僕は銃と鉄条網に囲まれて育った――『アウシュヴィッツを描いた少年』が刊行 15歳の少年のスケッチブックに残されたホロコースト
15歳のユダヤ人少年が強制収容所での日々を描いた瑞々しい手記『アウシュヴィッツを描いた少年 僕は銃と鉄条網に囲まれて育った』(訳:品川亮さん)がハーパーコリンズ・ジャパンより刊行されました。
56点の彩色画が「収容所」の日々を語る『アウシュヴィッツを描いた少年 僕は銃と鉄条網に囲まれて育った』
ナチスが台頭した1943年、ドイツのベルリンで暮らす13歳のユダヤ人少年トーマス・ジーヴは、迫害の末にアウシュヴィッツ強制収容所に送られました。
それから22カ月にわたり、彼は3つの収容所生活を経験。過酷な環境下でも生きる意志を捨てず、奇跡的に生き残ったトーマスは、15歳で解放されると、記憶が鮮明なうちにその日々を記録しようと思い立ちます。
収容以前のドイツの様子、強制収容所に送られた経緯、巨大な収容施設の描写、強制労働や食事など日々の暮らし、ヨーロッパ各地からやってきた囚人たちとの出会い、収容所内での力関係、同年代の収容所仲間との友情、解放に至る道のり――生と死の境目でも、トーマスは未来への希望を持つことをやめませんでした。
フルカラーのスケッチ画56点、多数の図版に丁寧な手記を交え、当時を鮮明に蘇らせた価値のある一冊です。
本書の構成
序文
はじめに
プロローグ─まだ見ぬ未来 一九三九年、ベルリン
第一部
第一章 シュチェチンとボイテン 一九二九-一九三九年
第二章 ベルリン 一九三九-一九四一年
第三章 ベルリン 一九四一-一九四二年
第四章 ユダヤ人一掃 一九四三年
第二部
第五章 アウシュヴィッツ=ビルケナウ
第六章 隔離
第七章 レンガ積み学校
第八章 生き残るための闘い
第九章 極度の消耗
第十章 絶望の中で
第三部
第十一章 混沌の中のやさしさ
第十二章 古参囚人として生きる
第十三章 変化の風
第四部
第十四章 自由はなお遠く
第十五章 グロース=ローゼン強制収容所
第十六章 撤退
第十七章 ブーヘンヴァルト強制収容所
第十八章 解放のとき
エピローグ
チャールズ・イングルフィールドからのメモ
登場人物について
謝辞
索引
著者プロフィール
著者のトーマス・ジーヴ(Thomas Geve)さんは、1929年、ドイツ生まれ。1933年以降、ユダヤ人としてナチスの迫害を受ける。
何年にもわたる苦難の生活ののちに母とともに逮捕され、1943年6月にアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所に移送された。奇跡的に生き延び、22カ月後に解放される。療養生活を終えてからロンドンに渡り、父親と再会。工学の学位を取得して、1950年7月にはイスラエルに移住した。そこで家族を持ち、リタイア後の現在は、穏やかな老後生活を過ごしている。
アウシュヴィッツを描いた少年 僕は銃と鉄条網に囲まれて育った (ハーパーコリンズ・ノンフィクション) トーマス ジーヴ (著), 品川 亮 (翻訳) 15歳の少年のスケッチブックに残されたホロコースト。 本書を読み進める際には、トーマスのスケッチも、ぜひじっくりと見ていただきたい。証言が、図版とともに語られるのはまれなことなのだ。この二つは、いずれもトーマスが後世へと残す遺言である。 驚くべき、非常に心を揺さぶられる作品。 彼の力強い声と絵は、人間が悲劇から何を学べるか、そして、どうしたら過去より未来を良くできるかを教えてくれる。 1943年6月、ナチス支配下のベルリン。 少年のまなざしで見るホロコーストとは、どのようなものだったのか―― |
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