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呉座勇一さん『武士とは何か』が重版

呉座勇一さん著『武士とは何か』

呉座勇一さん著『武士とは何か』

48万部を突破するベストセラー『応仁の乱』を著した人気歴史学者・呉座勇一さんの新刊『武士とは何か』(新潮選書)の重版が決定しました。

 

北条政子の卓抜な政治センス、北条義時の意外に弱気な素顔、北条泰時の決死の渡河作戦のゆくえ……鎌倉武士ら33人の名言・暴言・失言を読み解く

平安後期から戦国時代にかけて、政治・社会の中心にいた中世武士。しかし、彼らがいったいどのような行動原理を持ち、どのような思考様式を持った存在なのかは、実のところあまり知られていません。

 
そこで本書では、史料に残された名言、暴言、失言を手がかりに、知られざる中世武士の本質を読みといていきます。そこからは、想像以上にアナーキーで、ワイルドで、イキイキとした、魅力的な侍たちの姿が浮かび上がります。

 
今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」はもちろん、来年放送予定の「どうする家康」の登場人物もたくさん扱われているので、ドラマ鑑賞の副読本としても楽しめる一冊です。

 
<大河ドラマの登場人物たちの名言・暴言・失言>

■「鎌倉殿の13人」
1 平清盛「頼朝が首を切りて、我が墓の上に懸けよ」
2 源義経「関東において怨みを成すの輩は義経に属すべし」
3 源頼朝「日本国第一の大天狗は更に他の者に非ず候か」
4 畠山重忠「謀反を企てんと欲するのよし風聞せば、かえって眉目というべし」
5 源実朝「源氏の正統、この時に縮まりおわんぬ」
6 北条政子「その恩、既に山岳より高く溟渤より深し」
7 北条義時「君の御輿に向いて弓を引くことはいかがあらん」
8 後鳥羽上皇「およそ天下の事、今においては御口入に及ばず」
9 北条泰時「兄の思う所、建暦・承久の大敵に違うべからず」

■「どうする家康」(予想を含む)
1 徳川家康「万一負け候わば、弔い合戦すべしと人数を揃え上って能く候わん」
2 織田信長「日向守(明智光秀)働き、天下の面目をほどこし候」
3 明智光秀「仏のうそをば方便と云い、武士のうそをば武略と云う」
4 豊臣秀吉「秀吉若輩之時、孤と成て、信長公の幕下に属す」
5 今川義元「自分の力量を以て国の法度を申付く」
6 黒田長政「今になりて、我等が分別、鑓先にあり」
7 石田三成「大将をする者は命を全うして、後日の合戦を心に懸る也」
8 真田信繁「忠義に軽重なし、禄の多少によるべきや」
9 伊達政宗「奪うべき時節だに身に授からぬ天下なれば望みなし」

 

著者コメント

私もNHK大河ドラマは大好きで、『鎌倉殿の13人』は毎回観ていますし、来年の『どうする家康』も楽しみにしています。ドラマに登場するエピソードや名言の中には、歴史的事実ではなく後世に創作されたものも多いですが、エンタメとして面白がる際には何の障害にもなりません。むしろ、歴史ロマン(歴史ファンタジー)と歴史学の研究成果との差異を意識しながら鑑賞すると、ますます深くドラマを楽しめるようになると考えています。だからこそ、大河ドラマを楽しむ人たちに歴史学の魅力を知ってもらいたい。本書をきっかけに、歴史の新しい楽しみ方を発見していただければ、これに勝る喜びはないと思っています。

 

著者プロフィール

著者の呉座勇一(ござ・ゆういち)さんは、1980年生まれ、東京都出身。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は日本中世史。現在、信州大学特任助教。

主な著書に『戦争の日本中世史』(新潮選書、角川財団学芸賞受賞)、『応仁の乱』(中公新書、48万部突破のベストセラー)、『陰謀の日本中世史』『戦国武将、虚像と実像』(いずれも角川新書)、『頼朝と義時』(講談社現代新書)、『日本中世への招待』(朝日新書)、『一揆の原理』(ちくま学芸文庫)、『日本中世の領主一揆』(思文閣出版)など。

 

武士とは何か(新潮選書)
呉座 勇一 (著)

源義家から伊達政宗まで、中世武士の行動原理に迫る――!
平安後期から戦国時代にかけて、政治・社会の中心にいた中世武士。日常的に戦闘や殺生を繰り返していた彼らのメンタリティーは、『葉隠』『武士道』で描かれた江戸時代のサラリーマン的な武士のものとはまったく異なっていた。史料に残された名言、暴言、失言を手がかりに、知られざる中世武士の本質を読みとく画期的論考。

 


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