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【訃報】作家・佐藤雅美さんが死去 『恵比寿屋喜兵衛手控え』で直木賞

直木賞作家の佐藤雅美(さとう・まさよし)さんが7月29日、静岡県伊東市の自宅で死去しました。78歳。兵庫県神戸市出身。葬儀は近親者のみで執り行われました。

 
佐藤雅美さんは、1941年生まれ。早稲田大学法学部卒業。会社員、週刊誌記者などを経て、1985年に『大君の通貨』で作家デビューし、同作で新田次郎賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で直木賞を受賞。歴史・時代小説を多数執筆。歴史経済小説のパイオニア。

著書に、「縮尻鏡三郎」シリーズ、「八州廻り桑山十兵衛」シリーズ、「町医北村宗哲」シリーズ、「物書同心居眠り紋蔵」シリーズ、「半次捕物控」シリーズ、『田沼意次』『啓順凶状旅』『開国 愚直の宰相堀田正睦』『江戸繁昌記』『青雲遙かに 大内俊助の生涯』『将軍たちの金庫番哲』『知の巨人 荻生徂徠伝』など。

なお、「物書同心居眠り紋蔵」シリーズは1998年にNHKにて舘ひろしさん主演で、「縮尻鏡三郎」シリーズもNHKにて1999年に中村雅俊さん主演で、「八州廻り桑山十兵衛」シリーズは2007年にテレビ朝日にて北大路欣也さん主演で、それぞれ連続ドラマ化されています。

 

幕末「円ドル」戦争 大君の通貨 (文春文庫)
佐藤 雅美 (著)

幕府崩壊の真実とは――。
徳川幕府の崩壊は、薩長の武力のみにあったのではなく、もう一つの大きな要因は通貨の流出にあった、と言われている。日本と諸外国の金銀比価の違いから生じたもので、違いを知らなかった日本人の無知のせいだと説明されているが、それは本当なのか。
ペリーの来航以来、初めて世界経済の荒波に見舞われた日本、一儲けを企むアメリカの駐日公使ハリス、イギリスの初代駐日外交代表オールコック、通貨問題をはじめとする外国問題を一人で担当していた水野筑後守忠徳たちの姿を、赤裸々に描く傑作歴史経済小説。
85年に本書で第4回新田次郎文学賞受賞。朝日・日経など各紙の書評で大絶賛された話題の書。

恵比寿屋喜兵衛手控え (講談社文庫)
佐藤雅美 (著)

第110回(平成5年度下半期) 直木賞受賞

争いは世の常、人の常。江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何に? 江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。

 


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