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『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』コロナ危機が招いた「耳を傾けすぎる政府」というリスクとは?

西田亮介さん著『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』

西田亮介さん著『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』

西田亮介さん著『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』が、朝日新聞出版より刊行されました。

本書は、感染拡大が深刻化した4月から事態と並走しながら執筆された書下ろしです。コロナ危機が引き起こした「不安」に着目し、不安が政治・行政・社会にどのようなリスクをもたらすのかを考察しています。

 

気鋭の社会学者、渾身の書下ろし! 政治の“迷走”の背景を解き明かす!

本書の第1章、第2章では1月から5月までの感染拡大の経緯をWHOや厚生労働省の資料、各種報道などをもとに振り返り、続く第3章では不安に感染された政治や世論、メディアがどのような振る舞いを見せたのか、その背景も含めて分析します。

 
著者は、不安が「政治不信を招き、効果的な新型コロナ対策にも悪影響を及ぼしている」と指摘します。

結果、政府はわかりやすい「民意」に迎合しようと「耳を傾けすぎる」ようになり、「『大胆な決定』『大胆な政策』が乱発されるようになった」と結論づけます。といっても「様々な制約条件や前例を無視して解決できるほどの妙案は、現実にはほとんど存在しない」とも言い切ります。

 
私たちは、政府のコロナ対策をどう評価すればいいのか、またメディアの報道をどう受け止めればいいのか――。感染とともに不安もまた再燃しつつある今だからこそ、コロナ危機と冷静に対峙するための支えとなる論考の書です。

 
<推薦の声が続々!!>

◆東浩紀さん(批評家)
感染症は「耳を傾けすぎる政府」を生み出した!
危機後の政治を見通す好著。

◆小島慶子さん(エッセイスト)
今どこ?これからどうすれば?に答えてくれる1冊。
霧が晴れるような思いです。

◆宮台真司さん(社会学者)
本書は単なるデマ批判やポスト真実批判ではない。
政府や行政の対応、テレビの報道バラエティ番組、ツイッターなど、
我々のインプットされる情報が、かえって「予見可能性」を奪い、
実態と無関係な不安の惹起を通じて、国民の動揺と分断を招く。
本書はそのメカニズムを詳細に描く。

 

本書の構成

序章 感染の不安/不安の感染
自然災害に比べ経験不足だった感染症対策/「管理できないもの」というリスク

第1章 アウトブレイクの経緯
WHOが緊急事態を宣言。中国は春節へ/日本政府、感染症の発生をいち早く認知し対応/“小規模”な印象を与えた日本の経済対策/2月27日、一斉休校の速報が流れる/小池百合子都知事の「ロックダウン」発言

第2章 パンデミックに覆われた世界
緊急事態宣言。総動員的自粛へ/「ニュー・ノーマル」「新しい生活様式」の模索/前倒し解除で再開する日常

第3章 コロナ危機の分析
混迷するメディアと社会意識/「迅速な」初動と「遅れた」WHOの判断?/ダイヤモンド・プリンセス号の混乱と「不評」/新型インフルエンザの忘却と反復/インフォデミックという新しい問題/「耳を傾けすぎる政府」

第4章 新しい冗長性の時代
突きつけられた、古くて新しい問い/良識的な中庸はいかにすれば可能か/社会に求められる“新しい冗長性”

 

著者プロフィール

著者の西田亮介(にしだ・りょうすけ)さんは、1983年、京都生まれ。専門は社会学。博士(政策・メディア)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。

慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。同助教(有期・研究奨励II)、独立行政法人中小企業基盤整備機構リサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授などを経て現職。

著書に『メディアと自民党』(角川新書/2016年度社会情報学会優秀文献賞)、『なぜ政治はわかりにくいのか:社会と民主主義をとらえなおす』(春秋社)、『情報武装する政治』(KADOKAWA)、『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)などがある。

 

コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か
西田 亮介 (著)

新型コロナウイルス感染症の第2、第3波に備えるためにいま必要な検証は、医学/公衆衛生的な視点だけに限られない。
本書は、WHOや厚生労働省の公開情報や報道資料から、日本政府の政策過程、世論の動き、メディア報道を読み解き、客観的成果と国民の主観的評価について再考するものだ。
その結果、見えてきたのは「感染の不安/不安の感染」と、「耳を傾け過ぎる政府」のリスクだった――。

 


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