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和田秀樹さん、本年度勝負作のテーマは〈前頭葉〉!『不老脳』が刊行

精神科医で老年医学の専門家、和田秀樹さんの最新作『不老脳』が新潮新書より刊行されました。

 

40代でも「やる気が出ない」人と「いくつになっても元気な人」はいったい何が違う? 2022年度NO.1ベストセラー『80歳の壁』和田秀樹さん、本年度勝負作のテーマは「前頭葉」

昨年、「日本で1番売れた本」(日本出版販売、トーハン調べ/2022年 年間ベストセラー総合第1位)となった『80歳の壁』(幻冬舎新書)の著者である和田さんの「今年の勝負作」が取り上げるのは〈前頭葉〉。

 
なんと、40代でも萎縮が始まることがあるというこの前頭葉……大脳の前部に位置し、「人間活動の中心」を担う重要な部位です。思考力や発想力の源であり、感情をコントロールし、意欲をも司る前頭葉が衰えればどうなるか。そう、決まりきったことしか言えず、新しいアイディアも湧かず、やる気も出ない、ということになりかねません。

 
心当たりがある人は要注意。そんな状態にならずにすむには? 回復する方法はあるのか? 活気に満ちていた自分を取り戻すには?

…和田さんが同書で丁寧に解説するのがまさにその対処法です。和田さんが長年温めてきた「とっておきの処方箋」とはどのようなものなのでしょう。

 

1万人の脳を診てきた和田秀樹さんによる、とっておきの処方箋とは

「40代に入って、『あれ、おかしいな』と思ったことはありませんか」

『不老脳』の冒頭で、和田さんはこんな問いを投げかけます。そしてこう続けます。

 
「50代に入って、でもよいですし、60代でも70代でも同じことですが、『やる気が出ない』『発想力が衰えた』『気がついたら同じ著者の本ばかり読んでいる』……などといったことに心当たりがあれば、注意した方がよいことがあります。
前頭葉が衰えているのかもしれません」
(「はじめに」より)

 
前頭葉には言葉を操る、情報を処理する、感情を制御する、運動機能をコントロールするといった役割があります。ある意味で、その人の「人間らしさ」そのものを司るわけですが、中でも重要なのは「意欲を司る」こと。仕事への意欲を失えば頭を使わなくなるでしょうし、新しいアイディアも出ません。体を動かしたいと思わなければ運動もしないでしょうし、おいしいものを食べたいと思えなければ新しいお店の開拓もしないでしょう。いくら創造性や分析力や粘り強さに恵まれた人でも、「意欲」を失えば宝の持ち腐れということになるわけです。

 
しかも、老化に伴い脳の機能は基本的には低下します。20代から1日10万の神経細胞が減るとも言われ、加齢以外でも、アルコールの過剰摂取や喫煙、ストレスなどさまざまな要因で脳の萎縮は起こります。早い人では40代前半から脳が縮み始めることがあり、50代、60代で前頭葉が大きく縮む例は珍しくないそうです。

 
前頭葉が衰えるとどうなるでしょうか。
和田さんは「前頭葉の機能不全」として以下の7つを挙げています。

脳の切り替えができない、変化に気づけない、ワンパターンに陥る、アウトプットが上手にできない、無関心になる、孤独な状態になる、やる気が出ない。

 
医師の診断と治療が必要な場合もあるでしょうが、和田さんがまずお勧めするセルフチェックは「感情老化度チェック」です。同書の巻末にチェックシートが掲載されています。

「最近は、自分から友達を遊びに誘ったことがない」
「性欲、好奇心などがかなり減退している」
「失敗をすると、昔よりもうじうじと引きずる」
「自分の考えと違う意見をなかなか受け入れられない」

…など計30の項目をチェックし、算出される「感情年齢」が実際の年齢より上回っている場合は前頭葉の老化を疑ってみてもよいかもしれません。

 
しかし、和田さんは「前頭葉は鍛えられる」とも言います。しかも、いくつになっても可能だと言います。そのための「5ヶ条」とは

1.「二分割思考」をやめる
2.実験する
3.運動する
4.人とつながる
5.アウトプットを心がける

だというのですが、その詳しい内容はぜひ同書でお確かめください。

 
和田さんはこうも書いています。

「本書では、前頭葉の重要性をお伝えするとともに、前頭葉を鍛え直す方法もお伝えしたいと考えています。そしてひいては、やる気やアイディアに溢れ、変化を怖れずチャレンジしていたかつての『あなた』を取り戻していただけたらと思っています」

そう、まずは現実を直視し、その対処法を知れば、悲嘆することはないというメッセージを、和田さんは同書で伝えてくれているのです。

 

著者コメント

あなたは今の日本をご覧になっていていかがですか。
わたしが疑っているのは「今の日本人は前頭葉が衰えているのではないか」ということです。
いまや日本人の平均年齢は47.6歳。「平均寿命」ではありません。「平均年齢」がです。実は人間の脳は40代から本格的に老化を始めます。そして、真っ先に老化が始まるのが前頭葉なのです。
社会全体が変化を起こす「意欲」を失い、的確に判断し、創造性を発揮し、社会性や計画性、集中力や思考力といった機能を失えばどうなるか。
わたしたちが今、直面しているのはこの「前頭葉機能不全社会」なのではないか──わたしはそう疑っているのです。

 
わたしは何冊もの本を書いてきましたが、本書こそが最もみなさんにお伝えしたいことだったのだと今、痛感しています。
まずはあなたが変わること。そこから日本が変わること。わたしの願いが叶うことを、心から祈っています。

 

本書の構成

はじめに――あなたと日本が元気を取り戻すには

第1章 脳は40代で衰えはじめる――「前頭葉機能不全社会」の危機
日本人の平均年齢/前頭葉の役割/“人類史上最悪の手術”/前頭葉はなくても生きていける!?/「IQ」と「EQ」/前頭葉のセルフチェック/前頭葉は40代から縮み始める!

第2章 チェックすべき7つの「機能不全」――こんな状態は要注意
もの忘れ=認知症とは言えない/前頭葉の機能不全(1)「保続」/前頭葉の機能不全(2)「変化に気づけない」/前頭葉の機能不全(3)「ワンパターン」/前頭葉の機能不全(4)「アウトプットできない」/前頭葉の機能不全(5)「無関心」/前頭葉の機能不全(6)「孤独」/前頭葉の機能不全(7)「やる気が出ない」

第3章 前頭葉は鍛えられる――5ヶ条を守って“脳力”維持
ヒトの前頭葉が発達した理由/前頭葉は鍛えられる/パラダイムの転換に対応できる“脳力”を/コレステロールはすべて悪なのか/まず「二分割思考」をやめる/実験をしてみる/生き方も実験的に/前頭葉のためなら「年甲斐もなく」/運動は欠かせない/人とつながる/インプットからアウトプットへ/アウトプットの前段階/ツケが回るのは高齢期
前頭葉を鍛える5ヶ条

第4章 前頭葉機能不全社会の処方箋――受験評論家としての視点から
スキーマ/なぜ高齢者は声を上げないのか/教育制度の問題/「頭がいい」とはどういうことか/なぜ日本人は質問をためらうのか/高等教育でアウトプットを阻むもの/「エデュケーション、エデュケーション、エデュケーション!」/フィンランドの教育/試行錯誤の重要性/これからの子供たちに期待すること

第5章 「前頭葉型人間」が生き延びる――「人生100年時代」の未来
人生の後半戦を楽しめるかどうかは前頭葉次第/「早死にするか認知症になるかの時代」/できるだけ長く「現役」を/好きなこと、得意なことを究める/楽しいことにお金を使う/高齢者ほど楽しんで!

付録――年代別 前頭葉との付き合い方
40代は人生後半戦の仲間入り/50代は生活習慣の見直しから/60代は是が非でも仕事を/70代は頭を使い、肉を食べる/80代は老化を受け入れながら楽しむ

おわりに――AI時代をどう生きるか

感情老化度テスト

 

著者プロフィール

著者の和田秀樹(わだ・ひでき)さんは、1960(昭和35)年生まれ、大阪府出身。東京大学医学部卒業。精神科医。立命館大学生命科学部特任教授、ルネクリニック東京院院長。長らく老年医学の現場に携わるとともに、大学受験のオーソリティとしても知られる。

『70歳が老化の分かれ道』『80歳の壁』などベストセラー多数。

 

不老脳 (新潮新書)
和田 秀樹 (著)

どうもやる気が出ない、毎日がワンパターンだ……それ、脳のせいかもしれません。40代から萎縮が始まる前頭葉。意欲や創造性、理性を司る前頭葉が衰えれば前向きな姿勢が失われるばかりか、怒りっぽくなったり、同じ話ばかりしたり、まだ若くても「がんこ老人」のように。でも、いつまでも若さを保つ人がいるのはなぜなのか……? 1万人以上の脳を診てきた著者が贈る、前頭葉を甦らせるためのとっておきの処方箋。

 
【関連】
試し読み | 和田秀樹 『不老脳』 | 新潮社

 


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