本のページ

SINCE 1991

【第55回星雲賞】高野史緒さん『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』、久永実木彦さん「わたしたちの怪獣などが受賞

日本SFファングループ連合会議は、SF作品およびSF活動を対象とした「第55回星雲賞」の受賞作品・受賞者を発表しました。

 

「第55回星雲賞」の受賞作品・受賞者が決定!

第55回星雲賞は、4月23日から5月31日にかけて第62回日本SF大会参加者によって行われた投票の結果、次の通り、各部門の受賞作品・受賞者が決定しました。

なお、授与式は2024年7月6日に長野県で開催される第62回日本SF大会(やねこんR)において実施される予定です。

 
<第55回星雲賞 受賞作品・受賞者> ※敬称略

■日本長編部門(小説)
『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』(高野史緒/早川書房)

■日本短編部門(小説)
「わたしたちの怪獣」(久永実木彦/東京創元社『わたしたちの怪獣』収録)

■海外長編部門(小説)
『怪獣保護協会』(ジョン・スコルジー、訳:内田昌之/早川書房)

■海外短編部門(小説)
「堅実性」(グレッグ・イーガン、訳:山岸真/早川書房「S-Fマガジン」2023年12月号)

■コミック部門
『ダンジョン飯』全14巻(九井諒子/KADOKAWA)

■アート部門
麻宮騎亜

■ノンフィクション部門
『創元SF文庫総解説』(東京創元社編集部/東京創元社)

 
なお、メディア部門は「ゴジラ-1.0」(監督:山崎貴、制作会社:TOHOスタジオ・ROBO、製作会社:東宝)が、自由部門は「日本の巨大ロボット群像 -巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現-」が受賞しています。

 

星雲賞について

星雲賞は1970年に創設された、SF作品およびSF活動を対象とした日本で最も長い歴史を誇る文学賞です。前年度に発表されたSF作品およびSF活動を対象に、毎年開催される「日本SF大会」の参加者の投票により受賞作品が決定します。1965年に結成された、日本のSFファングループ間の協議機構「日本SFファングループ連合会議」が運営。

「日本長編」「日本短編」「海外長編」「海外短編」「メディア」「コミック」「アート」「ノンフィクション」「自由」の9つの部門で構成されています。

 

グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 (ハヤカワ文庫JA)
高野 史緒 (著)

二人で飛行船を見上げた日から
ずっと忘れられずにいた君は
もう一つの2021年を生きていた

『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』
『なめらかな世界と、その敵』に続く青春SFの新たな金字塔

〈内容紹介〉
月と火星開発が進みながらも、インターネットが実用化されたばかりの夏紀の宇宙。宇宙開発は発展途上だが、量子コンピュータの開発・運用が実現している登志夫の宇宙。別々の2021年を生きる二人には幼いころ「グラーフ・ツェッペリン号」を見たという不可解な記憶があった。二人の日常にかすかな違和感が生じるなか、開通したばかりの電子メールで自分宛てのメールを送っていた夏紀のもとへ思いがけない返信が届き――。

わたしたちの怪獣 (創元日本SF叢書)
久永 実木彦 (著)

わたしはこれから、
お父さんの死体を棄てにいく。
怪獣の暴れる東京に。

短編として初めて日本SF大賞候補作となった表題作をふくむ全四編。
『七十四秒の旋律と孤独』の久永実木彦、驚異の新境地。

運転免許証を取得したつかさが家に帰ると、妹が父を殺していた。立ち尽くす姉妹。その時、テレビから東京湾に怪獣が出現したという緊急ニュースが流れる。つかさは父の死体を棄てに東京にいくことを思いつく。短編として初の日本SF大賞候補作(「わたしたちの怪獣」)。伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現。参加者たちは館内に籠城しようとするが……(「アタック・オブ・ザ・キラー・トマトを観ながら」)。『七十四秒の旋律と孤独』の著者、新境地。

■目次
「わたしたちの怪獣」
「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」
「夜の安らぎ」 
「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」
著者あとがき

怪獣保護協会
ジョン・スコルジー (著), 内田 昌之 (翻訳)

アメリカ発怪獣小説、日本上陸! 2020年。パンデミックのさなか、会社を解雇されたジェイミー。たまたま再会した昔の知りあいの紹介で「大型動物」の権利を守る組織とやらに雇われて、急遽、「現場」に向かうことに。だが、ジェイミーが連れていかれた先は、なんと並行世界の地球「怪獣惑星」だった! 保護する動物とは、体長150メートルの「怪獣」!?  驚きながらもジェイミーは、「怪獣保護協会」の一員として、巨大怪獣の生態を研究し、ある事情から絶滅の危機に瀕しているという彼らを保護する任務にとりかかる。だが、組織への資金提供者として地球からやってきた億万長者が怪獣を悪用しようとしたため、怪獣惑星と地球に危機が迫る……! 〈老人と宇宙〉シリーズで知られるアメリカSF界の第一人者スコルジーがあふれんばかりの怪獣映画愛を注ぎこんだ傑作怪獣SF。カバーイラスト/開田裕治

ダンジョン飯 1巻 (ハルタコミックス)
九井 諒子 (著)

九井諒子、初の長編連載。ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう!」スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!! 襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、ダンジョンの踏破を目指せ! 冒険者よ!!

創元SF文庫総解説
東京創元社編集部 (編集)

1963年9月、創元SF文庫の歴史は始まった
史上初の公式ガイドブック
創刊から現在まで約800冊のレビューを収録
エッセイ、対談も収めたSFファン必携の一冊

1963年9月に創刊した日本最古の現存する文庫SFレーベル、創元SF文庫。そこから現在まで連なる創元SFの60周年を記念した、史上初の公式ガイドブック。フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』に始まり、E.R.バローズ『火星のプリンセス』、ネヴィル・シュート『渚にて』、J.P.ホーガン『星を継ぐもの』など800冊近い刊行物の書誌情報&レビューのほか、草創期の秘話や装幀をめぐる対談、創元SF文庫史概説、創元SF文庫以外の東京創元社のSF作品にまつわるエッセイを収める。口絵には創元SF文庫の歴史を彩ってきた全作品の初版カバーをフルカラーで掲載。SFファン必携の一冊。

 
【関連】
2024年 第55回星雲賞

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です