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【訃報】作家・橋本治さんが死去 『桃尻娘』など

作家の橋本治さんが1月29日、肺炎のため東京都内の病院で死去しました。70歳。東京都出身。葬儀・告別式は未定。喪主は母の美代子さん。

 
橋本治さんは、1948年生まれ。東京大学文学部国文科を卒業。東大在学中の1968年、駒場祭のポスター「とめてくれるな おっかさん 背中のいちょうが泣いている」で注目されます。イラストレーターを経て、1977年『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞し作家デビュー。当時の女子高生を超口語体で描いた同作は、翌年単行本化され、ベストセラーに。その後、小説だけでなく随筆や評論、古典の現代語訳、戯曲、浄瑠璃などの古典芸能の新作など幅広い執筆活動を行っていきます。

2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、1996年『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、2005年『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、2008年『双調 平家物語』(全15巻)で毎日出版文化賞、2018年『草薙の剣』で野間文芸賞を受賞。

著書に、『桃尻語訳 枕草子』、『窯変 源氏物語』(全14巻)、『ひらがな日本美術史』(全7巻)、『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』『上司は思いつきでものを言う』『巡礼』『橋』『リア家の人々』『愛の矢車草』『失われた近代を求めて』『浄瑠璃を読もう』『九十八歳になった私』など多数。

なお、2月には筑摩書房より『思いつきで世界は進む 「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと』(ちくま新書)が刊行される予定です。

 

桃尻娘 (講談社文庫)
エットオ、あたし、榊原玲奈でェす。学校は都立で、団地暮し、モチ非処女。マ、平均的女子高校生なワケ。モロ受験生を真面目にやるか、つっぱって売春やるか、ンな凡庸な青春はたえらンない!! ――現代高校生の風俗をイキのいい毒舌体で捉え、猥雑のきわみに不逞な抵抗精神をのぞかせる異才のデビュー作。

 
桃尻語訳 枕草子〈上〉 (河出文庫)
驚異の名訳ベストセラー、ついに文庫化!その上巻は、第一段「春って曙よ!だんだん白くなってく山の上の空が少し明るくなって…」から―第八十二段「中宮職の御曹司にいらっしゃった頃、西の廂でお経のマラソンがあるんで…」まで。

 
草薙の剣
なんで僕はこんなところにいるんだろう? 日本人の心の百年を辿る壮大な長篇小説。62歳から12歳まで、10歳ずつ年の違う6人の男たちを主人公に、その父母や祖父母まで遡るそれぞれの人生を描いて、敗戦、高度経済成長、オイルショック、昭和の終焉、バブル崩壊、二つの大震災を生きた日本人の軌跡を辿る。戦後日本の行き着いた先である現代のありようを根底から問い直す、畢生の長篇小説。作家デビュー40周年記念作品。

 


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