第33回三島由紀夫賞・山本周五郎賞の候補作品が決定 両賞とも5作品
新潮文芸振興会が、第33回三島由紀夫賞および第33回山本周五郎賞の候補作品を発表しました。
第33回三島由紀夫賞・山本周五郎賞 候補作品
第33回三島賞および山本賞の候補作品は次の通りです。
【第33回三島由紀夫賞 候補作品】
◎河﨑秋子さん『土に贖う』(集英社)
◎宇佐見りんさん『かか』(河出書房新社)
◎千葉雅也さん『デッドライン』(新潮社)
◎崔実さん「pray human」(『群像』2020年3月号)
◎高山羽根子さん「首里の馬」(『新潮』2020年3月号)
【第33回山本周五郎賞 候補作品】
◎寺地はるなさん『夜が暗いとはかぎらない』(ポプラ社)
◎赤松利市さん『ボダ子』(新潮社)
◎宇佐美まことさん『展望塔のラプンツェル』(光文社)
◎早見和真さん『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮社)
◎柚月裕子さん『暴虎の牙』(角川書店)
■選考委員
〔三島賞〕川上未映子さん、高橋源一郎さん、多和田葉子さん、中村文則さん、松家仁之さん
〔山本賞〕伊坂幸太郎さん、江國香織さん、荻原浩さん、今野敏さん、三浦しをんさん
■今後の日程について
◎最終選考:今秋(予定)
◎選考結果発表
〔三島由紀夫賞〕『新潮』誌上
〔山本周五郎賞〕『小説新潮』誌上
にて発表。各選考委員の選評も併せて掲載されます。
なお、両賞とも、受賞者には記念品および100万円が授与されます。
三島由紀夫賞および山本周五郎賞について
三島由紀夫賞と山本周五郎賞はともに、新潮社が設立した「一般財団法人 新潮文芸振興会」が主催。
三島由紀夫賞は、作家・三島由紀夫の業績を記念し、1987年に創設。小説、評論、詩歌、戯曲を対象とし、「文学の前途を拓く新鋭の作品」に贈られる文学賞です。
山本周五郎賞は、大衆文学・時代小説の分野で昭和期に活躍した山本周五郎にちなみ、三島由紀夫賞とともに創設。「すぐれて物語性を有する新しい文芸作品」に贈られる文学賞です。一応、対象となるのは「小説」となっていますが、それ以外の分野でも対象となる可能性があります。
両賞とも、前年4月1日より当年3月31日までに発表された作品が選考対象となります。
土に贖う 河崎 秋子 (著) 大藪春彦賞受賞第一作! カバー画:久野志乃「新種の森の博物誌」 |
かか 宇佐見りん (著) うーちゃん、19歳。 選考委員・町田康、村田沙耶香、震撼。 19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。 |
デッドライン 千葉 雅也 (著) もったいない。バカじゃないのか。抱かれればいいのに。いい男に。珊瑚礁のまわりで群れをなす魚のように、導きあう男たちが夜の底をクルーズする――。ゲイであること、思考すること、生きること。修士論文のデッドラインが迫るなか、動物になることと女性になることの線上で悩み、哲学と格闘しつつ日々を送る「僕」。気鋭の哲学者による魂を揺さぶるデビュー小説。 |
夜が暗いとはかぎらない 寺地 はるな (著) 奇跡が起きなくても、人生は続いていくから。 大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜ――? さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語。 |
ボダ子 赤松利市 (著) 私は、“あの町”で娘を見殺しにした。 バブルのあぶく銭を掴み、順風満帆に過ごしてきたはずだった。 未体験の読後感へと突き動かす、私小説の極北。 |
展望塔のラプンツェル 宇佐美 まこと (著) 「その子は死ぬために生まれてきたんじゃない」 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。 |
ザ・ロイヤルファミリー 早見 和真 (著) 父を亡くし、心に穴があいた税理士の栗須は、ビギナーズラックで当てた馬券のせいで、我が道を行くワンマン社長、山王の秘書になった。想像もできない光と影の世界が、待ち受けているとも知らずに―。徹底的な取材による圧倒的なリアリティと手に汗にぎる驚異のリーダビリティが織りなす至上の読書体験。 |
暴虎の牙 柚月裕子 (著) 「孤狼の血」シリーズ完結編! 博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する…。不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結! |
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