本のページ

SINCE 1991

32メートル余の絵巻物として遺されたラーゲリでの日々『絵巻 シベリア抑留者の想い出』が刊行

32メートル余の絵巻物として遺されたラーゲリでの日々 『絵巻 シベリア抑留者の想い出~満州での軍隊生活、そしてシベリア抑留での強制労働~』

32メートル余の絵巻物として遺されたラーゲリでの日々 『絵巻 シベリア抑留者の想い出~満州での軍隊生活、そしてシベリア抑留での強制労働~』

あさ出版は、澤田精之助さん画・文、下山礼子さん編『絵巻 シベリア抑留者の想い出~満州での軍隊生活、そしてシベリア抑留での強制労働~』を刊行しました。

 

30年間、ひとの目に触れることがなかった

満州で軍隊生活を送り、敗戦後シベリア抑留を体験した澤田精之助さんは、その経験を絵巻物として遺しました。家屋解体で発見されるまで30年間、その絵巻物は、ひとの目に触れることはありませんでした。

 
本書は、絵巻物を原典のまま書籍化。満州での軍隊生活からラーゲリ(シベリアの強制収容所)での日々が生々しく描かれています。また女優・劇作家の渡辺えりさん、京都相国寺専門道場住職・小林玄徳さんほかの寄稿も収録されいます。

 
ラーゲリでの過酷な日々は、今年、二宮和也さん主演の映画が公開されるなど、再び関心が向けられています。戦後77年、約60万人のシベリア抑留体験者の多くが亡くなり、さまざまな経験が風化しつつあるなか、戦争の悲惨さと過酷さを遺す貴重な史料的価値がある一冊となっています。

 

家屋に遺された満州・シベリア抑留の記憶を残した32メートル余の絵巻物

現在、絵巻物は、山形県村山市にある、民家のガレージを改装した「小さな小さな平和祈念館」で公開されています。

 
「館長」の下山礼子さんは澤田精之助さんの姪にあたり、「この絵巻物が、平和であることの実感をかみしめつつ、一人でも多くの人が世界と日本の現状に関心を示し、戦争への道に行くことを踏み留まる勇気を持つきっかけになれば」と願います。

絵巻 シベリア抑留者の想い出

絵巻 シベリア抑留者の想い出

新しい坑道作り

新しい坑道作り

炭鉱からの帰路

炭鉱からの帰路

ダモイ

ダモイ

 

本書の構成

はじめに 私たちはあの道を再び歩まない

第一章 夢多き学生時代から軍隊へ

第二章 厳しかった満州の軍隊

第三章 終戦からシベリアの抑留・強制労働

シベリア抑留についての解説・資料編

 

著者プロフィール

 
■画と文:澤田精之助(さわだ・せいのすけ)さん

1921年生まれ、山形県村山市楯岡出身。楯岡町役場勤務を経て仙台逓信講習所入学。
1941年に徴兵、1942年に満州黒河省に下士官候補生として奉天第549通信教育隊に配属される。
1945年の敗戦後、シベリア抑留。シベリア鉄道でカラガンダ収容所に送致され炭鉱で働く。1948年、舞鶴に帰還後、山形県村山市村山郵便局に勤務。
復員後、書道を為し、1975年には第2回山形県総合書道展で最初の県知事賞を受賞。
『シベリア抑留者の想い出』の制作を継続し、1984年に完成させる。1985年没。

 
■編者:下山礼子(しもやま・れいこ)さん

1950年生まれ、山形県村山市楯岡出身。澤田精之助さんの姪。10歳の時に父と観た映画「人間の條件」(小林正樹監督)に描かれた「戦争における人間性」に衝撃を受ける。学生時代には遠く離れたシベリア鉄道の旅に思いを馳せた。
2015年、澤田精之助作さんの絵巻物に出会い、シベリア抑留の史実に触れ、叔父と父からの大切なメッセージに気づく。
2019年、自宅(澤田精之助さんの生家に隣接)に「小さな小さな平和祈念館」を開設。「命・戦争・平和」について語り継ぐ活動を続けている。

 

絵巻 シベリア抑留者の想い出  ~満州での軍隊生活、そしてシベリア抑留での強制労働~
澤田精之助 (著), 下山礼子 (編集)

満州で軍隊生活を送り、敗戦後シベリア抑留を体験した著者は、その経験を絵巻物として遺した。その絵巻物を原典のまま書籍化。戦後77年、約60万人のシベリア抑留体験者の多くが亡くなり、さまざまな経験が風化しつつあるなかで、貴重な史料的価値がある本書。 ウクライナへのロシア侵攻が深刻な事態を迎えている今、戦争の現実とはどういうものかを多くの読者に伝える、時宜に見合った書籍といえる。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です