『人新世の「資本論」』著者・斎藤幸平さんデビュー作&ドイッチャー記念賞受賞作『大洪水の前に』が文庫化&発売即重版
KADOKAWAは2022年10月24日、東京大学大学院准教授・斎藤幸平さん著『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』を文庫化し、角川ソフィア文庫より刊行しました。また、注文が殺到していることから重版も決定しました。
権威あるドイッチャー記念賞を受賞した話題作が文庫化!
斎藤幸平さんは、この『大洪水の前に』でマルクス研究者の最高権威ドイッチャー記念賞(2018年度)を日本人初・史上最年少(当時31歳)で受賞。世界の研究者から称賛を集めました。
ドイッチャー記念賞は、英語で刊行された、マルクス主義の伝統に関する最良かつ最も革新的な新刊を代表する本に贈られる、名誉ある賞です。
<本書の内容>
世界はいま、多くの危機に瀕しています。ウクライナでの戦争、コロナなどの疫病の流行や、スリランカの洪水を引き起こしているような異常気象。こういった危機的状況のなかでわたしたちは、格差や差別をのりこえ、誰も取り残すことなく問題を解決する道筋を探さなければなりません。
これまで通りの考えや生活をあらため、新たな社会システムを構築する。そのために、まずは今の世界を築いている資本主義のシステムと向き合い、その暴力性や破壊性を認識することが重要です。
斎藤幸平さんは、生前未刊行だった晩期マルクスのノートに着目。ノートには、マルクスの自然科学への学びと洞察が記されていました。
マルクスに立ち返り、理論や著作、残した膨大な資料を読み解き分析することで、今の世界のシステムや傾向を掴み、そして未来を構想すること。その礎となるのが本書『大洪水の前に』なのです。
文庫版には、哲学者スラヴォイ・ジジェクによる解説も収録されています。
なお、刊行前から注文が殺到したことにより、KADOKAWAは発売を前にして重版を決定。現在、増刷分の制作を進めています。
本書の構成
第一部 経済学批判とエコロジー
第一章 労働の疎外から自然の疎外へ
第二章 物質代謝論の系譜学
第二部 『資本論』と物質代謝の亀裂
第三章 物質代謝論としての『資本論』
第四章 近代農業批判と抜粋ノート
第三部 晩期マルクスの物質代謝論へ
第五章 エコロジーノートと物質代謝論の新地平
第六章 利潤、弾力性、自然
第七章 マルクスとエンゲルスの知的関係とエコロジー
著者プロフィール
著者の斎藤幸平(さいとう・こうへい)さんは、1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。
ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。Karl Marx’s Ecosocialism(邦訳『大洪水の前に』)によって権威ある「ドイッチャー記念賞」を日本人初、歴代最年少で受賞。同書は世界六カ国で翻訳刊行されている。
日本国内では、晩期マルクスをめぐる先駆的な研究によって「学術振興会賞」を受賞。45万部を超えるベストセラー『人新世の「資本論」』で「新書大賞2021」を受賞。11月には単行本の最新刊『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』が刊行予定。
大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝 (角川ソフィア文庫) 斎藤 幸平 (著) マルクス未完のプロジェクト、その遺志を継ぐ 異常気象、疫病の流行や戦争……世界が危機に瀕する今、私たちは誰も取り残すことなく、これらの問題を解決するための道筋を探さなくてはならない。資本主義の暴力性や破壊性を正確に認識し、その上で、資本主義とは異なる社会システムを構築すること。『資本論』を記したカール・マルクスの、生前未刊行のノートからエコロジーの思想を汲み取り分析する。ドイッチャー記念賞受賞作。スラヴォイ・ジジェクの解説も収録。 |
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