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日本思想史を変えた「知の巨人」に迫る! 先崎彰容さん『本居宣長 「もののあはれ」と「日本」の発見』が刊行

話題作『国家の尊厳』の著者で、BSフジ「プライムニュース」解説で知られる評論家による渾身の論考、先崎彰容さん著『本居宣長 「もののあはれ」と「日本」の発見』が新潮選書より刊行されました。

 

中国伝来でも、西洋由来のいずれでもない――日本オリジナルの倫理学とは?

18世紀半ばの時代の変わり目、この国オリジナルの思想を生みだした本居宣長。

かつてドナルド・キーンさんは宣長を「日本が生んだもっとも偉大な学者の一人」と評し、「彼の著作は、ひろく文学、語学、神道の三大領域」にわたる、と賛辞を惜しみませんでした。「批評の神様」小林秀雄もまた、晩年に代表作『本居宣長』を上梓しています。

 
中国伝来でも、西洋由来でもない。宣長らが作りあげた日本オリジナルの倫理学・国学は、幕末から明治、昭和の戦中期にかけて隆盛を誇りましたが、戦後は神国思想につながったとして一転して批判されることもありました。 

 
再び東西対立が深まる時代の転換期、日本とは何か、日本人とは何かを考えるために避けて通れない「知の巨人」に、現代を代表する論客の一人、先崎さんが挑みます。

 
<慶應義塾大学教授・片山杜秀さん 推薦コメント(『波』6月号より)>
著者は宣長を近代的自我とも合理主義ともファシズムとも繋がらぬ思想家として見事に救済する。そういう思想のかたちは著者の求める日本的保守主義の精髄ときっと重なる。先崎さんの多くの仕事の中でも、これは極め付きである。

 
【本書の内容】
中国から西洋へ、私たち日本人の価値基準は常に「西側」に影響され続けてきた。貨幣経済が浸透し、社会秩序が大きく変容した18世紀半ば、和歌と古典とを通じて「日本」の精神的古層を掘り起こした国学者・本居宣長。波乱多きその半生と思索の日々、後世の研究をひもとき、従来の「もののあはれ」論を一新する渾身の論考。

 

先崎彰容さん コメント

本書は、賛否両論ある本居宣長という思想家の前半生を甦らせようとする試みである。「もの」に触れ、「こと」に心を動かされる歌人にして源氏物語学者、古典に精通した知の巨人の実像に迫った。

 

本書の構成

序 章 渡来の価値観――「西側」から西洋へ

第一章 「家」と自己像の葛藤――商人、あるいは医者と武士

第二章 貨幣経済の勃興――学術文化の都への遊学

第三章 恋愛と倫理のあいだ――『あしわけをぶね』の世界

第四章 男性的なもの、女性なもの――契沖、国学の源流

第五章 「もののあはれ」論の登場――『石上私淑言』の世界

第六章 源氏物語をめぐる解釈史――中世から近現代まで

第七章 肯定と共感の倫理学――『紫文要領』の世界

第八章 「日本」の発見――「にほん」か、「やまと」か

終 章 太古の価値観――古典と言葉に堆積するもの

 

著者プロフィール

先崎彰容(せんざき・あきなか)さんは、1975(昭和50)年生まれ、東京都出身。東京大学文学部倫理学科卒業。東北大学大学院博士課程を修了、フランス社会科学高等研究院に留学。2021年5月現在、日本大学危機管理学部教授。専門は日本思想史。

著書に『ナショナリズムの復権』『違和感の正体』『未完の西郷隆盛』『バッシング論』『国家の尊厳』など。

 

本居宣長:「もののあはれ」と「日本」の発見 (新潮選書)
先崎 彰容 (著)

日本思想史を画す「知の巨人」。その肯定と共感の倫理学とは――。

 
【関連】
試し読み | 先崎彰容 『本居宣長―「もののあはれ」と「日本」の発見―』 | 新潮社

 


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