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東浩紀さん「訂正可能性の哲学」の実践&応用編『訂正する力』が刊行

株式会社ゲンロンの創業者で批評家の東浩紀さん著『訂正する力』が朝日新書より刊行されました。デビュー30周年の節目に刊行した集大成『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)で提示されている「訂正可能性」をめぐって、現代日本で「誤る」こと、「訂正」することの意味を問い、哲学の魅力を支える「時事」「理論」「実存」の3つの視点から、この国の自画像をアップデートする実践&応用編です。

保守とリベラルの対話、成熟した国のありかたや老いの肯定、さらにはビジネスにおける組織論、日本の思想や歴史理解にも役立つ、隠れた力を解き明かします。聞き手・構成は『「戦前」の正体』で話題の近現代史研究者・辻田真佐憲さん、帯のイラストはヨシタケシンスケさんが担当しています。

 

デビュー30周年の集大成、発売早々重版となった話題の思想書『訂正可能性の哲学』の実践&応用編

東浩紀さんがこの夏にゲンロンから刊行したデビュー30周年の集大成『訂正可能性の哲学』は発売するや忽ち重版が決まり、いくつかの書店ランキングでも1位を飾りました。本書は、そこで提示されている「訂正可能性」という考え方について、ふだん哲学に馴染みのない読者にも分かりやすく、話題のニュースや日常生活の延長にあるエピソードを交えながら解説する実践&応用編となっています。

 
東さんは本書の「はじめに」で次のように語っています。

「日本には、まさにこの変化=訂正を嫌う文化があります。政治家は謝りません。官僚もまちがいを認めません。いちど決めた計画は変更しません。(…)とくにネットではこの傾向が顕著です。かつての自分の意見とわずかでも異なる意見を述べると、『以前の発言と矛盾する』と指摘され、集中砲火を浴びて炎上する。そういう事件が日常的に起きています。(…)そのような状況を根底から変える必要があります。そのための第一歩として必要なのが、まちがいを認めて改めるという『訂正する力』を取り戻すことです」

 
保守とリベラルの対話にも、成熟した国のありかたや老いの肯定にも、さらにはビジネスにおける組織論、日本の思想や歴史理解にも役立つ、隠れた力を解き明かしていきます。

 
「訂正する力」とは、過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力――過去と現在をつなげる力のことです。それは持続する力であり、聞く力であり、記憶する力であり、読み替える力であり、「正しさ」を変えていく力でもあります。社会的な分断とAIが身近となった時代にこそ、ひとが固有の「生」を豊かに肯定的に生きるために必要な力となっていきます。

 
本書は語り下ろしです。聞き手と構成を『「戦前」の正体』で話題の近現代史研究者・辻田真佐憲さんが担当。「訂正可能性」という考え方を日本の歴史や文化、伝統と接続することで、東さんから、丸山眞男や司馬遼太郎(※司馬遼太郎の「遼」は2点しんにょうを使いますが、本文では1点しんにょうを使っています)といった日本の先人の思想に対する考えを初めて引き出すことになりました。

帯のイラストは、『りんごかもしれない』をはじめ、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなどで活躍中のイラストレーター・ヨシタケシンスケさんによる描き下ろしです。女の子が何かを「訂正」しています。ご注目ください。

 

本書の構成

第1章 なぜ「訂正する力」は必要か

第2章 「じつは……だった」のダイナミズム

第3章 親密な公共圏をつくる

第4章 「喧騒のある国」を取り戻す

 

著者プロフィール

東浩紀(あずま・ひろき)さんは、1971年生まれ、東京都出身。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。

著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)ほか多数。

 

訂正する力 (朝日新書)
東 浩紀 (著)

ひとは誤ったことを訂正しながら生きていく。

哲学の魅力を支える「時事」「理論」「実存」の三つの視点から、
現代日本で「誤る」こと、「訂正」することの意味を問い、
この国の自画像をアップデートする。

デビュー30周年を飾る集大成『訂正可能性の哲学』を実践する決定版!

聞き手・構成/辻田真佐憲 帯イラスト/ヨシタケシンスケ

保守とリベラルの対話、成熟した国のありかたや老いの肯定、さらにはビジネスにおける組織論、日本の思想や歴史理解にも役立つ、隠れた力を解き明かす。
それは過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力――過去と現在をつなげる力です。
持続する力であり、聞く力であり、記憶する力であり、読み替える力であり、「正しさ」を変えていく力でもあります。
そして、分断とAIの時代にこそ、ひとが固有の「生」を肯定的に生きるために必要な力でもあるのです。

<既刊>

訂正可能性の哲学 (ゲンロン叢書)
東浩紀 (著)

正しいことしか許されない時代に、「誤る」ことの価値を考える。世界を覆う分断と人工知能の幻想を乗り越えるためには、「訂正可能性」に開かれることが必要だ。ウィトゲンシュタインを、ルソーを、ドストエフスキーを、アーレントを新たに読み替え、ビッグデータからこぼれ落ちる「私」の固有性をすくい出す。ベストセラー『観光客の哲学』をさらに先に進める、著者30年の到達点。

 


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