭和30)年創設の「日本歌人クラブ推薦歌集」がその前身。

 
日本歌人クラブ新人賞は60歳未満の作者による第一歌集が対象です。

 
日本歌人クラブ評論賞は、歌壇で唯一の、短歌の評論集および研究書を対象にした賞です。

 
なお、大賞受賞者には正賞並びに副賞金30万円が、その他の各賞受賞者には正賞並びに副賞金10万円が贈られます。

 

日本歌人クラブとは

日本歌人クラブは、1948年(昭和23年)9月に発足。斎藤茂吉、土屋文明、釈迢空・尾上柴舟、佐佐木信綱、窪田空穂、土岐善麿、前田夕暮をはじめとする183名の発起人、および太田靑丘、渡辺順三、近藤芳美、佐藤佐太郎、木俣修、宮柊二、香川進ら当時の中堅歌人らによって結成されました。現在、約3,500名の会員が所属する、日本で最も大きな歌人の団体。

 

今回の受賞作品について

 
【第8回日本歌人クラブ大賞】

●受賞者:藤岡武雄さん 『斎藤茂吉―生きた足あと』(本阿弥書店)を中心とした永年の功績に対して

●選考委員:三枝昻之さん、秋山佐和子さん、雁部貞夫さん、林田恒浩さん

 
藤岡武雄さんは、1926年、山口県生まれ。「あるご」主宰。山口師範学校を経て、日本大学文学部国文科卒。同大学院修士課程修了。日大文理学部助教授、教授を経て、現在名誉教授。

歌集に『うろこ雲』、『千枚原』、『一本の樹』など。著書に『書簡にみる斎藤茂吉』(第14回斎藤茂吉短歌文学賞、第1回日本歌人クラブ評論賞)、『ヨーロッパの斎藤茂吉』、『名歌集逍遥』など多数。

 
【第44回日本歌人クラブ賞】

●受賞者:久我田鶴子さん 歌集『菜種梅雨』(砂子屋書房)

●選考委員:三枝昻之さん、沢口芙美さん、平山公一さん、御供平佶さん

 
久我田鶴子さんは、1955年、千葉県九十九里町生まれ。國學院大學文学部国文科在学中に短歌と出会い、江口洌さんの指導を受けた縁で、1977年「地中海」入社。現在、同誌編集長。

歌集に『転生前夜』、『水の翼』、『ものがたりせよ』など。著書に『雲の製法―小野茂樹ノート』。

 
【第44回日本歌人クラブ賞】

●受賞者:高山邦男さん 歌集『インソムニア』(ながらみ書房)

●選考委員:三枝昻之さん、岡崎洋次郎さん、春日いづみさん、鈴木英子さん

 
高山邦男さんは 1959年、東京都生れ。早稲田大学第一文学部卒。「心の花」編集委員。歌集『インソムニア』は第一歌集。本歌集は第25回ながらみ書房出版賞とダブル受賞。

 
【第44回日本歌人クラブ賞】

●受賞者:加古陽治さん 『一首のものがたり 短歌が生まれるとき』(東京新聞出版局)

●選考委員:三枝昻之さん、久保田登さん、中川佐和子さん、長澤ちづさん

 
加古陽治さんは、 1962年、愛知県生まれ。「心の花」所属。東京外国語大スペイン語科卒。東京新聞文化部長。著書に『真実の「わだつみ」 学徒兵 木村久夫の二通の遺書』。

2002年度新聞協会賞を受賞した連載「テロと家族」取材メンバー(米国取材担当)。2011年3月から2012年6月まで原発取材班総括デスクを務め、取材班は第60回菊池寛賞を受賞。

 

斎藤茂吉―生きた足あと
斎藤茂吉の謎に満ちた人生を資料と多くの写真から繙く、茂吉研究の集大成の一冊。

 
インソムニア
縁ありて品川駅まで客とゆく第一京浜の夜景となりて 温かい気持ち未来より感じたり今際のわれが過去思ひしか わが仕事この酔ひし人を安全に送り届けて忘れられること 赤や青繰り返し点る夜の街のどこにもゐない点燈夫たち 赤信号ふと見れば泣いてゐる隣 同じ放送聞いてゐたのか 誰一人渡らぬ深夜の交差点ラジオに流れる「からたち日記」 東京のタクシー運転手としての仕事の歌を中心に、斬新な着想、自在な用語で、東京という都市の現在をうたい、そこに生きる私たちの心の起伏をていねいにうたう。叙情詩としての短歌の可能性を果敢に追い求める作者の渾身の第一歌集。佐佐木幸綱・帯文より

 
一首のものがたり 短歌が生まれるとき
恋の歌、家族の歌、若者の歌、戦争の歌、都市の歌、そして死の歌。三十一音の織りなす短歌の小さな世界の裏側には、さまざまな物語があります。俵万智の「サラダ記念日」は、どのようにしてできたのか。学生歌人・岸上大作の自死を招いた失恋の真相は何か。立て看板に書かれた詠み人知らずの名歌は、誰が詠んだのか。戦争に引き裂かれた若者の恋の、意外な結末は――。 歌詠みでもある新聞記者が一首に秘められたものがたりを追い、知られざる事実を明らかにします。これは二十七首の短歌をめぐるルポであり、エッセイであり、調査報告であり、短編集でもあります。

 
【関連】
日本歌人クラブ各賞 – 日本歌人クラブ

 


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