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【第77回現代俳句協会賞】林桂さん『百花控帖』と堀田季何さん『人類の午後』が受賞

現代俳句協会は6月27日、第77回現代俳句協会賞の受賞作を発表しました。

 

第77回現代俳句協会賞が決定!

現代俳句協会は6月25日、第77回現代俳句協会賞の選考委員会を開催。2021年中に刊行された協会会員の句集の中から第一次選考(22編)を経て選出された最終候補(11編)について審査を行い、次の通り受賞作を決定しました。

 
<第77回現代俳句協会賞 受賞作品>

◎林桂(はやし・けい)さん
句集『百花控帖』(現代俳句協会)

◎堀田季何(ほった・きか)さん
句集『人類の午後』(邑書林)

 
受賞者の林桂さんは、1953年生まれ。群馬県出身。新潟大学法文学部卒業。俳誌「鬣TATEGAMI」代表。

同じく受賞者の堀田季何さんは、1975年生まれ。東京都出身。俳人、歌人、詩人、翻訳家、評論家。俳誌「楽園」主宰。2009年に第2回石川啄木賞(短歌部門)、2022年『人類の午後』で第72回芸術選奨「文部科学大臣新人賞」を受賞。

 
選考委員は、恩田侑布子さん、塩野谷仁さん、高岡修さん、照井翠さん、前川弘明さん、渡辺誠一郎さん。

表彰式は11月12日(土)午後1時より「JR九州ステーションホテル小倉」にて開催の第59回現代俳句全国大会席上にて。

 

現代俳句協会賞について

現代俳句協会賞は、1947年に発足した現代俳句協会が同年に創設した俳句の賞です。現代俳句協会会員から協会賞に相応しいとして推薦された会員の句集のうち、最も優れた句集の作者を顕彰します。
なお、2012年度の第67回までは、協会会員から推薦を受けた会員が過去3年間の作品から50句抄を提出し、それを選考する形式でした。

また名称も、創設時は俳人・川端茅舎(かわばた・ぼうしゃ)の名を冠した「茅舎賞」としてスタートし、1954年度の第3回より現在の名称となっています。

 

人類の午後 (堀田季何第四詩歌集)
堀田 季何 (著)

リアリティとは、
「ナチは私たち自身のやうに人閒である」
といふことだ。(ハンナ・アーレント)
一九三八年一一九日深夜
水 晶 の 夜 映 寫 機 は 碎 け た か
に始まる352句をスクロールせよ!

しなやかに定型と親和し
たをやかに思想を突き抜ける
光の束としての俳句群
〔第三作品集『星貌』と齊しく開板〕
枝折「晝想夜夢」……宇多喜代子 高野ムツオ 恩田侑布子

 
【出版社からのコメント】
「リアリティとは『ナチは私たち自身のやうに人間である』ということだ。(ハンナ・アーレント)
一九三八年一一月九日深夜」
の詞を前に附す
水晶の夜映写機は碎けたか

「水晶の夜」、ホロコーストへと続くユダヤ人迫害の始まりとも言われる暴動の夜。
その翌朝、破壊された建物のガラス片は、水晶のように輝いていた。
ハンナ・アーレントは、「ドイツ出身の哲学者、思想家」で「ユダヤ人であり、ナチズムが台頭したドイツから、アメリカ合衆国に亡命」。決死の亡命であったろう。

ロシアによるウクライナ人迫害をテレビなどを通して目にしている今、正に象徴的な受賞と言うべきか。

鳥渡るなり戦場のあかるさへ
少年少女焚火す銃を組立てつつ

ウクライナの人びとを思うだに、本書「跋」のことば

人間はいつまでも愚かである

を思はざるを得ない不幸を感じています。

 
【関連】
第77回現代俳句協会賞決定のお知らせ – 現代俳句協会

 


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