「台湾漫画史不思議旅行 ―貸本屋さんと漫画の100年―」展を北九州市漫画ミュージアムで開催
台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは北九州市漫画ミュージアムおよび国立台湾歴史博物館と共同主催で、北九州市漫画ミュージアムで「台湾漫画史不思議旅行 ―貸本屋さんと漫画の100年―」を開催します。
台湾漫画史の時空旅行へ誘う「台湾漫画史不思議旅行 ―貸本屋さんと漫画の100年―」展
本展では、台湾漫画史100年をたどり、台湾における貸本屋(有料の書籍レンタル店)の歴史変遷を中心に、どのような漫画が読まれ、流通し、制作されてきたのかを一望します。
また、国立台湾歴史博物館が所蔵する台湾マンガに関連する資料や映像を通して、台湾と日本の共通点と相違、そして現代の台湾における漫画文化の独自の発展を伝えます。
<展示概要(文:北九州市漫画ミュージアム 学芸員・石井茜さん)>
「貸本屋」は日本においても、漫画の大衆化に大きな役割を果たしました。江戸時代に始まった日本の貸本業は、第2次世界大戦後、古書でなく新刊の貸し出しに特化し、貸本屋だけに流通する「貸本漫画」の誕生とその人気の高まりなどを経て、全国的にその数を増やします。ここ北九州でも、かつてはそこかしこで身近に貸本屋があるというような状況でした。物資が不足し、経済的に疲弊していた時代に、子どもから大人まで楽しめる身近な娯楽として、貸本屋は隆盛を誇ったのです。しかし、高度経済成長期を迎える1960年代からこの業態は衰退し、2000年代以降に現れたごく簡易な業態のものを除いては、現在ではその姿を見ることはほとんどありません。
台湾における貸本屋は、1895年に始まる日本の植民地支配時代に端を発し、おおよそ日本と同様の歴史をたどるのですが、そこで流通していた漫画を見ると、日本統治の影響など、台湾の社会的・政治的な変動が色濃く表れています。例えば統治時代、同時期日本で親しまれていた『のらくろ』や『冒険ダン吉』が台湾でも読まれていたことが分かっています。戦後の台湾貸本屋には、中国上海(シャンハイ)からもたらされた連環画(れんかんが/中国式の絵物語)とともに日本の貸本漫画が並び、一方で台湾人による独自の少年向け漫画雑誌も刊行されるように。時代が下り、政府による検閲制度が強化された1960年代に入ると、海賊版の日本漫画が大量に出回りました。92年に著作権法が改正されて以降は正規の単行本が流通するようになり、台湾の描き手による漫画作品も増加していきます。このように、台湾貸本屋と漫画の歩み100年を振り返ることは、つまり台湾の100年の歴史を振り返ることでもあるのです。
「台湾漫画史不思議旅行」開催概要
■開催期間:2022年11月26日(土)~2023年1月22日(日)
■場所:北九州市漫画ミュージアム企画展示室(あるあるCity5F)
■開館時間:午前11時~午後7時(入館は午後6時30分まで)
※休館日:毎週火曜日、年末年始(12月31日~1月3日)
★詳細:https://www.ktqmm.jp/kikaku_info/66744
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