【令和4年度吉川英治賞】文学賞は京極夏彦さん『遠巷説百物語』と中島京子さん『やさしい猫』が受賞 新人賞に一穂ミチさんと小田雅久仁さん、文庫賞は上田秀人さん「百万石の留守居役」シリーズ
講談社は3月2日、第56回吉川英治文学賞および第43回吉川英治文学新人賞、第7回吉川英治文庫賞の受賞作を発表しました。
令和4年度吉川英治賞各賞が決定!
令和4年度の吉川英治賞の各賞は次の通りです。
■第56回吉川英治文学賞
◎京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん
『遠巷説百物語』(KADOKAWA)
◎中島京子(なかじま・きょうこ)さん
『やさしい猫』(中央公論新社)
選考委員:浅田次郎さん、五木寛之さん、北方謙三さん、林真理子さん、宮城谷昌光さん、宮部みゆきさん
受賞者の京極夏彦さんは、1963年生まれ。北海道出身。小説家、意匠家。1994年『姑獲鳥の夏』でデビュー。『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、『後巷説百物語』で第130回直木賞、『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞を受賞。『遠野物語remix』「えほん遠野物語」シリーズなどにより平成28年遠野文化賞を受賞。
同じく受賞者の中島京子さんは、1964年生まれ。東京都出身。東京女子大学卒業。出版社勤務を経て、2003年『FUTON』で小説家デビュー。2010年『小さいおうち』で第143回直木賞、2014年『妻が椎茸だったころ』で第42回泉鏡花文学賞、2015年『かたづの!』で第3回河合隼雄物語賞、第4回歴史時代作家クラブ賞作品賞、第28回柴田錬三郎賞、『長いお別れ』で第10回中央公論文芸賞、2016年、同作で第5回日本医療小説大賞、2020年『夢見る帝国図書館』で第20回紫式部文学賞を受賞。
■第43回吉川英治文学新人賞
◎一穂ミチ(いちほ・みち)さん
『スモールワールズ』(講談社)
◎小田雅久仁(おだ・まさくに)さん
『残月記』(双葉社)
選考委員:伊集院静さん、大沢在昌さん、恩田陸さん、京極夏彦さん、辻村深月さん
受賞者の一穂ミチさんは、大阪市出身。2008年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。本作『スモールワールズ』は2021年、第165回直木賞候補に。同作は2022年本屋大賞にもノミネート。
同じく受賞者の小田雅久仁さんは、1974年生まれ。宮城県仙台市出身。関西大学法学部政治学科卒業。2009年『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞、2013年『本にだって雄と雌があります』で第3回Twitter文学賞〔国内部門〕を受賞。
■第7回吉川英治文庫賞
上田秀人(うえだ・ひでと)さん
「百万石の留守居役」シリーズ (講談社文庫)
選考委員:各出版社の代表者(各社1名)、書評家、書店員等合計約50名
立会人:逢坂剛さん
受賞者の上田秀人さんは、1959年生まれ。大阪府出身。大阪歯科大学卒業。1997年に小説CLUB新人賞に佳作入選し、作家デビュー。2010年『孤闘 立花宗茂』で第16回中山義秀文学賞、2014年『奥右筆秘帳』シリーズで第3回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞。
吉川英治文学賞について
吉川英治文学賞は、公益財団法人「吉川英治国民文化振興会」が主催し、講談社が後援する文学賞です。大衆小説を対象に、1967年に創設。毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に最も優秀な小説、評論、その他を発表した作家に贈られます。正賞として賞牌、副賞として300万円が授与されます。
なお、吉川英治文庫賞は、毎年12月1日から翌年11月30日までに文庫最新刊が刊行された作品のなかから、5巻以上の複数巻で文庫を刊行している、もっとも優秀な大衆シリーズに贈られます。
また、吉川英治文学新人賞は、毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈られます。
文庫賞および新人賞には賞牌と副賞100万円がそれぞれ授与されます。
ちなみに、賞の前身は、吉川英治さんの寄付金をもとに1962年2月に創設された「吉川英治賞」で、主催は毎日新聞社でした。1966年に吉川英治国民文化振興会が設立され、賞の運営が毎日新聞社から吉川英治国民文化振興会と講談社に移管されています。
遠巷説百物語 京極 夏彦 (著) 11年を経て〈巷説百物語〉再始動。江戸末期の遠野で、化け物退治が開幕! 「遠野は化け物が集まんだ。咄だって、なんぼでも来る」 盛岡藩筆頭家老にして遠野南部家当主の密命を受けた宇夫方祥五郎は、巷に流れる噂話を調べていた。 ハナシは、やがて物語になる。どんどはれ。 |
やさしい猫 中島 京子 (著) シングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。 |
スモールワールズ 一穂 ミチ (著) 読売新聞、日経新聞、本の雑誌……各紙書評で絶賛の声続々! |
残月記 小田 雅久仁 (著) 近未来の日本、悪名高き独裁政治下。 |
波乱 百万石の留守居役(一) (講談社文庫) 上田 秀人 (著) いよいよ、開幕。 加賀百万石。江戸城の実権を握る大老酒井忠清(ただきよ)は、なんと外様大名の加賀藩主前田綱紀(つなのり)を、次期将軍に擁立しようとする。外様潰しの策略か、親藩入りの好機か。藩論は真っ二つ。襲撃された重臣前田直作(なおなり)を助けた若き藩士瀬能数馬(せのうかずま)の運命も、大きく動き出そうとしていた。<文庫書下ろし> |
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