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『フォルモサの涙 獅頭社戦役』刊行記念!著者・陳耀昌さん×訳者・下村作次郎さんトーク&サイン会を開催

台北駐日経済文化代表処台湾文化センター(台湾文化センター)と紀伊國屋書店は、歴史に埋もれた原住民と漢族の最初の衝突を描く『フォルモサの涙 獅頭社戦役』(東方書店)の著者・陳耀昌さんと翻訳者の下村作次郎さんによるトーク&サイン会を台湾文化センター(東京・港区虎ノ門)で8月19日(土)に開催します。

 

「『フォルモサの涙 獅頭社戦役』(東方書店)刊行記念 著者・陳耀昌氏×翻訳者・下村作次郎氏 トーク&サイン会」開催概要

1874年、日本軍が台湾に出兵した(牡丹社事件)。清朝政府は台湾防衛のため軍隊を派遣するが、彼らは日本軍ではなく、原住民と闘うことになった――。

『フォルモサの涙 獅頭社戦役』は、「開山撫番」政策下で起こった最初の原住民と漢族の戦争「獅頭社戦役」を描く歴史小説です。『フォルモサに咲く花』に続く「開山撫番」三部作(あるいは「花シリーズ三部作」)の第二部にあたります。

 
今回のイベントでは、著者・陳耀昌さんと日本語訳を担当した下村作次郎さんが、『フォルモサの涙 獅頭社戦役』の執筆意図、また本作品の重要性について、余すところなく語ります。

 
※60分ほどのトークの後、質疑応答とサイン会を予定しています。サイン会に参加希望の方は対象書籍『フォルモサの涙 獅頭社戦役』(東方書店 / 税込2,640円)をご購入ください。イベント当日は会場でも販売されます。

 
【イベント概要】

■日時:2023年8月19日(土)14:00開演(13:30開場)

■会場:台湾文化センター(東京都港区虎ノ門 1-1-12虎ノ門ビル2階)

■参加料:無料

■参加方法:応募フォーム(https://forms.gle/GwaWCe9QLUfSQL9fA)より申込みください。
※定員に達し次第申込みを締め切ります。重複登録は理由を問わず無効となりますので、ご留意ください。

★詳細:https://jp.taiwan.culture.tw/News_Content2.aspx?n=365&s=163253

 

登壇者のプロフィール

 
■陳耀昌(ちん・ようしょう/チェン・ヤオチャン)さん

写真提供:東方書店

写真提供:東方書店

1949年生まれ、台湾台南市出身。国立台湾大学医学部卒業。ラッシュ大学、東京大学第三内科で研修。1983年、台湾ではじめて骨髄移植を成功させる。現任、国立台湾大学医学部名誉教授。台湾細胞医療協会元理事長。

主な文学関係著作には『福爾摩沙三族記』(遠流出版、2012年/台湾文学奬受賞/邦訳『フォルモサに吹く風』東方書店、2022年)、『島嶼DNA』(INK、2015年/巫永福文化評論奬受賞)、『傀儡花』(INK、2016年/台湾文学奬図書類長編小説金典奬受賞/邦訳『フォルモサに咲く花』東方書店、2019年)、『獅頭花』(INK、2017年/新台湾和平基金会台湾歴史小説奬傑作奬受賞)、『苦楝花Bangas』(INK、2019年)、『島之曦』(遠流出版、2021年/第9回紅楼夢奬:世界華文長編小説奬入賞)、『頭?之雲―陳耀昌短篇小説集』(允晨、2022年)などがある。

 
■下村作次郎(しもむら・さくじろう)さん

写真提供:東方書店

写真提供:東方書店

1949年生まれ、和歌山県新宮市出身。関西大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現任、天理大学名誉教授。

著作に『文学で読む台湾』(1994年)、『台湾文学の発掘と探究』(2019年)、『台湾原住民文学への扉』(2023年。いずれも田畑書店出版)、翻訳書に共編訳『台湾原住民文学選』全9巻、2002~2009年)、孫大川さん著『台湾エスニックマイノリティ文学論』(2012年、一等原住民族専業奬章受賞)、シャマン・ラポガンさん著『大海に生きる夢』(2017年、第5回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞/いずれも草風館出版)、陳耀昌さん著『フォルモサに咲く花』(東方書店、2019年)、ワリス・ノカンさん著『都市残酷』(田畑書店、2022年)などがある。

 

フォルモサの涙 獅頭社戦役
陳耀昌 (著), 下村作次郎 (翻訳)

『フォルモサに咲く花』続編
歴史に埋もれた原住民と漢族の最初の衝突を描く

1874年、日本軍が台湾に出兵した(牡丹社事件)。清朝政府は台湾防衛のため軍隊を派遣するが、彼らは日本軍ではなく、原住民と闘うことになった――。「開山撫番」政策下で起こった最初の原住民と漢族の戦争「獅頭社戦役」を描く歴史小説。
原題『獅頭花』(INK、2017年)。本書は『フォルモサに咲く花』(原題『傀儡花』)に続く「開山撫番」三部作(あるいは「花シリーズ三部作」)の第二部にあたる。

●著者の言葉

……そこで私は次第に考え方を変え、牡丹社事件(日本の台湾出兵)ではなく、獅頭社戦役を書こうと決めた。それがこの『獅頭花』である。なぜなら獅頭社の濛々とした霧と溪谷の中には、埋没したままの多くの英霊がいて、たくさんの忘れられた台湾の歴史があり、多くの血と涙と逆説的な諷刺が残されているからである。
(「淮軍と大亀文からの呼びかけと探究――私が『獅頭花』を書いた心の歴程」より)

本書のテーマのひとつは、牡丹社事件による清朝政府の危機感から生まれた「開山撫番」に誘発されたこの最初の原漢(原住民と漢民族)戦争、獅頭社戦役が、近代台湾の歴史を大きく変えたことを描く点にあり、本書によってはじめて取り上げられた。その意義は極めて大きく、こうしてはじまった「開山撫番(剿番)」は、その後清末から、さらに日清戦争後新しく統治者となった日本の「理蕃政策」に引き継がれていったのである。(「【解説】沈葆楨の「開山撫番」と最初の原漢戦争―獅頭社戦役―」より)

<既刊>

フォルモサに咲く花
陳 耀昌 (著), 下村 作次郎 (翻訳)

台湾でドラマ化! 台湾現代史の原点を原住民族の視点で描く長編小説

1867年、台湾南端の沖合でアメリカ船ローバー号が座礁し、上陸した船長以下13名が原住民族によって殺害された。本書はこの「ローバー号事件」の顛末を、台湾原住民族「生番」、アメリカ人やイギリス人などの「異人」、清朝の役人、中国からの移民である「福?人」「客家」、福佬人と原住民族の混血「土生仔」など、さまざまな視点から、また、移民の歴史、台湾の風土なども盛り込みつつ描いたものである。

「領事、戦争はいけません」――蝶妹
「なんと変わった民族だろう」――ルジャンドル(アメリカ駐厦門領事)
「生番を厳重に処罰して、大清の威厳を高らしむるのだ!」――劉明燈(台湾鎮総兵)
統領埔と社寮とチュラソ、どこも自分の故郷だ。この三か所に暮らす人々の幸福のために努力しよう。瑯嶠全体が子孫の故郷であり、一つの村、一つの部落にこだわる必要はない。――文杰

●推薦
私は、台湾の歴史をまだ何も知らないと、思い知らされた。急峻な山々が連なり、檳榔樹とアダンの葉が生い茂る1867年の屏東。台湾が、米国船の海難事件を引き金に、「世界史」の荒波に飲み込まれる緊張感に痺れる。原住民の頭目たちは、知恵を絞り、米国の圧力を見事に押し返す。その偉大な抵抗が「フォルモサに咲く花」なのだ。 一青妙(作家・女優)

●著者の言葉
一八六七年三月十二日にたまたま発生したアメリカ船ローバー号の海難事故が、その後の台湾の歴史と台湾人の運命に重大な影響をもたらした。(略) アメリカは駐厦門領事シャルル・ルジャンドル(李仙得)を台湾に派遣して、この事件の処理に当たらせた。一八六七年十月十日、ルジャンドルは台湾人と協定を交わした。これは台湾人が結んだ最初の国際条約である。協定のアメリカ側はルジャンドルであり、台湾側は、清国の役人でも漢人でもなく、台湾原住民で、当時の「下瑯?十八社総頭目」のトキトクであった。(略)
(「序 日本の読者に」より)

「南岬の盟」は、原住民族が歴史上文明国とはじめて正式に交わした「和議」として、いま大きな注目を浴びている。作者が描いたトキトク、さらに清国の総兵劉明燈と会見したトキトクのふたりの娘たちの毅然とした態度は、作者の想像力と本書の意義を際立たせる、感動を生む場面となっている。(「訳者あとがき――解説にかえて」より)

 
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