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絲山秋子さん“会社員”小説『御社のチャラ男』が文庫化

コロナ禍直前の2020年初頭に刊行され、各紙誌書評で絶賛された、絲山秋子さんの“会社員”小説『御社のチャラ男』が文庫化され、講談社文庫より刊行されました。

 

『御社のチャラ男』あらすじ

 
【あらすじ】

いませんか?
こんなひと。

どこにでもいる、軽くて世渡り上手なチャラ男。
わかっていますか、本当の彼のこと。
組織に属する「私たち」の実態にせまる“会社員”小説の傑作!

 
ジョルジュ食品はオイル、ビネガーなどの商品を扱う地方の小さな会社だ。
社長のコネでやってきた三芳部長は、社内でひそかにチャラ男と呼ばれている。
自分には自分がないと悟る三芳と、彼のまわりの人々が彼を語ることで見えてくる、この社会に生きる私たちの現実。
すべての働くひとに贈る傑作“会社員”小説。

 

木内昇さん「解説」より(抜粋)

どこか滑稽な書名に騙されてはいけない。ここに描かれるのは、組織なるものの実態であり、現代社会の問題や病理であり、働いて生きていくという営みの本質である。ジョルジュ食品という、地方の小さな会社を舞台にして。よりによって、チャラ男を軸に据えて。

(略)

頁を閉じたとき、きっと誰もが、濃密な塊を受け取ることになる。言葉で容易に説明できないその塊は、読者個々の体内を長い時間掛けてさまよう。本作で得たものと、私たちは共に生きていく。

 

本書の目次

当社のチャラ男――岡野繁夫(32歳)による
我が社のチャラ男――池田かな子(24歳)による
弊社のチャラ男――樋口裕紀(24歳)による
社外のチャラ男――一色素子(33歳)による
地獄のチャラ男――森邦敏(41歳)による
愛すべきラクダちゃんたちへの福音――三芳道造(44歳)による
私はシカ男――穂積典明(69歳)による
各社のチャラ男――佐久間和子(48歳)による
チャラ男のオモチャ――山田秀樹(55歳)による
チャラ男における不連続性――伊藤雪菜(29歳)による
チャラ男の前釜――磯崎公成(58歳)による
イケメンの軸――池田治美(50歳)による
御社のくさたお――葛城洋平(36歳)による
酢と油、祝いと呪い――岡野繁夫(33歳)による
ゴールズワージー、それがどうした――伊藤雪菜(30歳)による
その後のチャラ男

解説 木内 昇

 

著者プロフィール

絲山秋子(いとやま・あきこ)さんは、1966年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年退職。2003年に「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。

2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年「沖で待つ」で芥川賞、2016年『薄情』で谷崎潤一郎賞を受賞。

他の著書に、小説『逃亡くそたわけ』『エスケイプ/アブセント』『妻の超然』『末裔』『不愉快な本の続編』『離陸』『忘れられたワルツ』『夢も見ずに眠った。』、エッセイ『絲的メイソウ』『絲的サバイバル』『絲的ココロエ 「気持ちの持ちよう」では治せない』などがある。

 

 
【関連】
『御社のチャラ男』試し読み|講談社BOOK倶楽部

 


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