【第十回日本翻訳大賞】三浦裕子さん訳『台湾漫遊鉄道のふたり』と榎本空さん訳『母を失うこと』が受賞
日本翻訳大賞実行委員会は、12月1日~翌年12月末までの13ヶ月間に発表された翻訳作品中、最も賞讃したいものに贈る「翻訳家がつくる翻訳賞」第十回日本翻訳大賞の受賞作を発表しました。
第十回日本翻訳大賞が決定!
第十回日本翻訳大賞の選考会が5月17日に開催され、次の通り受賞作品が決定しました。
<第十回日本翻訳大賞 受賞作品
◎訳:三浦裕子(みうら・ゆうこ)さん/著:楊双子さん
『台湾漫遊鉄道のふたり』(中央公論新社)
◎訳:榎本空(えのもと・そら)さん/著:サイディヤ・ハートマンさん
『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』(晶文社)
選考委員は、岸本佐知子さん、斎藤真理子さん、柴田元幸さん、西崎憲さん、松永美穂さん。授賞式およびトークイベントは7月6日(土)にデジタルハリウッド大学(御茶ノ水)にて開催されます。
なお、今回の最終候補作は以下の5作品でした。
【第十回日本翻訳大賞 最終候補作】
◎『台湾漫遊鉄道のふたり』(訳:三浦裕子さん、著:楊双子さん/中央公論新社)
◎『寝煙草の危険』(訳:宮﨑真紀さん、著:マリアーナ・エンリケスさん/国書刊行会)
◎『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』(訳:榎本空さん、著:サイディヤ・ハートマンさん/晶文社)
◎『ハリケーンの季節』(訳:宇野和美さん、著:フェルナンダ・メルチョールさん/早川書房)
◎『幽霊ホテルからの手紙』(訳:舩山むつみさん、著:蔡駿さん/文藝春秋)
日本翻訳大賞について
日本翻訳大賞は、「翻訳家がつくる翻訳賞」です。2014年、「読者と翻訳者のために、もっと開かれた翻訳の賞をつくりたい」という翻訳家・西崎憲さんのつぶやきに、ゲームクリエイターの米光一成さんが賛同したことがきっかけとなり、設立されました。
12月1日~翌年の12月末までの13ヶ月間に発表された翻訳作品中、最も賞讃したいものに贈られます。ただし、再刊、復刊は対象外。また、選考委員が翻訳した物、翻訳に協力した物、解説・帯の推薦文等を書いた物も対象外となります。
1次選考では、ウェブ上で一般読者の推薦を仰ぎます。一人1冊の推薦が可能で、推薦書籍の中から上位10冊を選出。選考委員もそれぞれが無記名で1冊ずつ推薦本をあげます。それらを2次選考で選考委員が吟味のうえ投票し、5冊に絞り込みます。そして、最終選考では5作品を全員で討議のうえ、大賞を決定します。大賞は1作品(または2作品)。受賞作なしもあり得ます。
![]() | 台湾漫遊鉄道のふたり 楊 双子 (著), 三浦 裕子 (翻訳) 炒米粉、魯肉飯、冬瓜茶……あなたとなら何十杯でも――。 「私はこの作品を過去の物語ではなく、現在こそ必要な物語として読んだ。 1938年、五月の台湾。 |
![]() | 母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅 サイディヤ・ハートマン (著), 榎本空 (翻訳) 歴史を剥ぎ取られ母を失った人々の声を時を超えてよみがえらせる、現代ブラック・スタディーズの古典的作品にして、紀行文学の傑作。 「歴史が個人の物語になるとき、ソウルを揺さぶる一冊になる」 ブラックスタディーズの作家・研究者、サイディヤ・ハートマンが、かつて奴隷が旅をした大西洋奴隷航路を遡り、ガーナへと旅をする思索の物語。奴隷になるとはいかなることか? そして、奴隷制の後を生きるとはいかなることか? ガーナでの人々との出会い、途絶えた家族の系譜、奴隷貿易の悲惨な記録などから、歴史を剥ぎ取られ母を失った人々の声を時を超えてよみがえらせる、現代ブラック・スタディーズの古典的作品にして、紀行文学の傑作。 “わたしは、消滅した人々の残余を発見するという目的とともに、ガーナに降り立った。(…)奴隷制という試練がいかにして始まったのか、理解したかった。いかにしてひとりの少年が綿布二メートル半やラム酒一本と、そしてひとりの女性がかご一杯の宝貝と等価になったのかを、了解したかった。類縁と他者を隔てる境界を越えたかった。名のない人々の物語を語りたかった──奴隷制の餌食となった人々や、捕囚を免れるために辺鄙な、荒漠とした土地へと追い込まれた人々の物語を。(「プロローグ」より)” |
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