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謂れなき罪で徒刑13年、樺戸集治監に収監へ――河﨑秋子さん直木賞受賞後第一作は長編監獄小説!『愚か者の石』が刊行

河﨑秋子さんの第170回直木賞受賞後第一作となる長編監獄小説『愚か者の石』が小学館より刊行されました。

 

生きることは、まだ許されている――河﨑節が冴え渡る、圧巻の長編監獄小説!

 
【あらすじ】

地獄に光が差したとして、仮初めであってもお前はそれに手を伸ばすのか──

明治18年初夏、瀬戸内巽は国事犯として徒刑13年の判決を受け、樺戸集治監に収監された。同房の山本大二郎は、女の話や食い物の話など囚人の欲望を膨らませる、夢のような法螺ばかり吹く男だった。

明治19年春、巽は硫黄採掘に従事するため相棒の大二郎とともに道東・標茶の釧路集治監へ移送されることになった。その道中で一行は四月の吹雪に遭遇する。生き延びたのは看守の中田、大二郎、巽の三人だけだった。無数の同胞を葬りながら続いた硫黄山での苦役は2年におよんだ。目を悪くしたこともあり、樺戸に戻ってきてから精彩を欠いていた大二郎は、明治22年1月末、収監されていた屏禁室の火事とともに姿を消す。

明治30年に仮放免となった巽は、大二郎の行方を、再会した看守の中田と探すことになる。山本大二郎は、かつて幼子二人を殺めていた。

↑国事犯として徒刑13 年の刑に服するため、瀬戸内巽は東京から北海道・樺戸集治監へ収容された。手足は鉄の鎖につながれ、深い網笠を被らされた赤衣赤股引姿の囚人たち。(画:大野博美さん)

↑厳しい冬を越したのち、巽たちが移送された道東の集治監では、硫黄の採掘という過酷な労働が待っていた。(画:大野博美さん)

 

著者プロフィール

(c)小学館

(c)小学館

河﨑秋子(かわさき・あきこ)さんは、1979年生まれ、北海道別海町出身。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。2014年『颶風の王』で三浦綾子文学賞を受賞し翌年デビュー。同作は2015年度JRA賞馬事文化賞も受賞。2019年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、2020年『土に贖う』で新田次郎文学賞、2024年1月『ともぐい』で第170回直木賞を受賞。

他の著書に『鳩護』『介護者D』『鯨の岬』『清浄島』など。

 

愚か者の石
河崎 秋子 (著)

 
【関連】
試し読み|「愚か者の石」|小学館

 


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