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ラグビーW杯で話題を呼んだコピーライターが教えることばの鍛え方『主観思考 思ったこと言ってなにがわるい』が刊行

2019年に開催されたラグビーワールドカップ日本大会のキャッチコピー「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」を生んだコピーライター吉谷吾郎さんが古今東西の「ことば」を見渡しながら綴った、今までにない「ことばのコミュニケーション」の著書『主観思考 思ったこと言ってなにがわるい』が光文社より刊行されました。

 

「人に伝わることばを書くための魔法のテクニック」なんて、存在しないんじゃないか?

(本書「序章」より抜粋編集)

もちろん、ことばやコミュニケーションのプロ、問題解決のプロとしての技術や知識は幅広くたくさん持っていて、打率を上げるためのコツは知っている。けれども、実際はじぶんひとりでコントロールできないさまざまな要因が重なって「うまくいく」ことが多いものです。

 
巨匠と呼ばれるコピーライターのみなさんも、クライアントへのプレゼンでは「こういうふうにすればうまくいきます」と提案しているけれど、「たまたまヒットした」とか「空振りした仕事もある」というのが本音だと思います(「いや、ちがう」という方、すみません!)。

 
正解なんて、ない。じゃあ、信じるべきものはなんなのか…?

そう、「わたし」なのだと思うのです。

 
「じぶんはこう思う」や「わたしはこう考えました」といった主観というものをきちんとことばにして伝えられたら、仕事がすこしたのしくなったり、すこしイヤな出来事にもポジティブな意味を見いだせたり、そして、ひとりひとりの主観をみんなが交換し合えたら、もっと他人の考えを受け入れられるようになったり。みんながじぶんの主観を大切にすることで、よりよく生きられるんじゃないか。そして、その尊い「主観」というものは、本来だれもが持っているものじゃないか。そんなふうに考えています。

 
第1章「主観の力」では、「わたし」という主観にはどんなパワーがあって、なぜ主観が大切なのか、人のこころに伝わることばとはどんなものかを考えていきます。

第2章「主観の敵」では、そんな「わたし」という主観に重きを置くことを阻むものはなんなのか? ということを考えていきます。

第3章「主観の見つけ方」では、「わたし」という主観をどのようにのぞくことができるのか、どうやって「じぶんのことば」を見つけていくのかをご紹介します。

第4章「主観の伝え方〈姿勢編〉」では、「わたし」という主観を言語化するにあたっての心構え、大切にしたい姿勢についてご紹介します。

第5章「主観の伝え方〈技術編〉」では、「わたし」という主観を言語化するときに活かせるコピーライターのことばのテクニックをご紹介します。

 

本書の構成

第1章 主観の力
主観でいいのだ /「名台詞」の共通点/アスリートの主観の強さ/なにがきみのしあわせ?/AIが答えられない問いとは?/「便利」だけじゃなく「おもしろいか」どうか/「ぼくは、ぼくのままがいい」/ヴィンテージ市場で得した人は?/立ち上げ当初に「世界一」と謳った/「それでも」という想いはあるか/主観のつながりが組織の文化/書くのが苦手ではなく評価されるのが苦手/じぶんが動けば人は動く/好きこそ最強/人に話を聴くと主観の広大さを知る

第2章 主観の敵
あるがままでいることのむずかしさ/じぶんに誇れるじぶんですか?/「よわいはつよいプロジェクト」/無意識のバイアスを意識する/人はことばで悩みことばに救われる/ワガママだっていいんだよ/本田宗一郎の主観力/「和を以て尊しとなす」の本意 93/「みんなちがう」という前提/狩猟型と農耕型

第3章 主観の見つけ方
「とも言える力」/「たのしめてるか。」/どうせやるならたのしくやろうぜ/ことばは「葉」である/悩みを「抱える」のではなく「眺める」/他人の目よりじぶんのこころと向き合う/「ネラウ、ダメ!」/世間に流されないための工夫/「やりたくないことは?」/「そうすると決めている」/ひとりの時間を大切にしよう/ためしに遺書を書いてみよう

第4章 主観の伝え方 <姿勢編>
受け手のひとりとしてのじぶん/ことばのテクニックより大事なこと/「伝えるじぶん」のまえに「伝わるじぶん」/こころで生きていることばは?/文字のやりとりを制する者が仕事を制する/「わたし」を練り込み思ったことを言う/向こう側から眺めることが大事/「ありがとうの会」/「伝え上手」より「伝えられ上手」に/「聴くは効く」/「聴く」はスキルである/「経緯は敬意」/思ったことを言うためには「ブレーキ」が必要/コピーライター初心者が陥りやすい罠

第5章 主観の伝え方 <技術編>
こんなふうに書いてみよう/1.人称代名詞をいつも通りにしてみる/2.型を無視してみる/3.世間話を入れてみる/4.笑いながら言ってみる/5.否定形にしてみる/6.レッツにしてみる/7.肯定してみる/8.語尾に記号を使ってみる/9.向き合わずおなじほうを見てみる/10.相手の言いたいことを言ってみる/11.ことばに緩衝材をつけてみる/12.湯呑みでなくマグカップを渡してみる/13.持っていることばだけ使ってみる/14.ポジティブでおわらせてみる/15.喩えてみる

 

著者プロフィール

吉谷吾郎(よしたに・ごろう)さんは、1987年生まれ、東京都出身。コピーライター、クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、2011年に株式会社パラドックス入社。規模や業種を問わず多くの組織の企業理念やスローガンの考案、採用ブランディング、広告プロモーションのコンセプトづくり、クリエイティブの制作に携わる。

2023年に独立、会社設立。日本ラグビーフットボール選手会の設立、アスリートのメンタルヘルス啓蒙活動「よわいはつよいプロジェクト」など法人や事業の立ち上げにも参画。「ほぼ日の塾」第1期生。

主な受賞歴に、ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞奨励賞、流行語大賞2019最終ノミネート、TCC賞(東京コピーライターズクラブ)ファイナリスト、Forbes Japan SPORTS INNOVATION PITCHグランプリ受賞など。

 

主観思考 思ったこと言ってなにがわるい
吉谷吾郎 (著)

「客観的」である文章やコミュニケーションが良しとされる風潮のなか、本当に人のこころを動かすのはいつだって誰かの「主観」である。自分のこころがふるえていなければ相手のこころはふるえない。自分の「主観」がどこにあるのかを掘り下げ、コミュニケーションで素直に表現する方法を、コピーライターとして多くの言葉を生み出し、そして文章講座の講師も担当する著者が指南。「主観」を鍛えれば、言葉はきっと強くなる。

 


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